『顧客起点の経営』のフレームワークで自社のマーケティングを振り返ってみた
暑い日が続きますが、今年のお盆はいかがお過ごしでしたでしょうか?
僕は、台風や猛暑でなかなか出かける気にもなれず、久しぶりにnoteでも書いてみようとmacbookを立ち上げたところです。
さて、先日、西口 一希さんの新著「企業の『成長の壁』を突破する改革 顧客起点の経営」(以後、『顧客起点の経営』)を読みました。暑さもぶっ飛ぶ面白さでした。そして、「早くこのフレームワークを使ってみたい」という衝動を止められませんでした。
ということで、今回は『顧客起点の経営』で西口さんが考案されているフレームワークを使って、僕の所属するスペースマーケットの施策を振り返ってみたいと思います。
まだ読んでいない方は、このnoteはもはや読まなくていいので早く読んでください…!
本書の主なターゲット読者として定められている経営者やCxOの方々はもちろん、マーケティング担当者の方にとっても、経営視点をもってマーケティング実務に取り組むためのヒントが散りばめられています。
まだ読んでいない方は、PIVOTで公開されていた西口さんのインタービューを見ていただいてから本noteも読んでいただいた方がわかりやすいかと思います。
また、本noteを読んでいただいて、顧客戦略についてディスカッションしてみたい、と思った方は、ぜひMeetyからお声がけください〜
『顧客起点の経営』の振り返り
まずは、簡単に本のサマリーです。
本書では、西口さんご自身の経営者・マーケターとしての知見をもとに、顧客起点を経営に実装するための考え方と方法が実践的に解説されています。200社を超す企業の経営相談や40社以上のコンサルティングに携わられてきた過程で見えてきた「共通の経営課題」の原因を紐解き、解決するためのフレームワークと実践方法です。
西口さんが指摘する最大の経営課題とは、「経営から顧客の心理と行動が見えなくなる」こと。創業時には顧客理解ができていたとしても、売上が拡大し、組織規模の拡大に伴い、実在の顧客と自社のプロダクトとの関係が見えなくなってしまう。では、顧客不在を克服して成長の壁を突破するために、顧客理解を取り戻すにはどうすればよいでしょう?
『顧客起点の経営』では、3つのフレームワーク「顧客起点の経営構造」「顧客戦略(WHO&WHAT)」「顧客動態(カスタマーダイナミクス)」が提示されています。
「顧客起点の経営構造」
「顧客起点の経営構造」は、経営の視界に顧客を捉えるためのフレームワークです。
あらゆる経営判断や投資は直接的・間接的に顧客の心理と行動に影響し、最終的には売上や利益といった財務結果をもたらします。しかし、顧客の心理や行動の動きは見えなくなりがちです。
この顧客のブラックボックス化を防いで、顧客の心理と行動の関係を可視化し、経営と組織全体に実装することで、投資対効果を高め、収益性を向上することができます。
「顧客戦略(WHO&WHAT)」
顧客戦略とは、自社プロダクトが提供する「便益と独自性」に、顧客が「価値」を見出す組み合わせです。つまり、「誰に何を提供すれば『価値』が生じるのか」を考えることです。
多くの顧客に価値を見出していただける便益と独自性の組み合わせをどれだけ多く洞察し、実現するかで事業の成長は決まります。
僕の本書のなかでの一番のアハ体験はこの「顧客戦略」でした。これまでのマーケティング本でも「顧客を分析してUVPを磨いて提案しよう」という趣旨の内容は語られていましたが、「狙いたい顧客セグメント」と「USPやUVP」の組み合わせは最も適した1種類を探す前提の内容が多かったように感じます。
その点、本書では複数の顧客戦略=WHOとWHATの組み合わせ(西口さんいわくだいたい5~10くらい)をパラレルに運用することが推奨されています。
PIVOTのインタビューのなかでも、スマニューのマーケティング施策の成功例としてクーポンが取り上げられがちだが、それと並行して猫好き向けや野球好き向け、ローカルニュースなどさまざまな顧客戦略を展開されていたことが強調されていました。
自分としてもマーケティングの実務上で、複数の違った顧客層に対峙するなかで、なかなかその優先度を決められない場面に多く出会ってきたのですが、「あ、そもそも組み合わせは数多くあっていいのか」と改めて気付かされました。
