集団になるとバカになり、頭の良い人は潰れる
企業勤めの方はよく感じるかもしれません。この会議、何の意味があるのか?仕事してるフリをしてるだけで、何も生み出していない。
また、政治に関わる不祥事、その他問題の起きたニュースを見ても、なぜこんな結論に至ったのだろう、と思うことがあるかもしれません。今日はそうした社会的機能としての集団の弱点を取り上げます。
人が集まることで様々な意見が組み合わさり、議論が熟成される。1人でも多くの意見を集めた方がより良いものが得られると思いがちですが、社会心理学において「集団思考」、「集団極性化」と呼ばれる現象はそうしたメリット以外に起こり得るデメリットに焦点を当てた研究です。それら研究は人が集まるとバカになる可能性を示唆しています。
「バカになる」とは、集団による意思決定の質が個々人が単独で行う意思決定の質よりも低下することを意味します。主な原因を以下に記します。
1. 社会的圧力
集団内での一致した意見に対する圧力が個々人の独立した判断能力を低下させる。異議を唱えることが社会的な不利益を招く恐れがあるため、個人は自分の本当の意見や疑問を抑えがちになります。
2. 自己検閲
集団内の調和を重んじ、自分の異なる意見や疑問を自ら検閲する行為。これにより、重要な情報や視点が議論から排除されることがあります。
3. 幻の一致
集団内の意見が実際には一致していなくても、一致しているという錯覚を持つこと。これは、他のメンバーも同じ意見であると誤って推測することから生じます。
4. 直接的圧力
意見の不一致を表明するメンバーに対して、他のメンバーが直接的な圧力をかけること。これにより、異議を唱えることのコストが高くなり、異議を唱えることが減少します。
5. ステレオタイプの形成
外部のグループや個人に対する否定的なステレオタイプを形成することで、自グループの意見を正当化し、外部の意見を軽視する傾向が強まります。
6. 集団の一体感の追求
集団内の調和や一体感を保つことを最優先するあまり、問題を深く掘り下げることなく、表面的な合意に至ることがあります。
これらの原因により、集団は個々のメンバーよりもリスクを取る傾向が強まったり、非現実的な判断を下したりすることがあります。
また、個人的な見解を含みますが、知能の高い人は問題をより深く理解し、考える能力が高いため、様々な事象についてより多くの可能性を考慮し得ます。このため、不安や心配事に対してより敏感になる傾向がある場合があります。
なのでその選択肢が正解かどうか、自信が持てません。あれこれと思考が飛び交ううちに、何がベストなのかわからなくなります。もちろんそうでない人もいますし、より多くの選択肢が見えることは多くの場合メリットをもたらすでしょう。しかしこれに集団心理が重なるとどうでしょうか。
先にあげた社会的圧力やステレオタイプの形成、一体感の追求などによって大きな声(強く、自信を持った主張)が通りやすくなる傾向にあります。
集団の色にもよりますが、小学校から社会人を通した経験において、やはり自信がなかったり不安そうな声は通りにくいことを実感してる人が多いと思います。
他の選択肢が見えず、より単純な論理だけで物事を信じることができる人は声を大にして意見を述べることができるかもしれません。そしてその声に同調する集団としての性質は、より良い選択肢を潰していく可能性があるということです。
そうして賢い人の意見はかき消され、そうした経験を積むとただ悶々として過ごすか、正解を求めるのを諦める癖がついていくことも考えられます。解決するには集団の中の一人一人がそうしたことを意識して行動する(ランダムに発言権を儲けて意見の機会を平等にする等)か、賢く潰されそうな人も努力し集団としての性質を理解した上で振る舞うか、いずれにしても集団内の自己を客観的に捉え、全体最適を考える人々が必要かもしれません。
それでは今日はこの辺で!ありがとうございました。
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