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10年以上総合コンサルに勤めた私がコンサル業界に思う正直なところ
1. はじめに
こんにちは、総合コンサルで10年以上の経験を持ち、現在はスタートアップで新しい挑戦をしているryuです。
皆さんは総合コンサルにどんなイメージをお持ちでしょうか。
給与が高い、優秀な人材しか取らない、社畜でプライベートがない、色々あると思います。
私がこの10年で感じたことを率直にお伝えすると、コンサル業界には確かに厳しい現実や課題がありますが、全体としては素晴らしい成長機会を提供してくれる場です。
この記事では、そんなコンサル業界の「いいところ」と「厳しいところ」の両方を取り上げつつ、最終的にどちらが勝っているのかを私の視点からお伝えします。
2. 将来起業するために選んだコンサル業界
私がコンサルティング業界に飛び込んだ理由は、経営者としてのスキルを磨くための修行の場として最高だと思ったからです。
コンサルタントは、クライアント企業の経営課題に直接関与し、経営陣と肩を並べて仕事をすることができる。
自分自身のビジネスを将来持つためには、これ以上ないほどの経営に関する実地経験を積むことができると考えていました。
実際に、総合コンサルに入って最初に驚いたのは、入社したばかりの若手であっても、CEOやCFOといった経営トップと直に接する機会があることでした。
大学を卒業したばかりの新卒でも、大手企業の経営陣の前でプレゼンをしなければならない場面があったりします。
この点は、他の業界や職種ではまずありえない経験です。
私も最初は緊張の連続で、何をどう話せばいいのかも分からない状態でしたが、上司や同僚のサポートを受けながら何とか乗り切ることができました。
特に、コンサルティング業界ではプロジェクトベースで仕事が進むため、様々な業界やビジネスモデルに触れることができます。
1つのプロジェクトが終われば、次は全く異なる業界の案件に携わることができる。
この多様な経験が、自分が将来起業する際にどの業界を選ぶべきか、どんなビジネスモデルが有効かといった視点を養うのに非常に役立ちました。
ただし、コンサル業界に入ってすぐに気づいたことは、起業を目指している人は意外にも少ないという現実です。
多くの人は、安定した収入やキャリアの魅力に引き寄せられ、この業界に留まり続けます。
パートナーやマネージャーといった上位のポジションに昇進していく人たちの中でも、「起業するためにコンサルをしている」という人はごく一部に過ぎません。
実際、起業をするとなるとリスクが伴いますし、収入の安定も保証されないため、コンサルタントとして得たスキルを他社に転職して活かす方が合理的だと考える人が多いのです。
さらに、起業を考えていたとしても、独立系のコンサルティングファームを立ち上げるというケースがほとんどです。
私自身も、一時期は「自分のファームを持つ」という夢を持っていましたが、よく考えるとそれは単に現在のファームの延長線上に過ぎないことに気づきました。
要するに、既存のコンサルファームにいながらも同じことができるわけで、わざわざリスクを取ってまで独立する意味がないと感じる場面も少なくありませんでした。
とはいえ、コンサル業界で得られる経験やスキルは他に代えがたいものです。
特に、経営の観点からビジネスを俯瞰する力、複雑な問題を整理して解決に導くスキル、そして何よりも限られた時間内で高い成果を求められるプレッシャーに耐える力は、将来どんなビジネスを立ち上げるにしても、確実に役に立つスキルセットだと感じています
3. 若手の成長環境としては抜群
コンサルティング業界、特に総合コンサルファームにおける若手の成長環境は、他の業界と比較しても圧倒的に優れています。
この業界に入ると、入社直後から非常に厳しいプロジェクトに投げ込まれます。
経験が少ないにもかかわらず、早い段階で多額のコストがかかる案件を任されることが多く、通常の企業では考えられないほどのプレッシャーにさらされます。
例えば、まだ3年目にも満たない若手が、数億円規模のプロジェクトでクライアントに提案書を持ち込み、経営陣の前でプレゼンをしなければならないという場面も少なくありません。
このような環境に身を置くと、若手は否応なしに成長を強いられます。
クライアントの要求は高く、少しのミスも許されないため、どんな小さなタスクにも緊張感が求められます。