「顧客動態(カスタマーダイナミクス)」
カスタマーダイナミクスは、西口さんの前著「顧客起点マーケティング」でもおなじみの5segsまたは9segsのフレームワークをさらに進化させたものです。
顧客は一種類ではなく多様で、固定せずに絶えず変化し続けています。顧客の行動変容の根源である心理が常に変化するためです。そのため、顧客戦略も顧客に合わせて常に変え続ける必要があります。
顧客の心理と行動の変化を理解し、素早く顧客戦略を構築して、それを実現する方法を企画・実施してPDCAをまわすことこそが、顧客起点の経営改革の本質です。
カスタマーダイナミクスの運用方法は非常にシンプルで、「その商品を知っているか」「買ったもしくは使ったことがあるか」「最近買ったもしくは使っているか」の3つの問いから、顧客を「ロイヤル顧客」「一般顧客」「離反顧客」「認知未購買顧客」「未認知顧客」にカテゴライズ。さらに、
①ロイヤル化:ロイヤル顧客のさらなるロイヤル化と一般顧客のロイヤル化
②復帰:離反顧客の復帰
③新規獲得:認知未購買顧客の新規顧客化と未認知顧客の新規顧客化
④離反防止:ロイヤル顧客と一般顧客の離反
の4つのルートでWHOとWHATの組み合わせを捉え直します。
と、ここまで『顧客起点の経営』を振り返ってみて、「マーケティング」および「経営」という変数が多く複雑な営みがここまでシンプルにフレームワーク化されていることが、改めてものすごく画期的だな…!と感じています。
では、ここから、僕の所属するスペースマーケットの近年の取り組みをこれらフレームワークを使いながら振り返ってみたいと思います。
(念の為、これからご紹介する各種施策は僕が担当したものだけではなく、ほとんどがマーケティングチーム他スペースマーケットのメンバーのみなさんによる取り組みで、あくまでも顧客戦略という点から俯瞰してみたときの全体的な振り返りです。)
「顧客起点の経営」ができているか?スペースマーケットの場合
スペースマーケットは、あらゆるスペースを時間単位で貸し借りできるスペースのプラットフォームサービスです。国内最大規模の全国20,000件以上のスペースが掲載。住宅、古民家、会議室、撮影スタジオ、映画館、廃校など多岐にわたるスペースが、撮影、会議、イベントなど多様な目的で利用されています。
スペースマーケットはもともと「集まる」ための場所を貸し借りできるサービスなので、2020年からの一連の激動には少なからず影響を受けています。大人数集まるような交流会や懇親会は減り、「社員総会」に代表される大規模な企業イベントはほとんどなくなりました。
影響が大きく出始めた2020年上旬の試行錯誤については、以下の記事でリアルタイムに振り返っています。(もう2年以上も経つのか…早すぎる…)
この2年半でスペースマーケットを取り巻く顧客の心理や行動はどう変化したのか?それに対して何をやってきたのか?改めて一度立ち返る意味でも振り返ってみたいと思います。(スペースマーケットは場所を借りる人=ゲストと場所を貸す人=ホストの2sidesなマッチングプラットフォームなのですが、今回は場所を借りるゲスト側の顧客戦略ついてとりあげます。ホスト側もそれはそれでいろんな変化があるので、それはまた別の機会に...。)
スペースマーケット顧客戦略:Before コロナ
まずは、2019年以前の顧客戦略について振り返ります。スペースマーケットの主な利用用途は以下の当時のファーストビューからもわかるとおり、パーティー(女子会や誕生日会など)と会議(オフサイトやセミナーなども)と撮影(写真撮影、動画・ロケ撮影など)です。
当時のことを思い出しつつ、顧客戦略を整理してみたのが以下です。下記以外にも取り組んでいたWHOとWHATの組み合わせは(無数に)あったと思いますが、一旦7つの組み合わせを記載しました。(字が小さくてすみません…。拡大して見てみてください…mm)
それぞれの顧客戦略(WHO&WHAT)に対して、この2年半で顧客の行動(顧客数・単価・頻度)がどう変わったのかの増減イメージも記述しています。
