簡単に言えば名犬ラッシー(褒め言葉)~映画『ハウ』~
※ネタバレはします。
「犬は人間の最良の友」なんて言われます。
犬を飼ったことのない私には「確かに!」と実感できる経験はないのですが、実際に犬を飼っている人からいろいろと話を聞いていると、この言葉も「あながちウソじゃないんだろうな」とは思います。
非常に良く懐いてくれ、ときには飼い主のピンチを救った、なんて聞くと、犬と人間、種族の違いはあってもつながりは深いものになるのかな、と。
その一方で、はたして「人間は犬にとって最良の友なのか?」との疑問も生まれてきます。
こちらの映画『ハウ』に登場する犬、ハウは元の飼い主の都合で声帯を切られてしまって「ワン」ではなくかすれ声で「ハウ」としか鳴けなくなってしまった犬です。
実際にこういうことも多いんだろうな、と思うと、ちょっと悲しい気分になってしまうのも事実ですね。
それはともかくとして。
この映画『ハウ』は、なんだかんだあって飼われている家から遠い土地まで運ばれてしまった犬の「ハウ」が、家に戻るまでの旅路を描いた物語です。
子どもの頃『名犬ラッシー』の物語を読みましたが、大枠としてはそれですね。
で、家に戻るまでの道筋で、さまざまな出会いを別れを繰り返し、出会った人たちが抱えるさまざまな問題を解決していくわけです。
その問題というのが、東日本大震災での帰宅困難者に関するイジメの問題だったり、シャッター商店街と配偶者に死に別れた独居老人の話だったり、DV被害者の話だったり。
いちいち社会問題に絡めよう、というストーリーは少し鼻につく部分はありましたが、なんだかんだで解決していくので悪い気はしません。
ただし「解決した後にどうなったのか」がはっきりとは見られないので「まあ、うまくいっているんだろう」と類推するしかなく、その点が少々フラストレーションを感じました。
ラストシーンは賛否両論ありそうですが、個人的には「これもアリかな」と。
でもハッピーエンドでも良かったとも思うので、どちらとも言えませんね。
考え方としては「婚約者に捨てられた男性のもとに、彼を癒すためにやってきたハウが、新たなパートナー(になり得る女性)を見つけた男性を先に一歩進めるために去っていくためのストーリー展開」とも言えます。
けっして「新しいパートナーを見つけたので、もうハウは不要になった」というわけではないでしょうが、穿った見方をするとそのように感じられてしまっても不思議ではないので、ちょっと難しいところだな、と。
ストーリーに関しては「良い話。月並み感はあるけれど」でしたが、満足度が高かったのは「ハウ」の演技力の高さゆえ、でしょう。
ちゃんと台本を理解して、どういう感情を込めて演じれば良いのかを理解しているように感じるほど、ちゃんと物語に溶け込む動きをしている、と感じました。
犬って頭良いんですね、本当に。
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