自分一人がミスをすれば、チーム全体に悪影響を及ぼし、クライアントの信頼を損ねるリスクがあるため、自然と責任感が芽生えます。
私自身も、入社当初はこのプレッシャーに耐えきれず、何度も心が折れそうになりました。
しかし、このプレッシャーこそが、自己成長を促す最大の要因であったことは間違いありません。
また、コンサルファームでは、プロジェクトが短期間で次々と進んでいくため、若手はさまざまな業界やクライアントに触れる機会が豊富にあります。
例えば、1つのプロジェクトが終われば、次は全く異なる業界のクライアントとの仕事が待っている。
この多様性こそが、若手コンサルタントにとって大きなメリットです。
短期間で幅広いビジネスモデルや業界の構造を学ぶことができ、常に新しいスキルや知識を吸収し続けなければなりません。
この環境が、他の業界では得られないスピードでの成長を可能にしています。
さらに、コンサルティング業界は上司や同僚が非常に優秀なケースが多いです。
周囲のメンバーが自分以上に高いスキルを持っているため、自然と自分も成長しなければならないという強いプレッシャーを感じます。
毎日が競争の連続であり、ミスをすれば厳しいフィードバックが待っていますが、その反面、常に自分を高めるための指導や助言を受けることができます。
私自身も、優秀な先輩や上司から受けたアドバイスが、キャリア全体において大きな財産となっています。
また、上司やクライアントとの関係性も、若手の成長にとって非常に重要な要素です。
クライアントの経営層と直にやり取りをすることで、彼らの視点や考え方に触れる機会が多くあります。
これは、他の業界では得られない貴重な経験であり、自分が経営者やビジネスリーダーとしてどのような判断をするべきかを学ぶ上で非常に役立ちます。
ただし、この成長環境は非常に厳しいものであり、全ての若手が乗り越えられるわけではありません。
プロジェクトの進行スピードや要求されるクオリティの高さに耐えられず、短期間で辞めてしまう人も多いのが現実です。
しかし、この厳しさを乗り越えることができれば、他の業界では得られないスキルセットと自信を手に入れることができます。
4. 給与水準の高さと、それに見合う経験
コンサルティング業界の大きな魅力の一つに、若手でも高い給与水準を得られることがあります。
特に、総合コンサルファームにおいては、入社して数年で他の業界の同年代を大きく上回る年収を手に入れることができるのが特徴です。
これは、特に日本では非常に稀なことであり、新卒で入社したばかりのコンサルタントが、既に数百万円から始まり、数年後には1,000万円を超えるような報酬を得ることが可能です。
こうした高収入は、若手にとって大きなモチベーションとなるだけでなく、将来の経済的安定を確保するための大きな武器となります。
しかし、この給与の高さには明確な理由があります。
コンサルティングファームがクライアントから求められる期待値は非常に高く、そしてその期待に応えなければならないプレッシャーが常に存在します。
クライアントは、通常の業界やサービスとは違い、コンサルタントに対して高度な問題解決力やスピード、そして正確さを求めています。
そのため、クライアントが支払う報酬に見合った成果を上げなければならず、その重圧は計り知れません。
例えば、1つのプロジェクトの契約金額が数億円、時には数十億円という規模の仕事を任されることもあります。
このような案件でミスが発生すれば、その影響は自分だけでなく、会社全体に及びます。
プロジェクトがうまくいかなければ、ファーム全体の評判に傷がつき、次の仕事に繋がらなくなるリスクもあります。
このようなハイリスク・ハイリターンの環境に身を置くことが、結果として高い給与を得ることと直結しているのです。
さらに、コンサルタントの仕事は単なるデスクワークでは終わりません。
プロジェクトの進行状況によっては、夜遅くまで残業をしたり、週末を返上してクライアントとの会議や資料作成を行うことも珍しくありません。
私は、あるプロジェクトで、ほぼ毎日終電を逃して、土日もオフィスで過ごす生活を2年ほど続けたことがあります。
仕事の内容は非常に高度で、プレッシャーも強く、常に高いクオリティを求められる環境です。
とはいえ、その経験を通じて得られたスキルや知識は、他では得がたいものであり、それが将来的なキャリアに大いに役立ちました。
このような高い負荷に耐えながらも成果を出し続けることで、自然とコンサルタントとしての価値が高まり、結果として給与に反映されるわけです。