すべてを紹介していると朝になってしまう(書いている今は朝ですが)ので、一部ご紹介すると、たとえば、顧客戦略①は「誕生日会や歓送迎会、女子会など非日常なタイミングでプライベートなパーティーを楽しむ20~30代」という顧客層(WHO)に対して、「スペースマーケットならパーティースペースをコスパ良く貸し切りできる、持ち込み可能で自由に楽しめる」という便益(WHAT)を提案していました。
この顧客戦略に対する施策(HOW)として、たとえば2019年のクリスマスシーズンには、人気ライフスタイルブランド「BRUNO」とのコラボスペースを展開。
では、この「非日常利用層」はコロナ禍で心理としてどのように変化し、結果行動はどう変わったでしょうか。
まず、「密を避けたい」「大人数で集まるのはやめよう」という気持ちの変化から、集まる人数は少人数化しました。平均利用人数が減るので、平均利用単価も下がりました。
先に紹介した「顧客起点の経営構造」にあてはめて俯瞰からみてみても、スペースマーケットをご利用いただいている方々の「集まる」ことへの意識変化と行動変化(少人数化)によって、スペースマーケットの財務指標(単価の下落)にも変化が表れていることがわかります。
こういった変化は他の顧客戦略においても少なからずありました。
顧客戦略④「決起会やチームビルディングなどオフサイト会場を探しているビジネスパーソン」や、顧客戦略⑤「大規模なイベント会場を探しているイベント担当者」などは顕著です。
チームで集まる場所は一定zoomやmeetになり、大規模イベントはほとんどなくなりました。これは、「まずはリアルではなくオンラインで集まろう」「大規模で集まるのはやめよう」という全世界規模の心理変化による行動変容です。
では、この2年半でスペースマーケットの顧客戦略はどのように変わったのでしょうか?
スペースマーケットの顧客戦略:After コロナ
2022年現在、スペースマーケットのファーストビューはこんな感じです。
相変わらずパーティー、ビジネス、撮影が大きめに出てはいますが、「ソロワークスペース」「ワークボックス」「趣味・遊び」「スポーツ・フィットネス」など2019年はなかった言葉がでてきています。
ファーストビューの変化からもある程度は見てとれますが、この激動の2年半を経て、現時点でのスペースマーケットの顧客戦略を表に出ている施策ベースで振り返ったのが以下の図です。(前述の2019年の顧客戦略から特に変化のあったものを選んで記載しています。)
たとえば、顧客戦略①「デート場所を探すカップル層に対する『おうちデート』提案」は、コロナ禍で遊べる場所が制限されてしまったことで、おうちデートの数が増加したことが背景にあります。
スペースマーケットでは、「少人数でもコスパ良く貸し切りできて混雑や密を避けられる」という便益を提案しています。
顧客戦略③「ボドゲ会や推し会利用層」向けの施策も強化しています。
2019年から2021年の2年間で、「推し会」の開催傾向に変化が見られました。
2019年には、レンタルスペースを利用した「推し会」の平均開催人数は平均15名程度で、握手会やオフ会などイベント的に利用された一方、2021年の平均開催人数は4名弱と少人数化。結果的に利用頻度は増え、「推し会」目的のスペース利用は2019年対比で9倍まで伸びました。
この顧客行動の背景には、「推しのライブが休止や制限されてしまったので、応援する場所を作りたい」「握手会やオフ会など不特定多数で集まるのは抵抗があるが、少人数で気心の知れた仲間と集まって応援したい」という気持ちの変化があったのではないかと推察しています。
また、2019年では重要な顧客戦略だった「会議や大規模イベントなどのビジネス利用層」の激減を受けて、2020年からは顧客戦略⑤「テレワーク・ビデオ会議利用層」や顧客戦略⑥「ライブ配信やオンラインイベント利用層」にも注力しています。
(2020年前半の短期間での劇的な働き方変化に対応すべく試行錯誤していた模様は以下のnoteに…)
特に、顧客戦略⑤「テレワーク・ビデオ会議利用層」に関しては、この2年という短期間でさまざまな心理と行動の変化がありました。
以下が心理変化の一例です。
2020年前半:急なテレワーク化によって設備や環境整えるの大変
2020年後半:テレワークに慣れてきた
2021年前半:やっぱり出社がいい場合もある、出社とのミックスがいい
2021年後半:フル出社にはもう戻れない
2022年前半:テレワークとオフィスのハイブリッドが当たり前?
