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安倍晋三の陰と石破茂の迷い
所信表明演説
通常国会が開会し、石破茂総裁は施政方針演説で「楽しい日本」を目指すと語った。
このあまりに幼稚な表現に、野党からは批判が渦巻いている。これは、現実がまるで見えていない点で、まさしく石破茂という総理を的確に評価していると見ていいだろう。
分けても、施政方針演説のタイミングで、日銀が利上げを表明したのは、とてもではないが「楽しい日本」などと呑気なことを言ってる場合ではないことを示している。石破茂は本当に現実が見えていない。
今回の施政方針演説で石破茂が言いたかったのは、「楽しい日本」の一言に尽きるだろう。ReHacQの独占インタビューでも、この「楽しい日本」について饒舌に語っている。では、石破茂が言う「楽しい日本」とは、一体、何なのだろうか?
石破茂は田中角栄の日本列島改造論に端を発する地方創生論の行き着く先にある、地方の活性化について「楽しい日本」と言う言葉に置き換えて表現している。
地方の活性化には、まだまだいろいろな手法があると言いたいのだ。しかし、果たして石破茂の言う「楽しい日本」が地方創生を軸に実現するのだろうか?石破茂は、農業にしても介護にしても、地方が活性化する道はまだまだあると言う。しかし、石破の話には安倍晋三元総理のような人の心を動かす力は感じられない。
安倍晋三はデフレ日本からの脱却として、大胆な金融緩和を中心とした手法を打ち出すことで、株価も有効求人倍率も一気に改善した。これをその前の旧民主党からの取り組みが功を奏したと言う人もいるが、現実は全く違う。要は旧民主党政権に期待した有権者の期待を裏切った鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦への反動と、大胆な金融緩和を行い、政府主導でデフレ不況からの具体策を打ち出した安倍晋三への期待感が、経済にそのまま反映した形となった。
では、石破茂にそのような期待感が湧かないのは、何故なのだろう?
緊縮財政派であるとか、増税したくて仕方ないからとか、いろいろな意見はあるだろう。
私は、ただ一つ、安倍晋三の幻影に怯えていると言うのが石破茂の本音だからではないかと考えている。石破茂が政治家として夢見てきたのはただ一つ、総理総裁になることだった。総理総裁になって何かをするのではなく、総理総裁になること「だけ」が、彼の悲願だったのだ。その悲願を打ち砕いてきたのが、他ならぬ安倍晋三だったし、今もその幻影に苦しんでいる。
だから、やることなすこと安倍晋三の言わなかったこと、やらなかったことをやろうとしているのだ。
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