もちろん、給与が高い分、長時間労働や激しいプレッシャーに耐えなければならないという現実もありますが、その対価として得られるスキルや経験は、将来的なキャリアにおいて大きな資産となります。
また、コンサルティングファームで得た経験は、他の業界や職種に転職する際にも非常に有利に働きます。
私自身も、コンサルティングファームでの10年以上の経験を持ってスタートアップ業界に転職した際、そのスピード感や問題解決力、クライアント対応力は非常に重宝されました。
コンサルタントとして鍛えられたスキルは、どの業界でも通用する普遍的な能力であり、他の業界や職種での成功の基盤となるのです。
また、給与水準の高さに加えて、コンサルティング業界ではパフォーマンスに応じた報酬制度が整っていることも大きな特徴です。
個々の成果がダイレクトに評価され、昇給やボーナスに反映されるため、自分の努力が形となって報酬に反映される喜びを感じることができます。
これは、他の業界ではなかなか味わえないものです。
特に優秀なコンサルタントは、若いうちから高収入を得られるだけでなく、昇進のスピードも速く、早い段階でマネージャーやパートナーといった役職に就くことができる可能性もあります。
もちろん、高い給与水準に見合うだけの努力と成果が求められる厳しい世界ではありますが、その分、コンサルティング業界は若手にとって非常に魅力的な環境であり、短期間で自分自身を飛躍的に成長させることができるのです。
5. 優秀な同僚との一生ものの繋がり
コンサルティング業界において、優秀な同僚との出会いは、間違いなく最も大きな財産の一つです。
特に総合コンサルファームでは、各業界から選りすぐりの才能が集まっており、その環境で共に働くことで、かけがえのない人脈を築くことができます。
これは、単なる「仕事上の付き合い」ではなく、長期的に続く信頼関係や一生ものの繋がりになることが多いです。
私自身も、コンサル業界で築いた人脈が、その後のキャリアで非常に大きな力になりました。
まず、コンサルティングファームで働くことで得られる同僚との繋がりは、極めて特別なものです。
なぜなら、コンサルタントという職業そのものが、常に高いパフォーマンスを求められる厳しい環境に置かれ、共通の目標に向かって一丸となって働く経験を共有するからです。
特に、プロジェクトが厳しい局面に差し掛かったときや、クライアントからの無理難題に応えるためにチームで協力して解決策を見つけ出す瞬間、そこで生まれる連帯感は他ではなかなか味わえないものです。
私が携わったあるプロジェクトでは、チーム全員がほぼ毎晩深夜まで資料作成や戦略立案に追われ、肉体的にも精神的にも非常にハードな日々を送りました。
その時、同じチームのメンバーと一緒に乗り越えた経験は、今でも忘れられません。
その苦しい期間を共に過ごしたことで、私たちはただの同僚ではなく、まるで「戦友」のような絆を感じることができたのです。
こうした経験を通じて築かれた人間関係は、仕事を離れても一生続くものであり、これこそがコンサル業界の大きな魅力の一つだと感じています。
さらに、コンサルティングファームにいる同僚は、ただ優秀なだけでなく、異なるバックグラウンドや専門分野を持った人材が集まっていることが多いです。
たとえば、戦略コンサル、ITコンサル、財務コンサル、そして業界別の専門知識を持つコンサルタントが一堂に会してプロジェクトを進めることも珍しくありません。
これにより、日々の業務を通じて多様な視点や知見を得ることができ、自然と自分自身の視野も広がります。
こうした多様なバックグラウンドを持つ同僚とのディスカッションは、単なる知識の交換にとどまらず、新たな発想やアイデアを生み出すきっかけにもなり、コンサルタントとしての成長に大きく寄与します。
また、コンサル業界で築かれる繋がりは、業界を超えても大いに活用できます。
特に総合コンサルファームのネットワークは、事業会社やベンチャー企業、さらには起業家としてのキャリアにおいても非常に有効です。
私はコンサル業界からスタートアップに転職した後、コンサル時代に築いた人脈を活用して、様々なプロジェクトを成功に導くことができました。
優秀な同僚たちが事業会社や他のファームに転職する中で、私たちは常に助け合い、情報交換を続けてきました。
これによって、どの業界に行っても困ったときに頼れる「プロフェッショナルなネットワーク」ができるのです。
こうした人脈は、単に仕事の関係に留まらず、プライベートでも深い付き合いを続けることができることが多いです。
