エイリアン/ロムルス

評判が良いと知り、観てみました。
エイリアンシリーズの1作目のインパクトがあまりに強すぎて、多分、最初に観た時から30年以上経っているのに、1作目を超えるのは難しいなぁ。というのが率直な感想ですが、映画として面白くないわけではない(微妙な言い方ですみません)。

このシリーズの特徴は、(といっても、2作目までしか観ていないのですが)地球又は地球人の住んでいる惑星から離れた宇宙空間をただよう宇宙船の中で孤立した複数の乗員が、エイリアンに追われ、一人ずつやられていくという設定なんだと、改めて分析しました。その設定だけで、怖いですよね。なので、何度もこの設定を使ったシリーズ作が作られるのでしょう。よく考えると、楳図かずおの漂流教室と同じですね(古いですね)。

それと、エイリアンの造形の気持ち悪さも特徴です。ネバネバ、ネチャネチャしたものに覆われた、ぬるっとした長ーい顔に、銀歯ぎっしりの歯と、更にその中からもう一つ口というか歯ぐきが出てくる。本当に気持ち悪い生き物が、この映画の強みなんでしょうね。

あと、人間の顔に取り付いて、のどから体内に舌みたいなものを差し込んで、卵を植え付けるという、想像しただけでキモイ攻撃方法。もしかしたら、体の中にエイリアンの子どもがいるかもしれないという得体の知れなさ。しかも、撃ったりすると、強酸性の液体を流してすべてを溶かしてしまうという、手に負えなさ。

そういう設定を踏襲するだけで、十分に怖いスペースホラーが出来てしまうというのがすごいですね。

本作の新しいところは、まず、主人公たちが最初に住んでいる植民地(惑星)の雰囲気がブレードランナーのあの町の景色の雰囲気を出していますね。さすがブレードランナーの監督だったリドリー・スコットが本作にプロデューサーとして参加している影響でしょうか。

エイリアンについては、今回の奴らはなにか動きが鈍いというか、登場人物の近くにいることが画面で分かってから、実際に襲ってくるまでに随分と余裕がある感じがしました。じらして怖さを盛り上げる演出かもしれないけど、もうちょっと早く襲えよ、と突っ込みたくなりました。そのせいか分かりませんが、割と間延びするというか、ずっと画面に没入する感じが得られないように思いました。

あと、どなたかが口コミで書いていましたが、無重力にしてエイリアンの出す酸性の血液をすり抜けるというアイデアは面白かった。

ただ、最後に現れた、変な怪物はなんなんですかね?ローズマリーの赤ちゃんという名作がありましたが、それへのオマージュなの?と思いましが、エイリアンと人間の混血であり、しかも変な薬を打たれてできたんでしょうが、ちょっと不気味さが足りませんでした。やっぱりエイリアンの不気味さには勝てないので、この映画でエイリアン一本で勝負してほしかった。

色々な新しい仕掛けを盛り込んだ努力は認めます。ただ、ちょっと盛り込みすぎたせいか、統一感がなかったかもしれません。一作目のように、どこにいるか分からないエイリアンが、巨大な宇宙船のどこかに隠れていて、気付かないうちに自分の真上の天上にいたりして、一人ずつやられていく、というシンプルかつ力強い展開の方が分かりやすい恐怖の盛り上げ方かもしれませんね。

1作目のシガニー・ウィーバーが冬眠ポットに入り下着姿になり、その後も残っていたエイリアンと闘うというセクシーな場面には、当時、中学生だった私はドキドキとしましたが、今回はそういうったドキドキ場面はありませんでした。性的表現に対する世の中の雰囲気、受け止めが変わったからなのでしょうか。

あらためて、エイリアンのみならず、ブレードランナーというSF映画の名作を2作も作ったリドリー・スコット監督の偉大さに思いを馳せてしまいます。なお、オデッセイやブラックレインも作っているんですね。

若い監督により、この設定であらたなスペースホラーが引き続き作られることを期待しています。

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