見出し画像

ビートルズ流 作曲テクニック 「モーダル・インターチェンジ」その① ''♭Ⅶ(フラットセブン)とサブドミナントマイナー''

ビートルズの楽曲には、聴くだけで「おしゃれ」「切ない」「ロックっぽい」と感じるコード進行がたくさんあります。その秘密のひとつが モーダル・インターチェンジ(借用和音) です。

「モーダル・インターチェンジって何?」と思うかもしれませんが、簡単に言うと…

「キーCなのに、キーCmのコードを使う!」

これがモーダル・インターチェンジの基本的な考え方です。

さらに、こんなこともできます!
• キーCのときに、キーAのコードを使う
• キーAmのときに、キーAのコードを使う


つまり、平行調(例:CとCm)や同主調(例:CとA)からコードを借りてくる ことで、曲にスパイスを加える手法なのです。

キーCから見たダイアトニックコード比較表


ただし、借りっぱなしで元のキーに戻らなくなると「転調」になってしまいます。モーダル・インターチェンジは あくまで元のキーを感じさせつつ、一瞬だけ別のコードを借りてくる のがポイントです。なので借用和音と言ったりするんですね。

よく使われるモーダル・インターチェンジの例

① フラットセブン(♭Ⅶ)

キーCのときにB♭(♭Ⅶ)を使う手法


ロックやポップスでは定番のコードですね。実はこの B♭は、キーCmのダイアトニックコード から借りてきています。

どんな効果がある?
• ブルージーな雰囲気
• ロックっぽい響き

具体例:
「Hey Jude」のラストで使われています。(実際のキーはFなので、進行は F → E♭ → B♭ → F ですが、これはキーCにすると C → B♭ → F → C になります。)

② サブドミナントマイナー(IVm)

キーCのときにFm(IVm)を使う手法。


ビートルズがよく使うコード進行のひとつ。Fmは、キーCの「サブドミナント(F)」をマイナー化したコード です。

どんな効果がある?
• 切なさや甘さを加える
• 印象的な響きを作る

Fmの後はどうなる?
• 定番の進行は Fm → C(IVm → I) または Fm → Am(IVm → VI)
• 例えば「In My Life」でもこのサブドミナントマイナーが使われています。(ちょうどin My~ Life♪と歌ってる部分)

まとめ

• モーダル・インターチェンジとは「元のキーにないコードを、平行調や同主調から借りる」テクニック
• ♭Ⅶ(B♭) を使うと ロックっぽくブルージーに!
• サブドミナントマイナー(Fm) を使うと 甘く切ない雰囲気に!

ビートルズはこの手法を巧みに使い、シンプルなコード進行をより魅力的にしていました。次回も、ビートルズ流の作曲テクニックをモーダル・インターチェンジその2で深掘りしたいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!