いろいろ混ぜた結果なんとも微妙な出来になった迷作~映画『ドーン・オブ・ザ・ビースト 魔獣の森』~
※ネタバレはありますが公開終了していると思うので気にしません。
ある意味、鑑賞を待望していた映画がこの『ドーン・オブ・ザ・ビースト 魔獣の森』です。
「ビッグフットホラーの最高峰!」とか「UMAと人間と”第三の生物”が三つ巴のデスマッチ!」とか、どう考えてもワクワクしますよね。
そしてどう考えても、実際に観るよりも内容を想像しているほうが楽しいであろうことが想像できますよね。
実際、見てみたら「これはヒドイ」という感想しか出てきません。
個人的にはこういう「これはヒドイ」と思える作品は大好きなので、じゅうぶん満足できたのですが。
まず、基本的に出てくる人間がちょっと間抜けな人たちばかりです。
ファーストシーンに登場した、道で拾った宝石を身に付けていたために、悪魔に攫われて殺されてしまったカップルの女性。
彼女なんかはまだマシなほうで、10年後に森にやってきた学生たちはヒドイものです。
冒頭の女性と思われる死体から宝石を盗った結果、悪魔に憑りつかれてしまう女学生なんてその筆頭ですし、そもそも異常が起こっているのを知りながら何もせずに夜を迎えて襲われていくところとか、意味がわかりません。
ファーストシーンで彼女を攫われたカップルの男性も登場するのですが、これが輪をかけた間抜けっぷりを見せてくれます。
10年も森の中でビッグフットを追い続けていたのに、悪魔&人食いモンスターの存在に気付いていなかったり、学生のひとりを誘拐、生贄にしてビッグフットを呼び出そうとする小悪党っぷりを見せてくれたり。
しかもあっさりと殺されたうえに、悪魔に死体を操られる始末。
大体こういう「ずっと敵を追い続けてきた男」という役柄の場合、いろいろ活躍するけど最終的に力及ばず死んでしまう、みたいな格好良さがあるパターンが多いと思うんですが。
あまりにもダメダメすぎて、逆に新鮮でした。
出てくるモンスターも、メイクとかはそれなりに頑張っているとは思うんですが……。
怖いとか気持ち悪いとかより「いや、結局お前らなんなの?」という気持ちが強くて、なんか微妙な感じでした。
夜の森は画面が暗すぎて、なにが起こっているのかも良くわかりませんでしたし。
そもそも「UMAと人間と”第三の生物”が三つ巴のデスマッチ!」とか言ってますが、人間は基本的に殺されるのみの存在です。
主人公のピンチに突然現れたビッグフットが、森の悪魔集団とバトルしますが、なんで戦ってるのかが良くわかりません。
別に「人間を守ろうとした」ってわけでもなさそうだし、縄張り争いみたいなものなんですかね?
たぶん、この映画の正解は、こんなふうに余計なことを考えずに「なんかお化け出た、怖い!」とか「なんかビッグフット戦ってる、強い!」とか、なにも気にせず楽しむことなのでしょう。
いや、本当に個人的には「駄目なものはそれはそれで好き」なタイプなので、おもしろくはあったんですが。
それにしてもこんな映画が、ミニシアターだけではなくてそれなりに大手のイオンシネマでけっこう上映されているのがビックリするんですけどね。
他人ににオススメはしませんが、本当に個人的にはこういう映画は大好きなので、配給会社のTOCANAさんには今後もこの路線を突っ走っていってもらいたいと思っています。
来年1月に上映される、戦慄の日系ペルー・ホラーこと『シークレット・マツシタ』にも期待していますよ、本当に。