Report_7 [NorwayStudyTour]-学校に綺麗事なし。企業、市場、お金が大事。-
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Norwayの水産業は成長中。水産高校への応募はこの2年間は30%ずつ増加し、学校も定員を拡大している。いつでも水産業がこのような活気のある状況だった訳ではない。70年代を境に12万人いた漁師は現在では1.2万人、10分の1まで減っている。苦しい時期に、水産高校はどう感じていたのか?Fusa高校のTorJohannsen先生はこう話してた。
「サーモンや魚の市場価格が悪い時期が続いていた。資源量が回復しても市場価格が低いかぎり、漁師も関連産業も給料は上がらない。でも、少しずつ市場の状況は改善した。卒業した後の就職先の給料が上がったことで、私たちも学生を喜んで声がけできるようになった。やはり給料が良くない時期は、私たちも悩んでいたよ。」
よい学校を出れば、よい給料が保証される時代ではない。でも、先生たちの思いとしては、手につけた技術が適切な金銭的評価を受け、教え子が満足な生活ができることを祈っているはず。産業全体を引き上げない限り、給料の改善は見込めない。からこそ、学校と企業は密に連絡を取り合って産業全体のことを考えているようだ。
もう1つの水産高校、Austevoll高校も同じ考えだ。
「私たちほど多くの企業と連携している高校はNorwayにはありません。60社以上に学校からインターンを受けいれてもらい、毎年様々な形で寄付をしてもらっています。昨年も1.5億円ほどかけて実習船を改修しました。私たち学校の船にも漁獲割当量が割り振られています。地域の船元にこの分を担当してもらい、その売上の一部を還元する仕組みがあります。企業とよい関係があるからこそ、学生たちが実践を積む場を提供してもらえる。」
企業が取り入れる最新鋭の器材を、高校にも提供することで、卒業生がすぐに現場で働くことができる。先生も企業と一緒に新たな器材の利用方法を学ぶ。学校の教員と企業もともに学び合う関係がある。言ってしまえば、企業の人材育成費を高校に委託しているようにも見える。でも、経済的に厳しく労働力が足りない時代であれば、とても理にかなっているように思う。
高度経済成長を経て、豊かな時代には総合職が優遇され、選択を遅らせることが有利とされたのではないか。時代は変わり、失われた時代はこれからも続く可能性が高いとき、高等教育は”教養”だけと言って企業、市場、お金と遠い場所にいられない。もっと今を冷静にとらえていく必要のだろう。もちろん、現場で早く働き始めること=人生の決定を早めることにはならない。いつでも学び直すことができる環境を用意している。
これから日本の1次産業高校は、地域企業、市場、お金とどんな関係を築いていけるのか。チャレンジングなテーマだ。