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他人の心が知りたい時|白瀬歯科医院〜悩める僕と大好きな歯医者さん〜|連載小説?
僕は小学五年生。いろいろなことに悩み始める年頃だ。何かに疑問を覚えたり、つらいことに直面したときは、近所の歯医者さんである白瀬先生のところへ駆け込む。大好きな先生はいつだって僕を救ってくれる。そう、間違えた答えで。
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今日の僕は疲れている。
体育の授業でマラソンがあったからだ。
町の歯医者さん、白瀬先生の所へ行こう。
「先生、疲れをとる治療はないかな」
先生は、やれやれといった口調で僕に言う
「歯医者さんにそんな治療はできないよ。難しい注文だね」
はははと先生は笑っている。
僕がうなだれていると、先生は続ける。
「治療ではないけれど、疲れをとる方法は知っているよ。僕がよく行くお店でやってもらっている」
先生はまた、はははと笑いながら院長室に入って行った。
院長室から出てきた先生の手には、ロウソクと手錠が握られている。
「僕はする側ではないのだけれど、今日は特別だ」
かしゃりと音がなり、僕の両腕に手錠がかけられた。
先生が僕に乱暴なことをするはずがない!
僕が自分に言い聞かせていると、蝋燭に火がつく。
もうダメだ!
僕が思ったその時、先生の顔がゆがむ。
気がつくと先生の後ろには、白衣のお姉さんがむちを構えている。
「続けたまえ!悪くない!!」
白衣のお姉さんは力を込める。
先生は血まみれになりながら喜んでいる。
今日はハッピーエンドのようだ。
先生から何も教わらなかった。
〜好きにしてほしい〜