Googleトレンドの「テレワーク」の検索数からも、感染状況にあわせて増減がありつつ、もはや最近は当たり前になってきていることから検索すらもされなくなってきていることがわかります。
スペースマーケットでは、顧客戦略⑤「テレワーク・ビデオ会議利用層」(WHO)に対して「個室のワークスペースをどこでもすぐに借りられて便利かつ情報漏えい対策になる」(WHAT)といった便益を提案しています。
具体的な施策(HOW)としては、2020年のテレワーク元年には、「急激なテレワーク」の受け皿になるべく急遽多数のウェビナーやカンファレンスを開催し、「テレワークの場所もスペースマーケットで」と提案しました。
また、2021年からはテレキューブやRemoteworkBOXなど各ワークボックス系サービスの方々との連携や、ホテルのデイユース利用の強化などを行っています。
結果として、個室ワークスペースであるワークボックスの掲載数は1年で18.5倍に増え、平日の日中帯を中心に仕事のために1人で場所を借りる「ソロワーク」の利用は、前年同月比3.5倍(2022年1月)に増加しています。
上記のデート、推し会、テレワーク以外にも、ファミリー層向けの貸切BBQの提案、YouTuberや動画クリエイター向けの撮影場所としての提案、企業のイベント担当者向けのオンラインイベント配信場所としての提案など、さまざまなWHO&WHATの組み合わせを仮説検証しています。
スペースマーケットのカスタマーダイナミクス
ここまで、顧客戦略をベースとしてスペースマーケットの顧客セグメント別のWHO&WHAT&HOWのBefore/Afterを振り返りました。ここからは、3つ目のフレームワークである「5segs」「カスタマーダイナミクス」を活用して顧客戦略を可視化してみたいと思います。
カスタマーダイナミクスのフレームワークをもとに、①ロイヤル化、②復帰、③新規獲得、④離反防止という4つのルートという切り口に対して顧客戦略を整理したのが以下の図です。
①ロイヤル化
一般顧客やロイヤル顧客に対しては、「ポイントプログラムによって使えば使うほどお得になる」という提案や、「まとめて予約する機能によって便利に定期利用が可能」といった提案を行い、単価と頻度の最大化を目指します。
②復帰
一度使わなくなってしまった方には、新しい使い方やシーズナルなイベントの訴求によって復帰を狙います。たとえば前述のようにテレワーク化によって会議が対面からオンラインになり貸し会議室を借りることがなくなってしまった方には、「オンライン会議をカフェでやると情報漏えいリスクありませんか?」などと個室ワークスペースを提案しています。
③新規獲得
「スペースマーケットのようなレンタルスペース・シェアスペースに興味はあるが使ってはいなかった方」には、IPや他ブランドとのコラボによるきっかけづくりに取り組んでいます。
たとえば、TBSさんとのコラボで「逃げ恥スペース」やAnkerさんとのコラボで「大画面プロジェクタールーム」を展開しました。
④離反防止
「スペースの利用頻度が減って離反可能性のある方」には、日常的で身近な利用方法や新しい利用方法を提案します。
たとえば、前述の顧客戦略の「ママ会・ホームパーティー層」向けの離反防止施策としては、「ママ友と集まる機会自体が減ってしまった」という方々に向けて、「家族が身内でも楽しめる遊び場」という提案をしています。
以上がカスタマーダイナミクスに応じた顧客戦略の一例です。ここまで振り返ってみて、改めてスペースマーケットの顧客戦略は対象とする顧客層の幅が広く、かつ変化が激しいことを実感しました…。
気づき①顧客戦略とカスタマーダイナミクスの親子関係
ここまでまとめてみて気づいたのですが、おそらく、顧客戦略とカスタマーダイナミクスは親子の関係にあります。厳密には、顧客戦略(WHO&WHAT)の組み合わせに対してそれぞれカスタマーダイナミクスが存在します。たとえば、「テレワーク利用」という1つの顧客戦略に対して、①ロイヤル化、②復帰、③新規獲得、④離反防止の4つのルートが考えられます。(見えづらくて大変恐縮なのですが)以下の図のように、本来であれば各顧客戦略に対して1つずつカスタマーダイナミクスが描けるはず、ということです。
たとえば7つの顧客戦略がある場合、組み合わせは7×4で合計28のルート。気合でなんとかなるくらいの規模感でもありますが、KPIとして追うには多すぎます。さらに、実務的には顧客戦略の組み合わせは10を超えるケースもあり、手運用ではどこかで限界がくるでしょう。
