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投資と旅(´24)~天ぷら定食を食べて小売業の未来が見えた!~

今年も、関東地区への投資の旅に出た。

秋は投資旅にぴったりな季節だ。

今回の投資旅の主な目的は、

🔳ビックカメラ
🔳良品計画
🔳ほぼ日

の小売業3社の株主総会への出席と、

●宝塚歌劇 星組貸切公演「記憶にございません!」観劇
●「没後10年展 高倉健に、なる。」展
●第11回日展

などの東京観光を兼ねている。

東京都内を、旅行者用のTokyo Subway Ticket72(1,500円)で観光した2024年秋の投資旅を記録しておこうと思う。



🔳ビックカメラ株主総会

ビックカメラの株式は、10年以上保有している。株主総会へは、はじめての参加だ。私には家電量販店マイルールがある。白物家電はエディオン、ソニー製品はソニーストア、それ以外はビックカメラで買うことが、ルールになっている。3社とも株を保有している。

ビックカメラは、フレンドリーな接客が好きだ。ヨドバシカメラも嫌いではないが、売り場が大きすぎて、なんだかいつも落ち着かない。

株価は、既に簿価を大きく上回っている。当面インバウンドで支えられるだろうし、万一、経営に失敗したら、どこかが買うだろうから、あまり気にしない。できれば、規模拡大の為にエディオンや高島屋などと合併して欲しいとは考えている。自宅の近くにグループ会社のコジマがあるので、ポイント消費に便利だ。

株主総会の会場は、地元の板橋区立文化会館大ホールだった。板橋区役所前駅から徒歩で、下町の商店街を抜け、会場へ向かった。

板橋は、名古屋でいうと大須、大阪でいうと鶴橋のような印象を持った。

株主総会は会場までの導線も含んでいると思う。全体的に地元感の強いアットホームな総会だった。司会の社長の応対にも好感が持てた。

あまり深く事業を理解できていなかったので、今回の参加で知るきっかけにもなった。

グループの成長シナリオとして、

サーキュラーエコノミー型の事業モデルを目指しているようだ。店舗を起点に、販売、修理、買取・リユース、不用品の回収・再資源化までの一貫した基盤の強化に取り組んでいる。

おもしろいのが、ラクウルのアプリとの連携機能だ。購入した家電が、ラクウルの持ち物帳に記録され、買取資産として管理できる。購入品を資産として管理できるところが斬新だ。ソフマップをグループに持つ強みを生かしている。

あと小売業として、現場に権限委譲し、店舗の魅力向上に力を入れているようだ。

質疑応答で、1つ興味深い議論があった。

株主からのTV番組へのスポンサーについての質問、

「サンデーxxxxという偏向報道する番組でCMを流していることを、どう考えているか?」(株主の質問の要約)

これに対して、ビックカメラ側は、視聴者層や時間帯等を基準にしてCM提供しているが、意見を参考に今後配慮するという真摯な回答だった。最近の報道によると、こういった偏向報道する番組のスポンサーへの不買運動も始まっているらしい。

石丸斎藤モデルという、新しい選挙形態が生まれつつある中で、家電量販店の株主総会で、オールドメディアの在り方を議論できるのは、すばらしい。この臨場感は、ファンドへの投資では体験できないし、質問者と回答者の温度感は、ネット配信では伝えられないだろう。

全体的に運営が固いが、好感の持てる株主総会だった。


🔳良品計画株主総会

良品計画の株式の保有は、1年程度しかない。無印のレトルトカレーと菓子、文具が元々好きだった。また簡素なパッケージングや、地域社会への事業展開にも共感していた。無印の家にも興味があり、見学会などに参加していた。

だから、中国事業低迷などで株価が下がったタイミングで、投資した。幸い、その後、業績が回復し、株主優待追加などもあり益が出ている。

良品計画は、店舗での株主交流が盛んだ。ただ、東京、大阪中心であり、即時に予約が満席となり参加できていなかった。今回の株主総会が、はじめての直接的なコンタクトだ。

株主総会の場所は、東京国際ファーラム。本社は文京区なので、物語性はない。2部構成で、前半が総会、後半は株主ミーティング。私は、午後、ほぼ日の株主総会があったので、総会の途中で退出した。