仕事で苦楽を共にした同僚とは、仕事を超えた関係を築くことができ、一生ものの友人として、仕事以外の場面でも支え合う存在になります。
私自身も、コンサル時代に共に働いた同僚たちと、今でも定期的に集まっては、キャリアの相談をし合ったり、時にはプライベートな悩みを打ち明けたりしています。
こうした人間関係は、他の業界ではなかなか得られないものであり、コンサル業界の大きな財産と言えるでしょう。
加えて、コンサルティングファームはその性質上、優秀な人材が集まっているだけでなく、そのネットワークが非常に強力です。
つまり、一度築いた繋がりは、コンサル業界だけでなく、様々な業界で大きな影響力を持つことになります。
例えば、元同僚が事業会社の経営陣として活躍していたり、ベンチャー企業の創業者として成功していたりするケースも多く、そのような人脈を通じて新しいビジネスチャンスやプロジェクトが生まれることもあります。
こうしたネットワークは、長いキャリアを考える上で非常に重要な資産となり得るのです。
6. コンサル業界の現実:ピンキリな人材の存在
コンサル業界に入る前、私が抱いていたイメージは、コンサルタントは全員が高い能力を持ち、鋭い頭脳と高度なスキルを持つエリート集団というものでした。
しかし、10年以上この業界に身を置いて気づいたのは、現実には「ピンキリ」の人材が存在するということです。
これは、多くの人が持つ理想的なコンサル像とのギャップを感じる瞬間でもあります。
特に、ここ10年ほどで総合コンサルティングファームが大量採用に踏み切ったことが、コンサル業界の人材の質に大きな変化をもたらしました。
以前は非常に厳選された少数の人材がファームに入ることができましたが、近年は採用規模が拡大し、特に新卒や中途採用のハードルが下がったように感じます。
その結果、かつてのような「超優秀」な人材の割合が減り、代わりに、正直に言えば「なんでこの人がコンサルに?」と疑問に思うような人材も見受けられるようになりました。
実際に私が関わったプロジェクトでも、特に若手のコンサルタントの中には、基本的な論理思考力や問題解決能力が不足しているケースが見受けられました。
例えば、プロジェクトの目的を理解していないまま作業に取り掛かり、完成した資料がクライアントのニーズに全く応えていないといったことも少なくありません。
また、クライアントとのディスカッション中に的外れな発言をするコンサルタントもおり、その度にフォローしなければならない状況が続くこともありました。
このような状況が続くと、プロジェクト全体のパフォーマンスにも影響を及ぼし、最終的にはチーム全体が苦境に立たされることになります。
また、コンサル業界特有の「面接テクニック」によって、優秀な人材に見えるように自分をアピールする能力に長けた人が、実際にはコンサルタントとしての資質が不足しているというケースも増えています。
面接でのパフォーマンスが素晴らしくても、実際のプロジェクトに入ると、論理的思考力やコミュニケーション能力に欠け、周囲からの信頼を得られないまま、プロジェクトが進まないという状況に陥ることがあります。
特に、パワーポイントのスライド作成やドキュメンテーションといった表面的なスキルだけが優れていて、根本的な問題解決能力やクライアントのニーズを正確に把握する力が欠けているコンサルタントは、コンサルファーム内で「使えない」と評価されてしまいます。
こうした「ピンキリ」な人材の存在は、特に新卒採用や中途採用で、選考基準が広がっていることに起因している部分が大きいです。
最近では、コンサル業界の人気が高まり、採用枠が増加したため、以前よりも幅広いバックグラウンドを持つ人材が集まるようになりました。
その一方で、コンサルタントとしての基本的な能力が欠けている人材も多く含まれるようになり、特に新卒で採用された若手に関しては、プロジェクトの中で一から鍛え直さなければならないケースも増えています。
もちろん、これが全て悪いわけではありません。
実際、コンサルファームは多様なバックグラウンドを持つ人材を受け入れることで、新しい視点や発想を取り入れることができ、これがイノベーションを生むこともあります。
ただし、問題は、ファーム内での「質の低下」を感じるコンサルタントが増え、その結果として、プロジェクトの進行が遅れたり、クライアントからの信頼を失うリスクが増している点です。
特に、コンサルタントとしての「基本」ができていないままプロジェクトに投入されることは、クライアントにも迷惑をかけることになるため、非常にリスキーです。
