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税制改正への道

今回の自公国の合意形成は、本丸の税制改正に向かう、大きな一歩だと感じる。

岩盤であった旧来の税制に風穴を開ける意味で、今回の国民民主党案をベースにした「103万の壁」を打ち破る自公国の合意形成は意味がある。

国民負担率自体が実質賃金が伸び悩む元凶になっているのは間違いないが、しかし、働き控えを起こしている歪な税制にはメスを入れなければいけないと訴えてきた国民民主党の主張が一部、与党を動かした形になった。

当然、この動きに待ったをかけるのが財務省ということになるが、そもそも、総合経済対策として自民党が今回の臨時国会に掲げている35兆円規模の枠組みについて、敢えて再考の動きを見せずダンマリを決め込んでいる財務省は、別の形での増税を模索しているのは間違いない。

日本国政府の台所を預かる財務省を悪者にしたくはないが、財務省設置法の見直し議論が始まるまでは、財務省が抵抗するのは間違いない。そうでなければ財務省の存在理由が無くなるからだ。お父ちゃんの働き次第で家計をやりくりするのはお母ちゃんの勤め。とは言っても、お母ちゃんのやり方次第で、へそくりを作るのも自由と言えば自由だが。

この記事の中で、今回の自公国の政策協議の合意に対して、野党第一党の立憲民主党は露骨な不快感を示した。

立民 大西税調会長「野党第1党とも協議するのが筋」

立憲民主党の大西税制調査会長は、党の税制調査会の会合で「『年収の壁』の見直しや『トリガー条項』の発動などは私たちも求めているので結構なことだと思うが、本来、一部の野党とだけコソコソ話すことではなく、われわれ野党第1党にも内容を説明し、正面から協力を求めて協議をしていくのが筋ではないか。私たちもしっかりと税制改正について考え方を取りまとめて与党に申し入れをしていきたい」と述べました。

確かに与野党協議で臨時国会、通常国会へと前向きな議論を進める下準備は必要ではあるが、立憲民主党はマイナカードと保険証一体化に反対とか、選択的夫婦別姓の法制化とか、たちどころに国民生活に直結した中身には全く興味が無さそうなので、そちらはそちらで勝手にやってくださいと言われたに過ぎない。

優先順位を無視した協議をやってる暇などない与党としては、目の前の問題の解決に向かわなければならず、また国民生活に直接関わる事項を最優先とする以上、いちいち立憲民主党の話など聞いてはいられない。

今回の経済対策の修正案の協議について、立憲民主党が国民民主党案を飲む代わりに、マイナ保険証廃止案を飲めとか、選択的夫婦別姓の法制化を臨時国会で協議しろとか、国会が遅延する可能性が高い文句を聞けと言ってくることが分かっている。そんなものに足を引っ張られる理由がない。

そんなくだらない野党第一党など相手にしてる暇は無いし、国民民主党は自民党の宮沢税調会長という高い壁を越えなければならない。緊縮財政の最右翼とも言える宮沢税調会長を納得させなければ、国民民主党案の実現は困難を極めることになる。

そんな時に、税制改革の足を引っ張る立憲民主党を協議の場に引っ張り出すなど、到底、出来ることではない。

税収への不安要素を取り上げることと、実際の税収に基づく財政均衡はイコールフィッティングには決してならない。特に管理通貨制度国においては、基本概念として政府負債は国民資産であるという考え方は変わらない。もちろん、日本円が基軸通貨ではない為、MMTのような暴論は日本では無理だが、アベノミクスの基本概念である通貨量の調整による為替変動リスクの回避は、日本円は可能だ。そしてこれは為替操作には当たらない。

経済のケの字も分かってない立憲民主党議員は、選択的夫婦別姓とかマイナカードがどうしたとか、その打ち出すタイミングが一向に日本の現状に合っていない。その言い分は実にくだらないのだ。本来、臨時国会で言うような政策ではない。数少ない支持者の為だけのポリコレ体質のやり方は、いい加減、三行半を下されてもいいだろう。支持母体は一応、連合ということになっているが、今まで立憲民主党は連合と同調した政策を打ち出したことがあるのだろうか?連合も、もはや諦めているかもしれない。労働者目線の政策の必要性を無視して、日本の0.5%程度のマイノリティの為だけの政策を優先したら、日本社会の構造自体が変わってしまう。ここを批判されている自覚が、今の立憲民主党の議員にはない。