結論、強い違和感だけが残った。

まず、株主総会出席可否が抽選。これは個人的にはないと思う。落選したら株を売却したと思う。

さらに、総会での質疑応答に、共感できなかった。聞きたいことのすべてを、他の株主に質問して頂けたが、聞きたいことに何一つ答えない。私が、バカなのかもしれないが、唯一、社長の回答分だけは、ときどき共感できた。

特に、ユニクロや家電量販店などとの競合に対して、どのように対処しようとしているかに対して、理解できない方針めいたコメントしかなかった。

地域社会とのコラボやリノベ事業は、すばらしいと思う。ただ日本の少子高齢化、過疎化の現状に対して、どのようなポジションをとっていくかの質問にも、明確な回答がなかった。

政治へのスタンス、中国の地政学リスク対応への質問にも、すべてモヤっとした回答だった。今、企業の政治へのスタンスは、非常に重要だと個人的には思う。企業献金の方向性も気になる。兵庫県県政(知事役を堺雅人でドラマ化の企画あり)、石丸新党が、注目されている中で、今後の政治に対して、何の見解も言えないようのでは、信頼性に欠ける。

良品計画でも、ビックカメラでのCM提供に関する質問があった場合、良品計画側がどのように回答したか興味深い。

さらに、個人的な意見だが、企業理念、経営方針が冗長的で、ポイントがぼやけていると感じる。良品計画が単独で、ESGトップランナーになったり、地産地消型の「地域分散資源循環業」に転換しても意味がない。国政や地方行政、他企業との連携体制が見えない。

たとえば、ビックカメラのラクウルのアプリと、家、家具、電化製品だけでも連携(この手の取り組みは既に実施されているかもしれないが。。。)すれば、大きな可能性を感じる。

紙の似非エコ株主優待カードも、その割引%も違和感がある。さらに株主優待カードは、対人レジ必須でレジ待ちを助長していることから、無印アプリへの組込みを開発中とのこと。はじめから対応しないことが理解できない。福缶の内容も、ESGトップランナーを目指す企業が提供するものなのか疑問だ。

また、総会を途中退出した為、参加賞(?)の自社商品をもらえなかった。2時間は参加したのに。。。

これらの違和感は、社長交代とも何か関連しているかもしれない。

良品計画の事業や無印の商品デザインには強く共感するが、経営刷新の為、イオンなどと合併して欲しいと感じた。ということで、良品計画とのファーストコンタクトは、最悪に近かった。

違和感は、私の良品計画への理解不足かもしれない。後半の株主ミーティングに出席していたら印象は変わったかもしれない。今後、深堀していきたい。

追記(24.12.19)
[良品計画7453] 第46期定時株主総会 動画配信が公開された。再度見かけたが、やっぱり質疑での良品計画側のご回答が、私には理解できない。この違和感を大切にしたい。

🔳ほぼ日株主総会

ほぼ日の株式は、上場以来、保有している。総会は、4回目の参加だ。場所は、本社近くの神田スクエア。なんだかんだいって、私は、ほぼ日が好きなんだろうと思う。

今回は、元サッカー日本代表監督の岡田さんの講演付なので参加した。

昨年から実施している前代未聞の参加者によるプレゼント交換会には、参加していない。いらないものは、いらないから。実際はどんな感じなのだろうか?興味はある。2回目なので、やる意義は何かあるのだろう。

参加賞として、Tシャツ、マルチポーチ、ボールペンなど頂けた。少しうれしい。ほぼ日の3色ボールペンは、既に4本以上未使用で持っている。軸の色違いのコレクター気分になってきている。

