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【第42回】 愛情とは、関係を絶やさぬこと 小児白血病で娘を亡くした母親

Medipathyという活動の振り返りです。
活動報告というより、僕が思ったことを本や映画などを踏まえて考察を深めています。ちなみに掲載順はバラバラです。
Medipathyとは主に、医学生が昨今の教育ではあまり機会のない、患者さんのお話を深聴き、語り合い、そして笑い合うをテーマに月に一度のペースで開催しています。
参加ご希望の方は、こちらのリンクのお問い合わせからどうぞー。

今回は小児がんで娘さんを亡くされたお母さんをテーマに書きました。


飛騨高山で行った第42回

愛情という言葉を語れるほど人生経験は長くないので、誰かの定義を拝借します。
愛については、アガペー(byイエス)とか、許し(byアウグスティヌス)とか、愛は技術である(byエーリッヒ・フロム)とか、古今東西に色々な人が様々な定義をしています。

愛情という定義について、個人的には
「愛情とは、関係を絶やさぬこと」
という言葉が好きで、一番しっくり来ています。

どうやら心理学者の河合隼雄がこの言葉を言ったらしいです。

Medipathy#42は飛騨高山にて対面で行いました。

今回お話いただいた方に、小児がんで娘を亡くされたお母さんがいらっしゃりました。
この会の準備にあたりその方とは都度コミュニケーションをとってはいたのですが、対面でお話しすることで改めて「愛情とは、関係を絶やさぬこと」という言葉を思い出し、そしてそれをずっと実践されている方でした。今回のテーマにしました。

場所は村半という古民家を改装したスペース、素敵な庭が見える一室で行いました。
飛騨で患者会をやっている方とのご縁があり今回開催でき、参加者は富山・岐阜・三重から来ていただきました。それぞれ岐阜県に隣接している県ではありますが、少なくとも片道2,3時間をかけて飛騨高山にいらしたんじゃないんでしょうか笑

当初2時間の予定でスケジュールは組んでいたのですが、20分と予定していた自己紹介で1時間。あれよあれよというままに、延長戦も入れると結局5時間コースでした。
ダラダラ間延びしたわけでもなく、中弛みしたわけでもなく。
笑いが絶えず、そして最後は涙ありの5時間。

オンラインだと2時間きっかりで終わってしまうことも多いのですが、今回は長かった分聴き手やお話ししてくださる方の双方の関係が深くなったかなと思います。

さて、今回お話しくださった方は
Mさん:3歳で小児白血病を患い、今はご健在。
Aさん:白血病で小学生の娘を亡くされたお母さん
の2名ですが、このnoteではAさんとその娘さんであり今は天国にいるHちゃんにフォーカスしていきます。

小児がんを発症した娘。その治療

最初は、娘さんの小さい時の思い出写真を見せて頂きました。
写真で見るHちゃんは活発で、生徒会の会長などをやっていそうな頭の良さそうな女の子でした。しかし、小児白血病を発症してしまいます。

白血病の治療は抗がん剤、そして骨髄移植です。(ざっくり言うと)
抗がん剤に対しては、頭から髪の毛が抜けるというイメージがあるようにHちゃんも例には漏れていませんでしたが、写真の中のHちゃんは元気な眼をしていました。

しかし、問題なのは骨髄移植です。
血液は骨で作られます。血を作る骨に問題があると、がん化した血液がどんどん作られてしまいます。そのため、元気な人の骨髄を患者さんの中に入れる治療が必要となります。

それが骨髄移植です。

さらに、骨は免疫システムも作っています。
免疫とは体に入ってきた異物(自分じゃないもの)を攻撃するシステムで、仮に他者の骨髄を移植した際は自分の免疫がそれを攻撃してしまいます。
そのため、移植の前に自分の免疫を限りなくゼロにする必要があります。

この治療は想像を絶するそうです。

「治す」と言う言葉を使っていますが、極端に言うと体の中に劇薬を入れて、体の免疫をボコボコに叩き壊してゼロにする治療です。もはや治療ではなく破壊です。

何人かと骨髄移植をしたがん経験者の友人に聞くと
「あれはもう2度とやりたくない。」
「人として生きている心地がしなかった。」
などという言葉が返ってくることが多いです。

そんな骨髄移植を小学4年生のHちゃんはやりました。



白血病の再発、移植の拒絶、そして

骨髄移植も虚しく、Hちゃん白血病が再発してしまいました。
再発に関しても、白血病治療のセオリーは骨髄移植です。

ですが、Hちゃんは2度目の移植に関しては首を縦にふらなかったそうです。

子供ながらに、移植の辛さは身に染みてわかっていたのかもしれません。

その後、どうなったか。という話はあの場にいた人の心にだけで留めたいので割愛します。

共感、感涙、感動、といった感情につけられた名詞のどれをとってもしっくりこない。


でも、それでいて清らかで名状し難い感情があの場には流れていました。
僕も含めあの場にいた人たちはこの話を一生忘れないでしょう。


愛情とは、関係を絶やさぬこと

別れ際、日差しが傾きやや涼しくなった夕暮れ時。
他愛もない会話を僕とAさんはしていました。

僕「娘さんは今生きていたら何歳なんですか?」


Aさん「ちょうど20歳になる歳なんやよ。」


僕「じゃあ、今は大学生なんですね!写真で見るお顔はとても賢そうでした。」


Aさん「そうやろ。賢かったんやよ!」


そして、AさんにHちゃんのことをどう思うかを質問してみました。


Aさんの答えは


「うん。今でも24時間、365日、娘のことは思ってるよ。」


愛情とは、関係を絶やさぬこと


まだまだ愛情を語れるほどの身ではありませんが、かくありたいと思っています。

Aさんは飛騨高山で米粉のシフォンケーキを
Aさんにしかできないシフォンケーキを焼いていらっしゃいます。

https://chiffon-no-chiffon.com/

https://www.instagram.com/chiffon_no_chiffoncake/

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RyuNishioka_西岡龍一朗
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