#05 好きな気持ちに嘘偽りはなくて
愛してるよって言わなくちゃ伝わらないのは分かってる。
云わなくても好きなこと愛してること想ってること、言わずして
伝わる方法はないのかな。
きっとないんだろうな。私の頭ではいくら考えても思いつかない。
どこまでも、どこまでも、いつまでも、いつまでも、
消えない愛があればいいのに。
どこにもないんだろう。少なくとも今のところ。
仁人はなに考えてるかな?死にたい死にたいばっかり伝えて大切なこと
何一つ言って無かったんじゃないかな。
あ、思いついた。
手紙書いてみようかな?
ノートの切れ端じゃ少し寂しいので便箋を用意する。
男の子に手紙なんて書いたことあったっけ?
お気に入りの万年筆で想いをひとつひとつ確かめるように
したためる。
「いつもありがとう。心配してくれて。迷惑ばっかりかけてごめん。」
文頭の文言はまず謝意を述べるところからスタートしてみた。
実に私らしい。いつも謝ってはすぐにおきあがりこぼしみたいに
仁人が聞きたくない言葉を何度も何度もぶつけてしまっていた。
後悔も反省も今となっては、今更かもしれないけどしている。
後悔、反省、謝罪、更生はセットなんだとどこかで
耳にしたことがある。どこでだろう?今はそれはいいや。
その台詞を言っていた誰か、覚えてくれていた私に感謝しよう。そうしよう。
小さなことで?いちいち落ち込んでる暇はない。今はこの便箋に想いを
詰め込む作業に集中しよう。邪念や雑念は取り払って。
この気持ちが私の心が字となって顕れる。
ひとつひとつにこんなこと考えている自分もいるんだなと驚かされる。
私が私の気持ちを確かめる試練でもある。
ある種そんな要素を孕んでいる気がした。
ここで確かな想いがひとつだけある。
彼のことが好きだということ。
好きで好きで好きで仕方なくて、その想いの丈をどうぶつけたらいいか
分からずにいたこと。ちゃんと恋らしい恋もしてこなかった私の初めての恋だと
いうこと。これが最初で最後の恋だったらいいな、なんて映画やアニメのような
心持ちでいること。
正直言えなかったことがたくさん話せてる気がする。
昔から文章を書き連ねるのが好きで綺麗な文字が音符みたいに
並んでくのが好きだった。
小学生の頃、確か3−4年生くらいの時に父に買ってもらった万年筆。
よく考えてみると長い付き合いだなあ、と感心する。
この想いはどうしても変わらない。
言えずにまだいるだけで手紙に詰め込んでる。
どうやって渡そう?直接渡せたらいいのだが憚られた。
でも気持ちはちゃんと伝えたい。
とある場所で待ち合わせをした。
行きたくてなかなか行けずにいた場所で。
初めてなら仁人といつからか考えていた。
緊張も少しはあるけれど
会って嫌われたらどうしようとか。
でもそんなこと考えてたら前には進めない。
木々が花々がめいいっぱいにオシャレをしようとしてる。
私もたくさんオシャレして臨もうと決めた。