PERFECT DAYS

しばらく前に観たのですが、怠けていたのと、色々と考えを熟成していた(?)ため、書き込むのが遅れました。

色々考えた挙句、やはり、素晴らしい映画です。

ヴィム・ベンダースというドイツ人の監督の見た、「美しい日本人」だと思いました。ベンダース監督は、小津安二郎の大ファンなので、それによるバイアスもあり、相当日本人が美しく描かれています。

役所広司演ずる「平山」が一生懸命、誠心誠意トイレ掃除をする姿を見て、宮沢賢治の「雨にも負けず」の詩を思い起こしました。人にばかにされながらも、ひたすら、トイレ掃除という目の前の与えられた仕事に打ち込む。カッコいいです。

あと、ベンダース監督が、「木漏れ陽」という言葉に惹かれたのは、なるほど、と思います。私も、木漏れ陽は本当に好きだったのですが、それを見出してくれた監督のセンスはすごいです。

その他、平山の着ている服、布団などに鮮やかなブルーが使われていたのが印象的でした。

音楽も素晴らしい。メインテーマとなる、ルー・リードの「パーフェクト・デイ」は、今でも心の中で鳴っているほど、インパクトがありました。鑑賞後、アップルミュージックで、ルーリードをチェックし、色々と聴いています。
東京の中古屋で、カセットが売られていたのも、最近のトレンドだなぁと感じました。

映画の後半の平山のセリフで、「この世界はつながっているようでいて、全く別の世界がパラレルワールドのようにあり、それぞれが別々で交わらない」という趣旨の言葉には、深く考えさせられました。格差社会ということなのでしょうが、それを前面に出さずに、さらっと混ぜるところは、さすが老練な技術ですね。

勿論、この映画は、監督が役所広司を使うがために作った映画と思います。すごい俳優だと再認識しました。

なお、途中で、石川さゆりがスナックのママで出てきて、それはそれで良いのですが、歌まで歌うのはやりすぎかな。
とはいえ、石川さゆりの元夫役で出てきた三浦友和は、とても良い味を出してましたね。

とてもきれいな映像で、実は色々な受け取り方もある、深く考えさせられる映画です。

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