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どうなる?臨時国会(期間限定無料公開)11月19日終了

特別国会が開会され、衆参の議長、副議長、そして首相指名選挙が行われ、第二次石破茂内閣が誕生した。

落選や党代表職に就いた為、2名が入れ替わりになったが、第一次石破内閣の人事がそのままスライドした形になった。不安定な政権運営の状況は変わらず、また自民党内には石破茂退陣論が渦巻いた状況の中で、難しい政権運営を迫られる石破茂総理は、無事に臨時国会を乗り切り、補正予算成立にこぎつけることが出来るだろうか?

過半数を維持できない自公連立政権は、日本維新の会と国民民主党の政策をどこまで呑めるか?に焦点が集まっている。国民民主党はあくまで「103万円の壁」を178万円に上げることにこだわり、日本維新の会は政治改革を第一に掲げる。

立憲民主党も政治改革という点では一致しているが、他に政策の柱は無い。自民党の不安定な政権に乗じて政権交代を目指したい立憲民主党であるが、政権交代をしてやりたいことは何もない。

政治改革する上で、企業・団体献金の廃止を第一に掲げてはいるが、それが本当に第一でいいのかという疑問は付き纏っている。

立憲民主党が衆院選で一気に過半数獲得に至らなかった最大の要因は、政権交代は目指すが、その先に何を実現するのか?が、有権者に見えなかったからだ。自民党の政治資金規正法の不記載問題は、あくまで自民党内の問題であり、この問題をあげつらうなら、与野党関係なく国会議員全員に関わる問題となる。しかし、ここまでマスコミと組んで政権交代を目指すだけの地歩が固まっていたのに、政権交代に至らなかったのは、ひとえに立憲民主党は国民に期待されていなかったからだ。

立憲民主党が衆院選前から国民民主党と組んで連合を巻き込み、国民民主党案を飲んでいれば、或いは政権交代ができたかもしれないが、野田佳彦代表は石破茂同様、まず目指したのが首班指名で自分が指名されることであり、その後の野党連立政権で国民の意識が変わるような政策を打ち出せなかった為に、結局は政権交代に至らなかった。野党にしてみれば千載一遇のチャンスだった筈だ。その機を逃したのだから、もう野田佳彦が総理大臣になることはない。

『報道1930』で野田代表は、政治倫理審査会に裏金議員と言われる人々を引っ張り出し、必要なら予算委員会においても証人喚問すると息巻いている。しかし、そんなことを国民が望んでいるだろうか?野田代表が強気に出る背景には、衆議院の委員長ポストを五つ、憲法審査会のポストをとったからだろう。

政権交代を目指すための地歩を固めた上で、来年の参議院選挙、場合によっては衆参ダブルにして一気に政権交代を目指すということなのだろう。

ただ、各種委員会の運営も含め、果たしてそれを国民が見た時、仮に未だ批判しかしない野党のイメージが残り、かつ、臨時国会や来年の通常国会でも国民を置き去りにした政権交代ありきの国会運営となった場合、どのような感想を持つだろう?

その意味でも、衆院選挙前から国民民主党の政策を飲む野党連携が取れていたなら、あるいは野田政権が誕生していたかもしれない。つまり、そこは政局で勝ちきれない野田佳彦の弱さを感じる。

裏を返せば、使い物にならない石破茂が首相になる手助けをしたのは、結局、野田佳彦だったということになる。それが政界であり、政治というものだ。その読みの浅さが、立憲民主党が国民から支持されない要因の一つだと考える。

野田佳彦がワンチャン狙っていたのは、大連立であり、暗に石破茂にそれを迫った。ところが、ネバネバ総理は、国政よりも自分が戦後最短の総理になりたくない保身が勝ってしまった。野田佳彦の読みは、石破茂はもっと国民と国政のことを考えていたと思っていたのに、石破茂の本性を見たのではないか?つまり、石破茂は政治家ではあるが自民党という巨大組織を引っ張るようなリーダーではなかった。

野田代表の言説が再び政権交代に傾いた背景は、存外、そんな単純な理由ではないかと思うのだ。言い換えれば、石破茂が総理総裁の間なら、国会審議で石破を追い落とせると実感したのかもしれない。仮に臨時国会で補正予算で紛糾すれば、石破茂は持ち堪えることが出来ないで、参議院選挙に併せて衆参だぶるも大いにあり得る。そんなバカな、と考える人がいるかもしれないが、国会とはそういう場所なのだ。

流石に石破茂もバカではないので、自分に人気が無いこと、自分に統治能力が無いことは、よく分かっている。分かっているだけに、苦しい。自分が思い描いた総理総裁は、あくまで自公で過半数を維持している安定与党の自民党だった筈だ。そして、安倍晋三を羨んだのは、安定的な与党運営を見てきて、それが自民党だと思っていたからだ。政治資金規正法上の不記載問題が生じたとしても、自分なら自公連立の過半数維持して安定した政権運用を行い、憲政史に名を残すつもりだった。

ところが、自分でもびっくりするくらい自民党への批判が強く、自分でもびっくりするくらい石破茂人気は作り物だったし、自分でもびっくりするくらい石破茂には統治能力が無かった。つまり、全てが石破茂の思惑とは違っていたのだ。

前回の拙稿で石破政権を「死に体」と表現した理由は、これだ。有り体に言えば、今の石破茂は、どうして良いか分からないのだ。一つにはブレーンがいない。いや、ブレーンはいるかもしれないが、それが機能していないと言える。国会対策が十分では無いのだ。

巷間、通常国会の本予算が紛糾したら、石破おろしが始めると言ってるが、私はもっと早いと考えている。臨時国会において国民民主党は「103万円の壁」問題に取り組むだろう。その財源について、立憲民主党は真っ向から反対する。立憲民主党は財務省の傀儡だからだ。そして、今の立憲民主党は国民民主党が主張する減税策とは真逆の大増税を目指している。この点で、立憲民主党と国民民主党は握手できない。

インフレに苦しむ国民に対して、国の財源が不足するから増税などと、国民目線をまるで無視している。こんな政党が政権を取ってはいけないし、国民はとっくに気がついている。立憲民主党は議席が増えたのに支持率が上がってない現状の分析が出来ていない。国民感情を理解していれば、増税したい野田佳彦を代表に据えることが、いかに馬鹿げていることか分かるだろう。もっとも、立憲民主党議員全部が増税することの危険性を理解していないから、野田佳彦を代表に選んだとも言える。

話を戻す。

国民民主党はなんとしても、「103万円の壁」を乗り越える政策実現を年内の税制改正に盛り込むことを目指すだろう。

自民党が補正予算を通す為には、日本維新の会か国民民主党のどちらかに協力を仰ぐしかない。その為には、より具体的に踏み込んだ国民民主党の政策を飲むしかない。仮に国民民主党の言う「103万の壁引き上げ」「ガソリン税減税」「災害対策費」を税制改正に盛り込めないとなれば、補正予算成立も、通常国会の本予算成立も先が見えなくなる。

そして、日本維新の会が、立憲民主党案を飲んで、補正予算案を成立させれば、今度は通常国会が始まると支持率が低下する。そうなると参院選の惨敗が見える。

臨時国会は、これまで以上に紛糾するだろう。


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