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【商品考察】さわかみファンド(2) ~アクティブファンドの投資銘柄への納得感~

今年から、さわかみファンドを保有して、

長期投資

というコンセプトを深堀しようとしている。

少し前だが、ファンド仲間・投資先企業・さわかみ投信が一堂に会し、長期投資の未来を切り拓くというイベント

「さわかみファンド運用報告会」

に今回はじめて参加した。交通の便の悪いグランキューブ大阪での開催。来年は横浜のようだ。


様々な気づきを得られたが、

書き出したら、個人の感想レベルの違和感だらけの内容になったので、詳細は書かず、備忘録的に整理しておこうと考えた。

楽天証券やマネックス証券のイベントと大きく異なるのは、2点ある。

1点目は、あたりまえだが、さわかみファンドの話だけだ。でもNISAや、特にiDeCoへの言及がなかった。また、60%以上は50代以降の顧客なのに、老齢期の資産切崩しや相続などへの提案もなかった。

これは、さわかみ投信の販売機能が弱いことが原因だろうか?信託報酬1.1%の内、0.38%が販売用コストだ。直販なのに高いと感じるし、顧客をファンド仲間というなら、経費の内訳やコスト改善活動の成果なども報告して欲しい。現状の運営では某政党の裏金レベルだ。

20年以上の歴史あるファンドなのに、年次イベントとして、これで良いのだろうか?

良いファンドを運営しようとする熱意は伝わる。でも現在を生きる個人投資家像を描けていない。『ほんとうの長期投資家』というイメージだけが一人歩きしている。さわかみファンドを長期保有したら『ほんとうの長期投資家』になれるワケでもないだろう。

直販ロジックも、まだ腹落ちしていない。下落時に売られると割安の株を買いに行けなくて困る云々を述べられる。下落時にさわかみファンドを売って、その時点の対応として最適な他の金融商品を買う資金を確保することもNGなのか?

さわかみファンド1本だけ生涯持つことを、さわかみ投信は推奨しているのだろうか?顧客のライフステージで変化するポートフォリオには、無関心なのだろうか??さわかみファンド保有者は、皆、ご自身でポートフォリオを設計する上級者なのだろうか???

長期投資にぴったりなiDeCoへの言及がないことを、後日メールで質問した。回答は私には理解できない内容だった。さわかみ投信が考えるiDeCoを活用した非課税長期投資のグランドデザインを知りたかった。

今年参加した、楽天証券とマネックス証券の年次イベントでは、旬な話題も豊富で、それなりの納得感があった。


2点目が最大の違いで、

ブースには、ファンドで投資している会社が参加している。つまり顧客自身が間接的に投資した企業と直接会話できる。

10社程度は真剣に会話した。企業側も、実際の投資家相手への説明なので熱意を感じられた。知らないことも多く学べた。

が、しかし、私が今投資したいと思えた会社は、1社しかなかった。

さわかみファンドは、投資先をすべて公開している。情報公開として、すばらしいが、100社を超えるので、個別に精査できない。で、今回実際に10社と会話して、1社しか共感できないなら、さわかみファンドへ追加投資はできないと判断をした。 

こんな感覚ははじめてだ。さわかみ流の投資哲学をもっと知りたい、さわかみファンドの世界観をもっと知りたいと考え報告会に参加した。投資銘柄を精査するつもりで参加したのではない。おそらく私は、運用報告セッションで感じた違和感のようなものを、企業との対話の中で、信頼性の答え合わせしたのだと思う。

この結論は、まったく想像もしていなかった。

何事も実際に体験しないとわからないものらしい。

さわかみファンド長期保有者は、投資銘柄に対して、どのような理解と自らの資金を投資している責任感を持っているのだろうか?納得できない会社に資金を入れたくない。

他にも違和感は多くあった。

・開催直後の運用報告セッションで代表者の挨拶、スピーチがなかった。(これは気になったので後日電話で確認した。例年、スピーチしないとのことだった)
・開催直後のプレゼンのアイスブレイクにネクタイの色を使った。関西を甘く見すぎていると感じた。
・年次運用報告の内容にまったく興味を持てず、途中で寝てしまった。
・スタンプラリーは、企画としては理解できる。でも、そのコストを自ら支払っていると考えると、ばかばかしくて途中でやめた。これも、はじめての感覚だ。たとえば、楽天証券のイベントで、参加している運用会社から、ギブアウェイの手帳などを頂いたとする。その運用会社のファンドを買っていたとしても、そのコストは、直接、自分の支払っているコストからではない。さわかみ投信の場合は異なる。すべて負担している感覚になる。運営の優劣が、直接的に気になる。
・アナリストが変に理系色を出していた。技術的に中途半端な議論に聞こえた。地盤に執着していたので、地盤より台湾有事に執着して欲しいと感じた。
・入場プレゼントされた最高投資責任者の書籍の内容に共感できなかった。
・イベント入場受付の方が、派手な時計をつけていた。

などなど

書き出すとキリがない。
個人の感想の記録は、これぐらいにしておこう。


1点、宿題が残った。

アクティブファンドが、「ともに未来を」というコンセプトを出すのは理解できる。

ただ、他にパフォーマンスの良いファンドは山ほどあり、さわかみファンドの選択自体がある意味、結果的に機会損失となる中で、さわかみ投信が存在した時期は、『失われた30年』ともかぶる。

であるなら、さわかみファンドが、日本社会にどのように貢献したかが論点であり、顧客側は、どうすれば評価できるのか?評価できないなら絵に描いた餅になる。

ちょっと難しい問題にも気づけた運用報告会だったが、よっぽど対話したい企業が参画しない限り、もう参加することはないだろう。


まとめ


さわかみファンド運用報告会へ参加し、自分の投資スタンスとして、大きく2点を明確できた。

1)事業が伸びそうだから、良い会社だから、今割安だからというような基準で選ばれる『おつとめ品的アクティブファンド』への投資はしない。そんな基準で選択されたファンドに新しい未来が創造できるとは思えない。割高でも投資する意義がある企業に投資したい。ボトムアップではない具体的な世界観を持つ金融機関と協業したい。
2)個人投資家の投資成果は、社会保障制度、税制等、政治と大きくかかわる。政治や制度設計にも深く踏み込み、歪な制度と正面から向き合う気概のある金融機関と協業したい。

今後、さわかみ投信主催のアナリスト勉強会にも参加し、今回の違和感が解消されるかどうかを検証するつもりだ。


【今日のふたこと】


器だけを見るな。
中に入っているものを見定めよ。
(ユダヤ人の金言)

企業が解決すべき問題は、
顧客課題ではなく社会課題だ。
(経済学者 フィリップ・コトラー)


外側だけで、ファンドを語るな。実際に保有し、体感してから見極めよ。

今、金融機関が解決すべき課題は、老後2000万円問題などではなく、社会課題だ。既に顧客が課題を見失っているから。(金融機関が課題を見失っている又は、見失わせたかも?)


(参)会長の報告会推薦コラム。運用側が、おもしろく感じることは理解できる。ただ、おもしろがってもらっても困る。良い会社なのだから、もっと成果だせよと『怒り』を持って対峙していただきたい。



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逢坂リュウ
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