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地元にも移住者にも等しく同じ時間が流れれる場所

移住促進の仕事をしていると、メディアで発信されるイメージと現地のイメージが異なる地域がある。インバウンドで有名な観光地に、多くの移住者がいたものの、時間が経つと残った人は片手くらいだった話も聞いた。仕事がありそうでも、暮らしが合わなければ人は出ていく。かくも、移住者が暮らし続けるのは難しいことだと思う。

移住関連の仕事を始める前に、「行っとくといいよ!」とゲストハウスを経営する友人に進められて滞在したのが長野県善光寺前にあるゲストハウス1166bp。20人も泊まれない小さな宿。でも、ここに滞在して移住した人は数知れず。

5年ぶりに訪れた長野市は相変わらず魅力的だった。お店は夜早く閉まる。でも、善光寺のお朝事があるからか、善光寺付近では朝早くはじまるお店が多々ある。1166bpのスタッフの人に朝行くべき場所を教えてもらった。

5時45分からはじまるお朝事のお経を聞きながら、善光寺から周りをぐるっと巡る山々を眺める。旅する私の横を、通学する日常の学生たちが足早に部活に向かっていく。そして、グルメ散歩がはじまる。くるみ大福、鯉焼き、コーヒー、パンと続いていく。地元の人が営んできたお店と、移住者がはじめたお店、どちらにも等しく時間が流れて、町の雰囲気を生み出している。浮き沈みはあるけど、それぞれのお店がゆっくり着実に歩んでいる様子が受け取れる。

旅人を受け入れる器は、あれから5年たっても変わらず同じ家具で同じ照明で迎えてくれた。宿に戻ると、中国、フランス、カナダなどいろんな国籍のゲストが1日の予定を朝食をとりながら考えていた。つかずはなれず、絶妙な距離感でゲストと交流するスタッフ。寄り添うことと同じくらい、着きすぎないことも大事だなってつくづく思う。


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柳澤龍
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