株の評価損は、配当と株主優待(ほぼ日手帳等)、総会での講演や参加賞、そして新たな気づきなどと相殺して考えることにしている。

余談だが、初回の総会で提供され、生まれて始めて食べたシウマイ弁当は、大ファンになった。ほぼ日の株主にならなかったら、一生食べていない可能性が高い。今回、休憩時間に提供されたお菓子(マドレーヌ?)も美味しかった。そんな生身で感じる体験を1つ1つ大切にしたい。

以下のようなニッチな取り組みもある。水晶をつかったジュエリーのコラボでなかなかおしゃれ。売上貢献は別にして取り組みがユニークだ。

岡田さんの講演と糸井氏との対談は、想定内。岡田さんは、すっかりビジネスマン風だが、TVで見た通りだった。岡田さんが、ANAを一番利用している顧客であること、カズさんとメール交換している仲という裏話も聞けて、楽しめた。

企業業績としては、手帳販売が海外売上比率50%を超え、増加傾向が継続している。ただ、手帳の在庫償却に対する課題を抱えたままで、手を打てていないようだ。手帳以外は変化を感じられなかったが、電子版のほぼ日手帳は新規開発中とのこと。

株価は機関投資家が見向きをしない時価総額で、買いが入らず、右肩下がり。IRにも力を入れておらず、今後の課題とされていた。社長は、一般的な価値観である右肩上がりを意識していないようにも見える。

質疑応答の中で、ほぼ日の上場継続の意義がないとの指摘が株主からあった。株主の意図はよく理解できる。ほぼ日は、オールド型の企業群とはかけ離れてる。社長の回答は、No(異議あり、意義あり)だった。

その指摘に対するほぼ日からの回答の中で、糸井氏に鍛えられた優秀な女性社員が多く育っているので、将来に期待して欲しい、たった7年で評価しないで欲しいという発言があった。この今の現状が、今後の株価に影響するかは別として、「やさしく、つよく、おもしろく」という行動指針と合致するとは思う。

でも、ほぼ日で糸井氏が不在となれば、企業組織として成り立たないことを、今回改めて実感した。良品計画等との合併をなるはやで模索して頂きたい。


🔳宝塚歌劇 星組貸切公演「記憶にございません!」観劇


コンバースの懸賞企画でペアチケットが当たった人の付き添いでの観劇。東京の宝塚劇場は、はじめてだ。公演はコメディタッチで楽しめた。

宝塚歌劇は4回ほど観劇しているが、良さはまだ理解できていない。

私は、約10年ほど前、TV番組のSMAP SMAPのゲスト出演で、当時の花組トップスター、明日海りおさんのダンスを見てときめいたのと、北川景子さんが宝塚歌劇の大ファンだったことが、観劇のキッカケだ。

疑問なのは、

出演者が多すぎる気がする点(コスト大)と、スゴイが、何のためにクジャクのような衣装で毎回階段を降りる必要があるのか?華やかさより、足元があぶなくてヒヤヒヤする。

まだまだ私は、芸術への感性が低いようだ。

最近、リベラルアーツに関する記事をよく見かける。山口周さんによると、

全米の年収の上位10%に当たる人々の専攻科目で、政治学、哲学、演劇、歴史といったリベラルアーツ系科目が突出しているらしい。

リベラルアーツは、常識(今しか、通用しない習慣)的なもの中から、問題を設定することに有効に作用するとのこと。

上位10%グループに入る為に、演劇は苦手なので、歴史、哲学、政治学そして恋愛も深めていこうと思った。

 