私自身も、これまでの経験の中で、優秀な人材に恵まれることもあれば、そうでないメンバーと共に苦労することもありました。
優秀なコンサルタントと共に仕事をすることで得られる成長や学びは大きいですが、その逆に、スキルが不足しているメンバーと共に働くと、時間とリソースを浪費してしまうことも多々あります。
特に、プロジェクトが進まない理由が「人材の質」にある場合、その対策に追われ、他の重要な業務に集中できないこともあります。
しかし、このような現実を受け入れた上で、優秀な人材が活躍できる環境を整えることが今後のコンサル業界にとっては不可欠です。
私自身、コンサル業界にこれから挑戦する人々には、しっかりとしたスキルと姿勢を持ってこの業界に飛び込んでほしいと思っています。
そして、業界全体の質を向上させることで、コンサルティングが提供する価値を最大化し、日本の経済にも大きな貢献ができると信じています。
7. 起業を目指すコンサルタントの現実
コンサル業界に入る多くの人が、将来的に起業を目指していると口にします。
「コンサルティングで経営の基礎を学び、いつかは自分の会社を持つ」という目標を掲げる若手コンサルタントは少なくありません。
私もかつては同じような夢を持ち、この業界に飛び込みました。
しかし、10年以上業界に身を置いた今、その現実は思っていた以上に厳しいものだと痛感しています。
まず、起業を本気で目指しているコンサルタントは意外にも少ないという現実に驚かされます。
多くのコンサルタントが起業を口にするものの、実際にその道を歩む人はほんの一握りです。
コンサルファームを渡り歩く人や、他のコンサルティングファームに転職する人、さらには事業会社にキャリアチェンジする人が大多数を占めています。
「将来起業したい」という志望動機でコンサルティング業界に入っても、その後のキャリアパスは意外に安定志向にシフトしていくケースが非常に多いのです。
その理由は複雑ですが、主にコンサル業界の厳しい環境が影響していると思われます。
コンサルティングの仕事は高収入である反面、非常に忙しく、長時間労働が常態化しています。
特に若手の頃は、プロジェクトのデッドラインに追われ、余裕のない日々が続きます。
このような環境で働き続けるうちに、起業のためのエネルギーやモチベーションが徐々にすり減っていきます。
最初は「起業」という目標を持っていた人も、次第に「今の安定した高収入を手放したくない」という思いにシフトし、リスクを避ける傾向が強まっていくのです。
さらに、起業するためには「経営の視点」を学ぶことが重要だと考えてコンサル業界に入る人も多いですが、現実にはそれだけでは不十分であることが明らかになります。
確かに、コンサルタントとしてクライアントの経営課題に向き合い、戦略策定や実行支援に携わることで、経営者目線を学ぶ機会は豊富にあります。
しかし、これはあくまで「コンサルタントとしての経営視点」であり、「自分自身が経営者になるためのスキルセット」とは異なる部分が多いのです。
コンサルティングはあくまでクライアントの課題解決を支援する立場であり、自らの会社をゼロから立ち上げ、リスクを負って意思決定をするという経験は積むことができません。
したがって、コンサル業界で働いているうちに、起業に必要な具体的なステップを描けないまま、時間が過ぎてしまうことも少なくありません。
もう一つの問題は、起業する際に必要なリスクテイクの精神が、コンサルタントとしてのキャリアを積む過程で薄れていくという点です。
コンサルティング業界では、クライアントのためにリスクを管理し、確実な成果を出すことが求められます。
このため、コンサルタントは慎重な判断を重視し、リスクを回避する習慣が身につきます。
これ自体はコンサルタントとしての重要なスキルですが、起業には大胆な決断やリスクテイクが不可欠です。
そのため、長年コンサルティング業界に身を置くと、リスクを取ることに対する恐怖心が増し、起業という大きなリスクを負うことができなくなるのです。
さらに、コンサル業界で成功していればいるほど、起業へのハードルは高くなります。
特に、パートナーやシニアマネージャークラスになると、年収が非常に高くなり、安定した高収入を手放すことが難しくなります。
年収数千万円という待遇を受けながら、「自分のビジネスを立ち上げるためにゼロからスタートする」という選択肢は、現実的には極めて難しいものです。
また、起業しても、独立系コンサルティングファームを立ち上げるケースが大半であり、本当の意味で新しいビジネスを創出する起業家は少数派です。
