Smart-IP社 創業記 その3 ~ボードメンバーを選ぶ(後編)~
前編はこちらから。自分がCEOをやることに決め、他のボードメンバーの人選に着手した。
COO:佐竹星爾
COOは戦略参謀だ。三国志でいうところの諸葛孔明。大局観を持つことができ、戦略論の知見も深い人。また、最終的にユーザーにとって「価値のあるプロダクト」かどうかを判断する責任者にもなってもらいたいと思った。
そこで、一線級の弁理士で、ITに関する知見も多く、MBAの資格も保有し、戦略論への洞察も深い佐竹さんにお願いすることにした。佐竹さん自身が実務家であること、マネジメント、コンサル経験も豊富なことから、「ここをDX化したい」というユーザー目線での会話が最もできる人材だと思った。
何より彼はIPTech弁理士法人の副所長で、僕と5年近く一緒に事務所を経営している。性格は僕が求めるラストマンそのもの。大きな信頼を寄せている。
CTO:辻良繁
次に、CTO。現CTOの辻さんは僕と同じくドワンゴ出身。僕のドワンゴ在職期間には数か月の差でかぶっていないが、30代でスタートアップ企業や上場企業のCTOを複数経験しているとても優秀なエンジニアだ。別の業界でもいくらでも活躍できる人で、わざわざニッチでレガシーな知財業界に来てくれるようなスペックの人ではない。
タイミングよく知人のつてで紹介してもらったのをきっかけに、何度も議論や会話を重ねた。知財業務への好奇心や、人生を賭ける覚悟を持ってくれるかどうか、知財業界を変革させるために本気になってもらえるかどうかなどを語り合い、最終的にCTOに就任してもらうことになった。
CMO:上池睦
その次は、CMO。上池さんとは彼が大学院生の時に知り合った。その後IPTech弁理士法人で「知財塾」という事業を始めるにあたり、上池さんにお手伝いをお願いした。最初はスモールスタートのつもりだった知財塾の事業は、彼のおかげですぐに独立した事業会社にすることができた。想定よりもかなり短期間で知財業界内における知財塾の存在感が広まったのは、ひとえに彼の功績といえる。
彼の周りには、彼を慕う仲間が多く集まってくることも一つの特長だ。僕の好きな言葉に「早く行くならひとりで、遠くへ行くならみんなで」という言葉があるのだが、彼はまさに、仲間づくりを自然とできるメンタリティや人間性を持っていると思う。
認知向上のためのプロモーション戦略や、ブランディングまでを知財塾で一通り経験してくれたこともあり、Smart-IP社のマーケティングを頼むことにした。
CFO:野副裕幸
最後に、CFO。CFOの野副さんは、Smart-IP社創業前から相談に乗ってくれていて、資本政策に関する相談や、スタートアップ企業/VC/CVCのトレンドなど、自分の知見の少ないところをいろいろと教えていただいていた。当初はお互いアドバイスをする人、される人のつもりで会話していたのだが、いろいろ議論を重ねるうちに、いっそこのまま野副さんにCFOをやってもらえないかと思うようになった。で、口説いた。
僕の理想のCFOは、事業への理解と財務やガバナンスの「バランス」をとることができる人だ。日本のCFOの中には「事業を理解していないこと」をある種の負い目に感じ、事業部門の責任者へ積極的に提案できなかったり、数字だけを見てしまったりする人が少なからずいる印象を持っている。事業部門対管理部門みたいな構図を持つ会社があったりするが、Smart-IP社はそのような会社にはしたくなかった。そこで、バランス感覚を持ち、事業へのコミットメントも高い野副さんがCFOには適任だと思った。
このメンバーで船出することにした。「早く行くならひとりで、遠くへ行くならみんなで」を体現できる、ボードメンバーが揃ったのである。
(つづく、、、かもしれない)
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