🔳没後10年展 高倉健に、なる。


無料のこじんまりした展示だった。


写真撮影不可なのが残念だった。ポスターを買おうか迷ったが、荷物になるし、先着順で配布されるポストカードをいただけたので、我慢した。

展示の中で、健さんのCM動画が印象的だった。

「自分、不器用ですから」(日本生命)
「珈琲が好きです」(ネスカフェ・ゴールドブレンド)など

実際のCMを見た記憶はないけど、カッコいい。

健さんのように、数字や言葉、文字以外で表現し、背中で語れる無口な投資家になりたいと思った。

🔳第11回日展

最近は東京で日展を見ることが多くなっている。愛知、京都、大阪でも見るが、大阪で見るのが一番好きだ。

東京の旅の最終日に、トワイライトチケット(観覧時間:午後4:00~6:00、入場料500円)で見てから帰るのがパターン化している。

洋画、日本画、彫刻、工芸、書のカテゴリの中で、書はわからんのでパスする。洋画が一番好きだ。

切り取られた2次元の中の線と色。こんな切り取り方があるのかと、毎回ハットさせられる。風景、人物、街など、無限の組み合わせの中で、静止させられた絵。AIを使えば、絵の前後の世界も生成できるだろう。

好みの絵の写真を自由に撮れるのがうれしい。

日展と投資の関係性は、よくわからない。でもコネクティング・ザドッツ。いつか必ず答えは見つかるハズだ。


まとめ


〚投資旅(´24秋)個人満足度〛
・◎ビックカメラ株主総会
・✖良品計画株主総会
・〇ほぼ日株主総会
・〇宝塚歌劇 星組貸切公演
・◎「没後10年展 高倉健に、なる。」展
・〇第11回日展

(評価は内容で、すべて参加できたことは良かった)


たまたま、スケジュールが合った小売業3社の株主総会に出席した。業種を絞って、複数の株主総会に出るのも面白いと感じた。

小売業3社の共通の戦略は、現場強化だった。これには少し疑問が残った。耳アタリは良いが、言い訳に聞こえた。企業戦略としての方向を示せないので、現場に丸投げしているように感じた。

私は、話すようにコードを書けるプログラマーと仕事をしたことがある。要望するレイアウトの画面がすぐできて、実際に動かしながら、顧客と議論できるのは、快感だ。そのプログラマーは議論の中で、先読みしながら無言で複数のコードを書き続けていた。

こういうことですね?
それより、これはどうですか?
そうしたら、こんな風になってしまいますよ!

と、たまに議論に参加しながら。

でも、システムは、ユーザーインターフェースや使いやすさがすべてではない。システムは、使いにくかろうが、毎日1時間ダウンしようが、そのシステムで企業が儲かるかどうかが重要だ。


令和の理想の小売業の現場は、どのような形態になるのだろう?

ヒントは、今回も、合間に訪問したお店にあった。

場所は、神保町の天ぷらのいもやさん。

新入社員の時の東京研修で、同期の明治大学出身の人に連れて行ってもらった。

数十年ぶりの訪問。天丼が好きだったが、もうないので、1,000円の天ぷら定食を食べた。すばらしいのヒトコト。ボリュームがあって、満腹になった。

お店は、お二人のオペレーションで、大将の職人ような腕で、天ぷらが次々にあげられていく。定食が1,200円でも、問題ないだろう。もし関西の下町なら900円にするかもしれない。これでデフレだの言うのはやめて欲しい。かってに必要性の乏しい値上げをして、最高益を自慢するような企業は信用できない。

清潔なお店で、満腹になり、顧客が幸せな気持ちになる。そして、食事した方が、そのあと幸福感につつまれながら、よい仕事で成果を出し、社会と大将の年金も支える。これぞ成長と分配の好循環。

GDPではない、右肩上がり神話を破壊する、いもやさんのような幸福の循環モデルを模索したい。

それは、

ほぼ日のような、ゆかいな経営と、ビックカメラのような持続可能なビジネスモデル。そして良品計画が目指す、社員と顧客と投資家のコラボレーション。

そんな中で見つかるのかもしれない。


【今日のひとこと】


これはあなたのために書いたのではありません。後世のために書いたのです。

(ドイツの作曲家、ベートーヴェン)

これは、あなたのためにあげた天ぷらではありません。日本と私の家族の為にあげたのです。(ある天ぷら屋の大将の想い?)

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逢坂リュウ
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