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令和6年度予算成立のその後
令和6年度予算が衆参で可決され、決定したことで、通常国会は種々の法案の審議に移ることになる。
野党は自民党の政治資金不記載問題を理由に支持率の回復と、来る衆院解散に向けての潮流を作り出そうとしたが、必ずしもそれは成功したとは言い難い。
各メディアの支持率を見ても、決定的に野党が次期政権を狙えるところにはいないことが、明確だ。
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今年度予算は過去2番目の規模になるが、予算フレームの中身で見ると、税収の伸びと公債費が減ったことで、規模的には若干縮小した。
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特別会計の歳出総額は436兆円だが、半分以上は会計処理上相殺されたり、一般会計には全く無関係のものなので、実質、207兆円の純計額を見ていく必要がある。また、ただ直接的に我々の生活に関わる部分は7兆円程度だ。下図がその内訳となる。
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令和6年度予算の中身で岸田政権の是非を分析するのは、非常にテクニカルな面が大きく、我々一般庶民には多少、縁遠い話に聞こえてしまう。
岸田政権はデフレ脱却を掲げている以上、ある程度の予算のスケールを持ちながら、景気刺激策を打ち出すことになる。メディアで取り上げられているような
、6月の減税策については諸説が飛び交っているが、財務省よりと言われる東京財団政策研究所の土居丈郎研究主観の見立てでは、今回の減税策により所得格差は縮められると結論つけている。
このシミュレーションの中身は、詳しく見ると分かるのだが、所得が平均値を下回る世帯には多少の恩恵があるかもしれないと言う数字だ。詳細は是非、東京財団の文章をご確認いただきたい。
財政の面での難しい数字が並ぶ内容よりも、我々が注力すべき点はどこになるだろう?
上述の各政党の支持率の動向を見て、率直に感じるのは、国民民主党の玉木代表が
触れているように、果たして野党は共闘が可能なのか?と言う点ではないだろうか?
この動画の中で玉木代表の言を借りるならば、そもそも立憲民主党は維新の会と組む気などサラサラ無いだろうと言う点だ。ひろゆき氏は立憲と維新が組む上での国民民主党の役割について言及したが、玉木氏は立憲民主党と維新の会が組むことは、立憲民主党内部で意見集約が出来ないだろうと見ている。
私も玉木氏と同意見だ。
立憲民主党は、日本共産党が有している固定票を利用することと、政策面で共有できる部分があると考え、共産党との共闘を模索してきたが、共産党と組むことは連合に反発することであり、また有権者の期待を無視するやり方だ。それはとっくに数字が証明しているのだが、立憲民主党は共産党に共鳴しているかのようにしきりと近づこうとしているように見える。
共産主義者に考え方が近い議員が多い立憲民主党は、私が幾度か指摘している日本の自称リベラルには「意識高い系」と言われる革新系の議員が多い。自らを頭がいいと勘違いしているから、頭でっかちで理想論を振りかざす議員のことだ。だから最初にイデオロギーを持ってくる。それがLGBTだったり人権重視だったり戦争反対だったり改憲に反対だったり在日外国人を擁護したりする姿勢だ。それらなんちゃって平和、なんちゃって反戦、なんちゃって反差別がかっこいいと思っている。そう、かっこいいと思っているのだ。アメリカの都市部に多い、意識高い系リベラルと同じだ。
理想論が先に来るから、現実問題は一切無視して構わない。そして、自分たちの理想論が全てなので、その理想論で苦しむ人、迷惑を被る人がいても、気にしない。何故なら、自分たちの理想論の方が大事だし、自分たちの理想論が正しいと思っているからだ。そして、総じてこれら意識高い系バカには、偏差値が高く、それなりの企業にいる人が多い。これを頭が良いバカと言うのだ。現実は無視し、理想に生きることがかっこいいと思っている。
これらの議員と支持者がいる立憲民主党と維新の会が共闘しても上手くいく筈がない。維新はより現実的な政策を打ち出している。そもそも、政治家にかかるお金の問題に前向きに取り組んでいる維新の会と、金に汚い政治家の多い立憲民主党では水と油の関係でしかない。立憲民主党支持者は、立憲の政治家にはお金に綺麗な政治家が多いと思っているのが、そもそもの間違いで、立憲民主党の政治家の多くは、理想論をぶち上げて支持者から票を得てひたすら議席にこだわる政治家が多い。特に国会議員の多くはテレビ中継が入っている時には、盛大に自民党批判を繰り返すが、それ以外ではろくな提言も行っていない。要は自分が目立ち、来たる選挙に議席を確保すること「しか」念頭にない。
