失われた地平線(1937)

ふと手に取った本を読み始めると、そのお話は、幼い時に親に連れられて観た映画の原作であることに気付きました。しかも、出だしだけで人を惹きつける物語の始まりを予感させる。

ストーリーは、第一次対戦後頃の時代、イギリス人たちが混乱に陥ったアフガニスタンから引き揚げるために乗った飛行機のパイロットがすり替わっていて、チベットかどこかの山奥に不時着する。そこで、山奥からやってきた謎の人々に険しい山道を案内されて楽園または聖地に連れて行かれ、夢のような快適な日々を過ごすが、退屈さに飽きて脱出しようとするとおそろしいことが、、、。

楽園は、シャグリ・ラと呼ばれる。桃源郷とも訳されますね。
なんと、この小説を基にあの有名ホテルが命名されたとという。

映画は1930年代に作られので、途中、フイルムが傷んだのか、静止画になり、声だけ聞こえる場面もありますが、それほど気になりません。時代ものなので、やむを得ないでしょう。

こういう物語を作ることができるのは、イギリス帝国が世界中に植民地を持っていて、イギリス人も昔から世界の果てまで冒険していたからなのだろうなと、思います。

シンプルだけど力強いストーリーです。現代社会での競争に疲れた人たちは、競争もない、不老不死の国に憧れますが、いざそこに行ってみると、それはそれで刺激がなくて退屈になってしまう人もいるという矛盾。もちろん、そこに安住したいと望む人もいるのですが、、、。人間ってわがままだし、欲深い存在ですね。色んな形でアレンジできる設定とテーマと思います。

1970年代にも、リメイクされているらしいので、それも観てみたいです。

それにしても、自分の幼少期の記憶に偶然巡り合うという不思議な経験をしました。

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