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「キッズ訴訟」全記録Ⅱ⑥デジ田交付金の申請

1月25日、令和5年度デジタル田園都市国家構想交付金(地方創生推進タイプ)に係る地域再生計画の申請が、内閣総理大臣に提出されました。

24日に助言があり、翌日の提出です。
熟慮して修正する時間的余裕はなかったと考えられます。

ここで、いままで着目していなかった数値目標について、確認しておきます。
キッズ事業にはKPIという数値目標が3点設定されています。
KPIとは重要業績評価指標のことで、業績を評価し管理するための定量的な指標を意味します。
名取市でも長期総合計画をはじめとする各種計画に用いられており、基本的には毎年度の目標値を設定し、計画期間の途中で見直しを行う際にも参考とされます。

キッズ事業が設定したKPIは以下のとおりです。

  • ①年少人口(15歳未満)

  • ②子育て世帯の移住者の増

  • ③Natori Cup参加者数

次に①から③について、事業開始前の基準値 → 5年目の目標値 (5年間の増加分の累計)として示します。
①11,861人 → 13,220人 (1,339人)
②2世帯 → 7世帯 (5世帯)
③0人 → 230人 (230人)

この数字の設定は、当初の実施計画書からほとんど変わっていません。
それ以前に、項目の設定に問題があると思います。
人口動態である①と②は、様々な要因によって増減するもので、キッズ事業との因果関係を正確に示すのは困難であり、数値目標として掲げるのはいかがなものでしょうか。
③は、参観者が増えたとしてそれが何か?としか言えません。

キッズ事業の趣旨から言えば、本来ここにはキッズの活躍の度合いや、活躍による本市のPR効果が、数値目標として設定されていなければなりません。
例えば、全国大会等へのキッズの出場回数、入賞回数、メディアへの露出回数、インターネット上での反響(閲覧やシェア等の数)、キッズを題材とするプロモーションにより移住してきた世帯数、市民におけるキッズの認知度、キッズの活躍による市内児童生徒の地元愛着形成度、等です。
しかし、そのようなものを数値目標とするのは、行政としてふさわしくありません。
だから、当たり障りのない項目しか設定できないわけです。
この事業が、本来は民間主体で行われるべきものであって、行政主体で行うべきではないと主張を続けてきた理由には、そのようなこともあるのです。

なお、認定申請書の中にある総事業費についても、170,900千円という額は、構想当初から変わっていません。

3月29日、地方創生推進交付金の内示があったことが、県の担当からメールで通知されました。

内閣府からの送付資料は以下のとおりです。

  • 別紙1 デジ田交付金交付対象事業一覧(全国)※省略

  • 別紙2 デジ田交付金交付対象事業一覧(宮城県)

  • 別紙3 デジ田交付金不採択事業一覧 ※黒塗り

  • 別紙4 経費審査結果一覧表(都道府県別)※黒塗り

  • 別紙5 デジ田交付金内示額一覧(宮城県)

  • 別紙6 地域再生計画に係る指摘事項一覧(都道府県別)※黒塗り

  • 有識者コメント ※黒塗り

別紙1は、全65ページとあまりにも多いので、ここではカットしました。
別紙2、キッズ事業は新規の横展開型として、申請額13,700千円が全額認められました。
別紙5、地方創生推進タイプの内示額、50,020千円は、キッズ事業とDX推進事業の合計額です。
別紙3、4、6、有識者コメントは、存在が確認できません。
のり弁(黒塗り)文書の中に含まれているものと思われます。

結局、内閣府から受けた様々な指摘について、申請書の中でしっかり反映させることは出来なかったのに、地域再生計画は認められました。
結局認めるなら、ストーリー性とか、評価項目を増やせとか、わざわざ難しいことを言う必要はなかったのではないでしょうか。

交付の内示と同じ日に、交付申請方法についてメールで連絡がありました。

提出期限は3月30日の午後2時とされています。
提出書類は交付申請書、実施計画書、施設整備計画書の3点とされていますが、施設整備計画書はハード事業がある場合のみに提出するものであり、キッズ事業はハード事業がありませんから、交付申請書と実施計画書の2点のみを提出することになります。

3月30日付で、名取市長から内閣総理大臣に宛てて、交付申請書と実施計画書が提出されました。
内閣府と名取市それぞれに行政文書開示請求を行い、両者から開示決定がされました。

修正後の実施計画書と比較し、「4.交付対象事業の背景・概要(A~D)」「7.交付対象事業の重要業績評価指標(KPI)」「8.経費内訳」「9.先導性に係る取組」のいずれも、1月23日の事前相談の内容がそのままになっています。
それどころか、たたき台として宮城復興局に提出した12月8日時点の内容とも、そう大きな相違が見られません。
内閣府から受けた助言に対し、改善できていないことは明白ですが、申請書は提出されました。

内閣府は、どのような審査結果を示すことになるのでしょうか。

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