これは自民党の石破茂にも同じことが言える。石破茂は、緊縮財政派だが、それは単にアベノミクス批判をして、安倍晋三との違いを言うことで地方の高齢者の支持を得たいだけの話だ。地方の高齢者を保護する政策は、年金生活者にはいいかもしれないが、現役世代にとって、これほど苦しめる政策は無い。この時代感覚というか現状認識の欠落が、石破茂が宰相としての能力が著しく欠けている点と言ってもいい。

この無能力な石破茂体制は、増税しなければ日本の財政が危ないという財務省の無謬性に起因していることは、繰り返し繰り返し言い続けなければいけない。現役世代を大切にしない政権は、潰れるのだ。だから、これも繰り返し繰り返し言い続けているが、自民党内政局のパワーバランスだけに終始した自民党議員は、万死に値する。次の選挙で落選させてもいいくらいだ。そしてこれを支持者は直接議員に伝えるべきなのだ。そうやって議員のレベルを底上げしなければ、政治改革など夢のまた夢だ。

話を元に戻すと、国民民主党の「103万の壁」見直し案についても、それだけを問題視した議論をするから、国民目線からかけ離れた議論になる。

会合に加われないとイジけても始まらないと思うが、これは立憲民主党内の意見集約が出来ていないことをいくら指摘されても、今の立憲民主党執行部は理解できないようだ。いや、理解はしていても、リーダーシップに乏しい野田執行部は党内の調整がスムーズにいかないジレンマがある。それをやらなければいけないのが小川淳也だが、そもそもその役回りが彼には荷が重い。小川淳也も石破茂同様、簡単なことを小難しい言い方でテレビで説明することは得意だが、党内の調整役、取りまとめ役は出来ない。だから、米山隆一程度の議員の言葉すら、言いっぱなしにさせてしまっている。米山隆一は、今の立憲民主党がバラバラな印象を有権者に与えている最たる存在だが、彼は自分の頭がいい自慢がやりたいだけなので、そんな立憲民主党の政党としてのあり方など微塵も考えていない。だから、あんなピントハズレの議論に終始する。

こんな頭がいいバカがいるから、今回の自公国の協議に混ぜてもらえないのだ。これで立憲民主党が有権者に対してのアピールにはならない。米山隆一は、いかにも財政均衡という問題意識を持っているとアピールしたところで、今、それを議論するタイミングではないことを理解していない。そりゃ女子大生に金渡してセックスして県知事を辞職するだろうなと感じる。東大出て医師かもしれないし弁護士かもしれないが、国民感情は1ミリも理解していない。

何故、これだけ立憲民主党をdisるかと言うと、こんなアホな政党と、自民党内の緊縮財政派が財務省べったりのことばかり言ってるんだから、こいつらを乗り越えて税制改正に踏み込むのは至難の業だ。そして、こんな難しい仕事を、石破茂が出来るわけはない。能力が足りないのだ。

日本の非常に複雑な税制と歪な税制を改正して、実質賃金の底上げを行うのは、それくらい難しい。

だからこそ、今回の国民民主党案をまずは突破口として、岩盤となってきた強固な抵抗勢力を乗り越えていかなければ、実質賃金の底上げも、若年層の底上げも、製造業の国内回帰し製造業のインフラの再整備も出来ない。

この点に踏み込まない議論は片手落ちなのだ。

また、今回の103万の壁議論に加えて、国民負担率が問題になっているが、税制と社会保険の仕組みを混同してはいけない。

税金も国民生活インフラの整備に使われるので、将来世代の為に必要なことであるが、社会保険制度は自らの為に使われるものだ。つまりインセンティブという点で、自分に跳ね返るものであり、その意味では社会保険と税金を混同することは誤解を招く可能性が高い。

国民民主党が「103万の壁」問題に踏み込んだきっかけは、歪みが出ている税制について、改正できるところから改正するという議論を始めようというのが、元々の発端と考えるべきだ。

つまり前述の米山隆一のように、屁理屈で無理がある点を指摘したところで、岩盤となっている税制、歪みのある税制の改正には向かえない。その意味で、国民目線が欠けたことを言ったところで、それは無意味とさえ言える。下世話な言葉を使わせてもらうなら、自分の頭がいい自慢をしたところで、国民に皺寄せが行ってる問題を解決することは出来ない。エリート意識が国民を縛っているということが問題なのだ。


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