「自分のビジネスを持つ」という目標はあっても、実際にはコンサルティング業界の枠内での起業に留まってしまうことが多いのです。
それでも、コンサル業界での経験が無駄になるわけではありません。
たとえ起業に至らなくても、コンサルティングで培ったスキルや人脈は、その後のキャリアにおいて大きな武器になります。
多くのコンサルタントが、事業会社に転職しても高いパフォーマンスを発揮し、成功を収める理由は、コンサルティング業界での厳しいトレーニングを通じて、実践的なスキルや問題解決能力を身につけたからです。
また、起業以外にも、投資家やアドバイザーとしてのキャリアを築くことも可能です。
8. 総合的に見て、コンサル業界はやっぱり良い選択肢
コンサル業界の厳しい現実や課題をいくつか取り上げてきましたが、それでもなお、総合的に見てコンサルティング業界は非常に良い選択肢だと言える理由がいくつもあります。
多くの人が抱くコンサルタントのイメージは、長時間労働や厳しいノルマ、精神的なプレッシャーにさらされるというものかもしれません。
しかし、それを乗り越えるだけの成長機会や得られるスキルは、他の業界ではなかなか手に入らないものです。
まず、コンサルティング業界で得られる実践的なスキルは、他の職業では得難いものです。
論理的思考、問題解決能力、プロジェクトマネジメントスキル、クライアントとのコミュニケーションスキルなど、非常に実践的かつ汎用性の高いスキルを日々の仕事を通じて磨くことができます。
これらのスキルは、どの業界に行っても通用し、特に事業会社やスタートアップでの活躍にも大きく寄与します。
コンサルティングで得たスキルは、他の業界や自分のビジネスにおいても非常に価値が高いものです。
実際、多くのコンサルタントが他業界に転職した際にも、そのスキルを活かして成功を収めているのは、この汎用性の高さにあります。
さらに、コンサル業界の最大の魅力は、優秀な同僚や上司と切磋琢磨できる環境が整っていることです。
日々のプロジェクトで厳しい課題に取り組む中で、他の優秀なメンバーと一緒に働くことで、自然と自分自身のレベルも上がっていきます。
互いに学び合い、高め合うことで、同僚や上司と強い信頼関係が築かれ、その繋がりはコンサル業界を離れた後も一生ものとなることが多いです。
このネットワークは、自分のキャリアを次のステップに進める際にも大きなリソースとなります。
また、コンサル業界は「変化と成長」の業界です。
日々クライアントの新たな課題に向き合い、そのたびに新しい解決策を考え出すことが求められます。
こうした変化に対応する力が求められる環境だからこそ、常に新しい知識やスキルを学び続ける姿勢が自然と身につきます。
コンサル業界で働くことによって、自己成長に対する意欲が高まり、挑戦を続ける姿勢が養われるのです。
この「成長する力」は、コンサル業界の厳しい面を超えても得るべき最大の報酬です。
そして、何よりもコンサル業界は、給与水準が非常に高いという点でも非常に魅力的です。
特に若手のうちから高収入を得ることができ、経済的な安定とともに自分自身のキャリアを築いていける環境があります。
高い報酬が得られる分、仕事に対する期待値も高いのは事実ですが、それだけの経験とスキルが蓄積されていくのも事実です。
経済的な安定を得ながら、自分のスキルやキャリアを飛躍的に成長させることができる環境は、他の業界ではなかなか手に入れることができません。
コンサルティング業界は決して楽な職場ではありませんが、その厳しさに耐え、成長を続けることで、自分自身の将来を大きく切り開くことができる場です。
特に若手にとって、これほどまでに成長機会が豊富で、かつ高い報酬が得られる職業は他にはなかなかありません。
短期間で自己成長を実現し、将来的なキャリアに向けた大きな武器を手に入れたいのであれば、コンサル業界は間違いなく最適な選択肢となるでしょう。
9. まとめ
コンサル業界には、厳しさとともに無限の成長機会があります。
給与水準も高く、優秀な同僚との繋がりや実践的なスキルを身につけるチャンスに満ちています。
もちろん、人材の質にバラつきがあったり、長時間労働の課題があったりしますが、それを補って余りある魅力がこの業界にはあります。
ぜひコンサル業界に興味がある方は、その成長機会を存分に活かし、自らのキャリアを築いていってください。
今後も転職後に活用できる情報を発信していきますので、引き続き宜しくお願いします。