そのため、ことスペースマーケットのようなプラットフォームビジネスにおいては、こういった無数に増えがちな顧客戦略とカスタマーダイナミクスの組み合わせに対して、AIによる「レコメンデーション」や「パーソナライゼーション」が有効なのでしょう。特に、離反防止や復帰のための「新しい使い方の提案」という施策に対しては非常に強力な武器になります。
気づき②スタートアップにも(こそ)5segs/9segsなど顧客起点のフレームワークは有効
限られたリソースのなかで短期間での急成長と収益化を目指すスタートアップにおいては、刻一刻と変わる状況に素早く対応することが重要です。
前提として、スタートアップのグロース・マーケティングにおいては、戦略策定→戦術策定→実行ときっぱりとフェーズが別れて進むことはほとんどありません。
大きな方向性のもとに、戦略策定と戦術策定と実行をそれぞれ行ったり来たりしながら、勝ちパターンを探っていく必要があります。
これは、開発におけるウォーターフォールとアジャイルの違いに近い部分があります。
変化が早く大きく、仮説検証すべき変数が多く、不確実性と戦うスタートアップは基本的にアジャイルで動くべきです。アジャイルは顧客のフィードバックをもとにイテレーションサイクルを回す手法ですが、これはまさに顧客起点の経営が目指すマーケティングの姿に他なりません。
西口さんも、「顧客起点の経営」の理想状態として、
と提言しており、これはスタートアップが目指すべきアジャイルなマーケティングそのものではないでしょうか。
5segsや9segsを使うには高価な調査が必要なのでは?と思う方もいるかもしれません。が、西口さんも本の中で書かれていますが、大規模な調査は必須ではありません。まずはN1の声を聞き、そこから洞察を深めること。それ自体にはお金はかかりません。(かかるとしてもインタビューの謝礼くらい)
定量調査も今では数万円程度でそこそこの規模のものができますし、定量調査ができなかったとしてもN1インタビューを繰り返すことでそこそこの精度の顧客戦略は構築できるはずです。
実際に、個人的にお手伝いさせていただいているスタートアップ企業でも大規模な定量調査なしに見様見真似で9segsを実践したことがありますが、準備期間1ヶ月くらいでその後事業インパクトある施策2つほどを作れたくらいには有効でした。
スタートアップでマーケティングに携わっていると、どうしても目の前のオペレーション・エグゼキューションに終始してしまいがちです。そんな方にこそ、一度立ち止まって顧客に立ち返る意味でも本書はぜひ読んでいただきたいです。
さいごに:顧客戦略についてディスカッションしませんか?
さくっと終わらせるつもりが、気づいたら1万字近くになってしまいました。長文にも関わらず最後までお読みいただき、ありがとうございました…!
ところで、さも「うちはこんなに戦略的に進められてまっせ!」みたいな印象になってしまっているかもしれませんが、これはあくまでも事後的な振り返りであって、リアルタイムな思考と判断ではありません。実際に動いている最中は、そこまで深い洞察もないまま進めてしまい、うまくいったこともあれば、そうでないことあります。
今から振り返ると、もっと前にこの本と出会っていて、顧客変化のダイナミズムにあわせて顧客戦略を構築し、より素早く大きな意思決定ができていれば…と反省する部分も多分にあります。
みなさんのかかわっているプロダクトやサービスでは、どのような顧客戦略を描いていますか?
スペースマーケットはご覧いただいたように非常に多種多様な顧客層に対してマーケティング活動を行っています。今回ご紹介したスペース利用者=ゲスト側だけでなく、スペース提供者=ホスト側の顧客戦略も同じかそれ以上のボリュームがあります…。
顧客戦略の組み合わせを無限に考えられる…。(無限に考えられるせいか、僕は気づいたら5年半も在籍しているみたいです)
マーケティングの役割が顧客戦略を構築し実践することだとしたら、マーケティング担当者としては非常にエキサイティングな環境なんだと思います。
ということで、
スペースマーケットの顧客戦略についてもっと聞いてみたい!話したい!
お互いの会社のプロダクト・サービスの顧客戦略について、ディスカッションしてみたい!
という方がいれば、ぜひMeetyでお声がけください〜
ご意見やご感想、ご質問などありましたら、Twitterやコメントでもいただけると嬉しいです。mm
最後の最後までありがとうございました〜
ではまた〜