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マジメだった部下が、突然、辞めた。



「転職先が、決まりました。」



ちょっといいですか、と会議室に呼び出され、

席について開口一番、彼女は言った。

途中をすっ飛ばして、最後通告。


人間関係がうまくがいっていなかった。


特に、私の上司、つまり彼女の上司の上司との関係が破綻していた。

話したくない、顔も見たくない、キモイ、という感じだった。

部下の信頼を失う行動を繰り返した方にも問題はあるが、

彼女にも原因はあったように思う。

もちろん、わたしにも。


彼女は、まじめ過ぎた。


責任感が強く、まっすぐで、

なにより、「熱い」女性だった。

例えるなら、松岡修造さんのようだった。


曲がったことが許せなかった。

メールを送ったら、期日までに返信が欲しかった。

相手に「ちゃんと」を求め過ぎた。


彼女の退職日までの数日は、何を伝えようか悩んで

次から次へと言葉が浮かび、あまり眠れなかった。


伝えられたのは、ひと言だけだった。


「頑張り過ぎないで。

 そのままで、大丈夫だから。

 ムリし過ぎないようにね。」


一番の上司でしたと言ってくれたが、

「ぜんぜん、ぜんぜん」

としか、言葉が出てこなかった。


いろいろ考えていたことの半分も言えなかった。

それで良かったのかもしれない。

分からない。


言えなかった言葉を、書き留めておく


分からないが、最近の note の出会いで、

書き留めておくのもいいかもしれないと思った。


夜中、布団のなかで湧き上がってきた言葉、

言えなかった言葉を書きます。



頑張らなくていいんだよ。

熱いコブシで殴っても壊れない壁があったら、

ちょっと横にずれるんだ。

それは、信念を曲げることじゃない。

信念を貫くための知恵だから。


正攻法じゃなくても、同じ成果が出せればいい。

手間のかかる、メンドクサイ作業は、やらずにすむ方法はないか考える。

それくらいで丁度良いよ。


だって、それをカッコよく言ったのが「業務効率化」だろ。

手を抜いて良いんだよ。


さらに言うとさ、「すくない金で、たくさん儲ける」と同じでしょ。

これをカッコよくアルファベットで言うと「ROE」だよね。

コレが良いと「優良企業」なんだから、手を抜いて同じ成果が出せるならそれはもう優良人材・・・



・・・やっぱり、言わなくてよかったかも。

もし、また飲むことがあったら、笑いながら話せばいいか。



「頑張り過ぎないで。

 そのままで、大丈夫。

 ムリし過ぎないように。」



これを忘れなければ、きっとうまくいくよ。


でも、また頑張っちゃいそうだな…。



(了)



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