先日のAbemaTVを観ていれば一目瞭然だ。ひろゆき氏が立憲民主党も維新の会も若手が政権を狙っていないことの本質を指摘していたが、さもありなんだ。これはひろゆき氏だけが感じていることではない。多くの無党派層がそう思っている。
立憲民主党も維新の会も、現実的には、様々な問題があるので軽々に発言出来ないと言うニュアンスの発言が目立つ。しかし、その言葉の裏側は、自分の保身であることが見て取れる。有権者は政治家などより頭がいいので、こんな役立たずに政治を任せることはないと感じている。だから、無党派層が増えているのだ。その現実が見えていない野党だから、政権交代は不可能だろう。
私は笑ってしまったのだが、先日の参院本会議での小沼巧議員の討論が、少し話題になったが、あれは、有権者に対して現状維持を訴えているだけの発言だったと、どうして立憲民主党支持者は思えないのだろうか?あれは負け犬の遠吠えでしかない。本当に政権交代を狙い、また政権交代が出来る政治家がいるなら、あんな情けない訴え方はしないし、予算委員会で裏金などとレッテルを貼ることはしない。政策論の本質で議論すればいいのだ。それを脇に置いて、どうか自分たちに票を入れてくれなどと頼むのは、実力は無いが頑張っていると言ってるだけの話で、そんな気弱な政党に政権を任せようなどと有権者は思わない。
言い換えれば、民主主義国家である日本においては、野党が弱い時は国家が安定していることを意味する。逆に野党に熱狂的な支持が集まる時ほど、ドラスティックな野党再編や政権交代の機運が高まっている時だ。これを感じ取れない政治家なら、政治家をやる資格は無いだろう。
結論から言えば、今の岸田政権は諸問題を言われながらも、よくやっていると言うのが総評だろう。誰に政治を任せるのかを決めるのは、政治家ではない。有権者だ。その有権者が例え岸田政権の支持率を下げているとしても、そのかわりになる政党や政治家がいないと感じている、そのことの現実を最も受け止めなければいけないのが野党だが、彼らには自らの議席確保以外に興味はない。
派閥解消を決定した自民党の党内政局であるが、安倍派幹部をはじめとして、自民党内40名の処分を行うとの情報が飛び交っている中、岸田総理がいつ、解散を決めるか?に焦点が移っている。
前回の拙稿、『中国徹底を決めきれない経営者たち』で触れたように、中国は中国経済が日本のアキレス腱になっているだろうと思い込んでいる。つまり、自分たちの経済圏の中に日本は取り込まれていると思い込んでいるのだ。日本の中小企業の多くは、バブル崩壊以後、安い人件費を求めて中国進出を決定した。今の中国は、日本をはじめ、多くの先進国が世界の工場として中国を利用してきたからこそ、今の繁栄があるのだが、隣国の日本は中国の文化の影響を受け高度成長期を迎えGDP世界2位まで上り詰めたが、中国があってこその日本だと思っているし、次は日本の経済発展の礎となった中国が日本に変わって経済的に世界をリードすると思っている。そして、どこまでも日本は中国に従属すべき立場であり、中国は日本を従える立場であると思っている。
これは冗談ではなく、本気でそう思ってるのだ。だから、福島第一原発の処理水放出に、いちいち文句をつけてくる。自分に断りもなく、そんなことをするなと言いたいのだ。そして、訪日客の中でも中国人がいなければインバウンド効果は無いだろうとおも思っているから、日本の外交姿勢のあり方一つで、中国人観光客を日本に送るかどうかも中国共産党が決めている。つまり、自分たち中国が無ければ、日本は困るだろうと、本気で思っているのだ。
ところが、蓋を開けれ見れば分かるように、今の日本ではオーバーツーリズムが起きるほど、年間2,500万人以上の訪日客が訪れている。中国人はその中で、少なくはないがインバウンドを支えるというほどの数字にはなっていない。
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令和6年はさらに多くの外国人観光客が見込まれており、併せて外国人労働者も更に増加するだろう。それに併せて共生社会を言い始めている。確かに労働力が減っているのは事実で、日本は慢性的な労働力不足が起きている。その状況下で外国人を受け入れる対策も必要だが、やはりもっと重要なのは、出生率を上げていくことだろう。政治は今以上に数十年先を見越した政策に取り組む必要があるだろう。
本来、野党はそのあたりに切り込む政策を打ち出す必要があるし、それでこそ、有権者に受け入れられる政党になるのだが、残念ながら、今の野党議員は自民党議員以上に目の前のことにしか関心がない。
政局については、7月に予定されているNATO会議に併せて岸田総理が訪米し、日米韓首脳会談を行うだろうから、それまでは解散総選挙は行われないとすると、NATO会議直後に衆院選を行い、9月の自民党総裁選で岸田総裁体制を再構築して、長期政権を狙う公算かもしれない。現状では、自民党は大勝利ではなく負けない選挙を行うことは可能だ。