「キッズ訴訟」全記録⑩令和5年度議会懇談会・住民監査請求却下
名取市議会では毎年11月に、議会懇談会を開催しています。
議会懇談会は、名取市議会基本条例において、議会活動に関する説明責任を果たすとともに市民との意見交換を積極的に進めるため、毎年1回以上開催することが定められています。
議会懇談会の詳細は、議会運営委員会の委員で構成される実施委員会によって協議・決定されます。
令和5年度は、共通テーマとして、①なとりん号・なとりんくるについて、②なとりスーパーキッズ育成事業について、説明を行い質疑にお答えすることになりました。
ただしキッズ事業については、賛否が分かれたという理由から、議員個人の意見は述べてはいけないというルールが設けられました。
議員にとって最も大切な務めである説明責任を放棄しろという、無茶苦茶なルールが定められたのでした。
議会懇談会の報告書が公表されています。
市民はキッズ事業をどう見ているのか、傾向が掴めると思います。
参加者から寄せられた、キッズ事業に対する発言を抽出して列記します。
11月7日 下増田公民館
スーパーキッズ育成事業でスケートボードを選択した理由は。
スーパーキッズ育成事業の公募型プロポーザル審査会の結果として、令和6年~11年度の提案条件金額が2億2,800万円とホームページにあったが、市の負担は。
スーパーキッズ育成事業で聖地化を目指すとあるがその内容は。
スケートボートでオリンピックを目指そうと大々的に行っている自治体もある。その自治体より勝るという認識で議会で賛同されたのか。
移住定住でどのようにして人を集めるのか。
11月7日 那智が丘公民館
なぜスケートボードなのか
11月7日 閖上公民館
オリンピックで活躍する選手を育てるのは簡単ではない。例えば岩手県の場合でも15年かかった。再検討すべきではないか。
地元の小中学生が貧弱な施設の中で我慢しているのに、なぜよそから子供を連れて来なければならないのか。
子供のメンタルを考慮するというが、地元の子供が優先ではないか。
11月8日 増田公民館
スケートボードだけなのか。
家族で移住してもらうとのことだが安易ではない。市民への説明も不足している。
選考会の開催はいつか。
子育て支援の一環であれば勉強に力を入れるべき。
サイクルスポーツセンターは雨天の際練習ができないのではないか。
市役所のどの課が担当なのか。
子供たちへのフォローをしっかりとやってほしい。
突然出た話である。市民への周知が不足している。
プロポーザル審査会の結果を見ると点数が低いのではないか。
コーチやスタッフも名取市に移住するべき。
11月9日 尚絅学院大学
著名な指導者がいれば入門する子供も多くなると思うが、著名な指導者はいるのか。
スーパーキッズ選考・審査にあたっての基準はあるのか。
自分のこととして考えたとき、指導者とマンツーマンの対応が望ましいと思うが、マンツーマンなのか。
名取市のめざす特色あるまちづくりとスーパーキッズ育成事業はどうつながりがあるのか。
政策の中でどうしてスーパーキッズなのか。
11月13日 名取市民生委員児童委員協議会(関係団体)
進捗状況はどのようになっているか。
PR方法は。
何名応募があったのか。
著名人がいるということで追随するというのであればわかるが、ゼロからしかも移住を伴うとなるとハードルが高いのではないか。
その他の競技でも全国大会に行っている。市内の子供たちの様子も見てほしい。
スケートボードになぜ決まったのか。
家族で移住ということであるが、生計を立てるための支援はあるのか。
この事業は大きな賭けではないか。
11月14日 名取市消防団(関係団体)
スケードボードに取り組んでいる人口は。
移住して取り組んでいただけるのはありがたいが、名取市民の方が取り組んでいただき知名度をアップしていただけるとありがたい。
スケードボードは東京オリンピックでも話題になったが、いろいろな所で施設を整備しているのではないか。亘理町でも整備している。そのような中でスケードボードを選択した理由は。
施設的にはもの足りないのではないか。
移住定住の方への税の軽減又は優遇策は。
いろいろな分野のスーパーキッズを育成していく必要があるのでは。
人口の増を図るのがメインなのか、スーパーキッズを育成するのがメインなのか。どちらなのか。
※尚絅学院大学を会場とする11月9日の議会懇談会は、名取市にキャンパスが置かれる尚絅学院大学の学生が、ゼミの一環として参加しましたが、議会側からの説明等については、通常の議会懇談会と同じ内容で行われました。
議会懇談会が終わって間もない11月15日、住民監査請求の結果通知が届きました。
却下、つまり門前払いです。
本件審理も暫定的停止勧告も、行わないということです。
提出の際、監査委員の事務局長は、監査請求が容認されるのは難しいだろうとの旨のお話をされていました。
当然予想された結果でした。
それにしても内容には不服があります。
「仮に本事業が違法無効だとしても」と前置きはしていますが「本事業が、市長部局または教育委員会部局によるどちらが事業を遂行しても市からの公金の支出額に変わりはなく、市における本事業そのものに係る損害は発生しない」というのは、まったく却下の理由にあてはまりません。
教育委員会が実施主体であれば、違法性を問われることはなくなるわけですから、損害が発生するリスクは相当低下するのです。
私が取れる次の対応は、3点が想定されます。
1点目は、このまま住民訴訟に進むこと。
2点目に、監査請求結果を受け入れてキッズ事業は適法であると認めること。
3点目として、再度の監査請求を行うこと。
なお、この時点では、業務委託契約が結ばれたという公式な発表はありません。
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