#04 すれ違う日々、最後の一手。

あれから仁人にどれだけ救われていたのか気付く日々だった。
仁人がVRで配信してるのにどんな顔して行けばいいかわからなくて。
あれからも死にたいって慟哭が消えることは無かった。
仁人に一日何回死にたいって言ってたんだろう。
その度にどれだけ辛い苦しい思いをさせてきたんだろう。
もう話すことはないのかな。
一度くらい逢ってみたかったな。昇華し切れない後悔ばかり募る。
電話鳴らしてみようかな。でも何を話せばいいんだろう。

ー「もう話すの辞めよう。」ー

そう言ったのは私だった。私が悪かった。何もかも。
死にたい死にたいなんて聞いている方がいい気分するわけない。
でも違うの。仁人。好きなんだよ。好きなの。
好きだからわかって欲しかった。
言えてないからきっと伝わってない。仁人がどう思ってるかも分からない。
死にたいことよりそれを伝えるべきだった。何より一番に。

久々にコールしてみた。
「どした?」久々に聞いた声。なんだか懐かしい。

「いやげんきかなあと思って。」

「相変わらずだよ。日和の方はどう?」

「あんまり言いたくないけど死にたいって気持ちが消えたわけじゃないけど
一応、でも元気は元気だよ。」

「簡単には消えないよな。でも元気そうならよかった。」

「あのね、言いたいことがあるの。」

「何?」

「いや、その。うん、今の私にはまだその資格がなさそうだから。」

「資格?だから?」

「うん、だからなんでもない。」

「その資格とやらが取れたら教えてよ。」

「うん、いつかとってみせるから。またね。」

「わかった。待ってるよ。また。」

今はこれでいい。今はきっとこれくらいがちょうどいい。
まだ王手はかけないでおこう。
きっと本当に私にまだ挑む資格がないから。

まだだ。

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