鱒矢龍之介
※やや残酷な描写を含みます。 ※グロテスクな表現が苦手な方はご注意下さい 「違う、ああ、悪くないんだ、お前が……… 違う、違う、違う、違う、違う、違う、違う… あああああああああああああああああああああ 俺はなんて、ああ、こんな、いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ! 違うんだ、これは俺じゃない」 僕は傍観する。 まさに地獄絵図。 かつてヒトだったものは、面影すらない。 脳を、腸を、引きずり出され、四肢は筋繊維と神経が切り裂かれ、骨は
「アタシとトウシは友達」 「友達、とはなにをもって友達と呼べるんです?」 「トウシは棘があるよね」 「いきなりなんですね。」 「友達に線引きはないよ。アタシが友達だと思ったから友達。」 盗み聞きするつもりはなかった。 「トウシはアサヒが生きていると思う?」 「さぁ。出来る限りの現実を見るならば生存は絶望的でしょう。ですが、私は彼に生きていてほしいと願っています。」 「そうだね。アタシも。」 サクサクと山中を歩く少年は裸足だった。 ヒラヒラと揺れる長い裾は明らかに山を歩くの
「二人は仲良しね」 突然現れた女の子は俺ととても気が合っていて二人でずっと遊んでいた。そんな俺たちを見て母は微笑んでいた。 「わたしね、ここにいられないの。」 「なんで?」 「なんでも。ダメなんだって。」 「俺、ずっと一緒にいたい。」 「なら、私が迎えに行くよ。待っててね。」 花のような笑顔で彼女は言った。 幼い頃から女性が苦手だった俺は彼女をつくることもなく今まで生きてきた。なんとなく女性と関わることをなんとなく避けてきたが大学へ入ってサークルを見学していた時、一人の女性
何故か毎年、彼女達に日本中が注目を浴びせる。 彼女達が花開けば、春の訪れを感じるからなのかは知らないがこの国ではそうなのだ。 染井吉野、山桜、江戸彼岸桜… 桜といっても彼女達はたくさんいる。 ところで、何故僕が桜を彼女というのか気になったかい? 気になる人は僕の昔話に付き合ってくれ。 僕は友達がいなかった。 元々人が好きではないし、関わりたいと思える人もいなかった。 僕の故郷は中途半端な田舎だった。駅に近くなればそれなりに人工物も多くあったと思う。ただ、僕の家