アルコール依存症との戦い第2章
第2章 大量飲酒者
前章でも触れたが、我が家は裕福でもなく、ましてや、私自身が勉強嫌いだったせいもあり、進学はせず就職した。
当時は今と違い、進学する奴はクラスで半分にも、満たなかったと記憶している。
もう18歳で仕事に付けば、当人達はりっぱな社会人気取りだ。
無理をしてローンを組み、高級車を買い、助手席には彼女を乗せ、友人とは毎晩飲み歩いた。
もちろん毎朝二日酔いである。
春になれば花見酒、夏はBBQ、秋は…そして冬はクリスマスに、朝から堂々と呑める正月である。
結局の所、毎晩毎日理由など関係なく、365日酔っていたかっただけなのかも知れない。
余談ではあるが、近頃の若者達は(もちろん全員ではないが)欲がないというか、変に大人しいと言うか、冷めている気がしてならないのだが…
私の会社を見ても、妻から聞く話でも
今の若者達は無理して高級車など買わないし
走ればいいよと、安い軽自動車に乗っている。
それと若者達の酒離れは、酒造会社としては深刻であり、ノンアルコールに力を注ぐ事態である。
そういった子達が多く見受けらるが、それは決して悪い事だと思っているわけではない。かえって無駄使いせず、極めて賢いとも言えるだろう。
しかし、そろそろ結婚してもいいと思う
歳になっても彼女も作らず「1人の方が気楽だ」と、なんとも寂しい事を言う子達もいる。
仕事についてもそうだ。
上に立つより、給与は安くとも、使われていた方が気楽だ!と言う。
中には、せっかく親に大学まで行かせてもらい30歳過ぎて、独身雇われコンビニ店長…なんだか親御さんが可哀想な気がした。
私達の時代は「いつかはクラウン」(またまた余談になるが、ついにトヨタからクラウンという15代続いた高級車王冠ブランドが生産中止となった。時代の流れとはいえ寂しい話である)
などと言うCMキャッチコピーもあり、小さいながら「俺は社長になる」と、会社を作った友人や、早くから人を使ってる奴らも居たもんだった。
ゆとり教育や、経済の成長低迷のせいだと言ってしまえばそれまでだが、私達の頃のような夢を追う、高見を目指していたような、活気がなくなっている気がしてならないのだ。
現に私も27歳で独立し、会社を持ち28歳で
家を建てた。
話はだいぶ逸れたが、とにかく私は酒好きだった。もちろん仕事も人一倍頑張ってきたと思う。
繰り返しになるが、結婚、子供を儲け会社を作り家を建てた。
それ以上に酒も飲んだ。
まるで酒が、仕事のパワーのみなもとだと思い込んでいるかのように、毎晩飲んでいた。
友人、仲間達も同じ時期には結婚し始め、徐々に毎晩飲み歩くこともなく、俗にいう宅飲みになっていた。
それでも特に仲の良かった仲間達とは、草野球チームを作り、家族ぐるみの付き合いをして、たまには近く河原でのBBQ。
時には遠出をしてキャンプなどと、酒を切らさず付き合っていたものだった。
私は全く別の仲間とサーフィンをしていた時があった。またサーファーという生き物は、遊び方も行動力も豪快だった。
福島でサーフィンをしていても伊豆で良い波が立っていると聞けば、そのまま速攻移動である。
もちろんみんな酒も好きだった。草を吸う連中もいた。懲りずに栽培で、3回逮捕された活豪快極まりない奴もいた。
ちょうどその頃である。30歳を過ぎた頃、私はある事に気が付ついたのだ。
飲む時は周りのみんなも飲んでいたので
余り気にも留めなかったが、自分の酒量が異常である事に違和感を覚えたのである。
「今頃かよ」
と、思うかもしれないが、私は飲み会のたびに
周りを見渡し、飲んでる量を何気に、チェックするようになっていた。
すると、いつまでもビールジョッキを片手1杯でチビチビ呑み、真っ赤な顔で酔っている。
そいつが2杯目を頼む頃には、私は徳利3〜4本はを空けている。(私は常に日本酒派でビールはあまり飲まなかった)
私の飲み方は、明らかに周りと違っていたのだ。
ここでアルコール換算をしてみよう。
種類によって度数も違うので、アルコール量だけを出す計算式がある。
ビール5%÷100×ジョッキ700ml×0.8=28g
日本酒15%÷100×徳利4本720ml×0.8=86g
※計算する時は%をはずして計算する
これは決して大袈裟ではない、返って少なく書いているのかもしれない。
友人のアルコール量28g私は86g、約3倍である。
ちなみに、よく医者などが言う適正飲酒量とは習慣飲酒(ほぼ毎日飲む)男性で(女性は半分)約20gだそうだ。缶ビール500mlある。
アルコール20gとは人間の肝臓が酒を処理するのに、約4時間位かかり、この程度だと
朝もスッキリ起きられるわけだ。
多少聞いた事はあったが、そんな物をまともに聞く耳など、これっぽっちも持っていなかったと思う。
「缶ビール1本など飲んたうちに入るか!」
で、ある。
ちなみにもっとショックな事は、私は毎日毎晩少なく見ても日本酒5〜6合、アルコール量換算すると楽に120gは越えていた。
つまり私はほぼ24時間常体内に、そして脳にはアルコールが存在していた事になるのだ。
私はそれだけの量を飲んでいたのに対し、周りの連中の中には飲み会や、みんなで集まった時だけで、家では余り飲まない、という話を聞かされた。
もう私は驚きを通り越し、薄っすらと体調の悪さ、健康診断の再検査を求められていた事を思い出しながら、静かに酒を口にするのであった。
続く
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