第二章 ②よからぬ関係(ドロドロ)
それからさらに数日後、一通のlineが彼女から来ました。
「俺の女に手を出さないでもらえる?」
最初は意味が分かりませんでした。
来たのは仕事中。忙しい土曜日の混雑時でした。
ですが、数秒後に「あ。あいつだ。」
僕には、心当たりがあったのです。
その心当たりはその数日前に遡ります。
僕は、比較的朝方に彼女の家に向かうことが多かったんです。
その理由としては、自分の仕事が終わるのがほぼ朝方ということと、
彼女の仕事が朝の6時ぐらいから出勤するということで、
彼氏と彼女の良くある営みも含め、彼女の職場に送迎するということも含め、そのような時間に行っていました。
その時は、自分も彼女も次の日の仕事が休みでのんびり過ごしていたのですが、
6時ぐらいに、部屋のチャイムがなりました。
最初は「酔っ払いかなんかが部屋番号間違えて連打しているのかな?」
と思ったのですが、それが、10回ほど続き、彼女に聞くと、
「いいから。大丈夫。」
とのこと。
大丈夫ではないだろと思いながら、自分もその時は核心も何もなかったので、彼女の言う通り、無視しました。
だが、その時にそいつの後ろ姿をインターホンのモニターごしに見たのを今でも覚えています。
『半袖・短パンにスリッパ』
どうみても、近所を出歩く格好です。
そいつからのlineだということに気づきました。
「今は手が離せない状況なので、明日本人からいろいろ聞きたいので時間作ってもらえるように言っといてもらえませんか?」
それだけ送って仕事に集中しました。
いや、集中なんてできませんでした。出来るわけないですよね。
ずっとモヤモヤしたまま、お客さんと談笑したり、料理を作ったり。
かなりの地獄な気持ちでした。
営業終了後、「明日休みにするか!お前も彼女と会えるやろ!」
と、オーナーの優しい気遣いを笑顔で「ありがとうございます!」というのが本当につらかったのを覚えています。
「明日、休みになったから昼から行く。正直に話して。」と送り、
「わかった」と一言の返事が来ました。
本当に家に迎え入れてくれるのかわからないまま、お昼過ぎに彼女の家に向かいました。
無事に、家には入れてくれて、その時事の経緯の全てを知りました。
lineを送ってきたのは近所の自営業をしている妻子持ちの男でした。
出会ったきっかけは聞いたはずなのにあまり覚えていませんが、
今思えばおそらく、その人ともマッチングアプリだったのではと思っています。
いろいろ相談とかしていくうちに体を彼女の方が許す関係になり、
その男も近所だったということもあり、よく、体の関係を行っていたそうです。
最初は、本人も妻子持ちということは理解したうえで関係を続けていたそうですが、
「このままではダメだ。」と、ふと思い、
新しくやり直そうと思っていたところ、マッチングアプリを使い、
自分と出会ったそうです。
ですが、その男からの関係をなかなか切ることができず、
自分とのお付き合いが被ることになってしまった。
そういったことが、今回の事件のあらすじになります。
その彼女と自分の関係はそいつも知っていたそうです。
そいつはかなりのクズで、女遊びのし過ぎで性器ヘルペスを患い、
彼女にも移してるくらいですから。
ですが、一通り彼女から事の経緯を聞き、自分の出した結論は、
「人にはいろんな過去がある。過去のことに文句言ってもしょうがないし、そいつとの縁を今からちゃんと切ってくれたら、俺は気にしない。」
とだけ伝えました。
そしたら、彼女の返事は
「・・・」
だったので、
「悩むということは、未練があるんか?」
ということだったので、その時にさよならを伝えて部屋を出ました。
これが、彼女との1回目の別れになります。
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