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下町の喫茶店レストラン@カツカレー


ローカル線に乗り、知らない駅に街に降りる。
休日の楽しみだ。

快速が止まらない駅。
街並みはどんどん緑に覆われていく。

車内には意外と若者が多く、活気がある。
みんな素朴な格好で楽しそうに話し合い、
昨日見たドラマの話や、携帯で何か動画を見合ったりしている。

電車が停車すると、若者たちは一斉に降りていく。
その流れに身を任せ亮太も下車。

駅のホームはさほど広くないにも関わらずに人だかりで
改札をくぐるのに時間がかかった。

改札出て右手に向かうとすぐに商店街が迎え入れてくれる。
その商店街アーケードにはーー大学、ーー附属大学。と書かれていた。

どうやら商店街を抜けた先には大学のキャンパスがあるらしい。
それも2つも。

どうりで若者が多いわけだ。
降りた駅の先に向かう電車には、ほとんど人は乗っていなく、
お年寄りが2、3人座っているくらいの乗車率だった。

やはり活気のある商店街。
入り口近くには有名チェーン店が並んでいるが、
奥に進むにつれて個人商店が並び始める。

店の軒先を大きくはみ出た商品数の八百屋さん。
創業何十年であろうパーマやさん。
看板が取れかけて色も褪せたクリーニング屋さん。

どのお店も味がある。時代を感じる。
大学生の団体さんは個人商店をつかうのだろうか。

いつもの通学路の途中にある古ぼけた味のあるお店で
アルバイトで稼いだ大事なお金を使うのだろうか。

楽しそうに歩く大学生と共に歩きながら考えていたが、
腹が減り店を探す。

せっかく知らない土地に来たのだから、チェーン店ではなく
ここにしか無い味を求めて探します。

案外すぐに見つかる。

レンガ調のお店、喫茶店。
外に置かれている看板には
「ごはん大盛り、特盛、メガ盛り無料」
かつカレー、オムライス、焼肉定食。

ここだ。絶対うまい。

迷わず入り口の扉を開ける。

カランコロン。

薄暗い店内。BGMはボサノバ。

モダンな作りの椅子や机、カウンター席もあるが
仕込みの野菜や荷物などで使える状態ではない。

いらっしゃいませ。
綺麗なマダムが出迎えてくれた。

しかし、その後無言。

入り口にボケっと立っていると

「好きなところ座って」とめんどくさそうに言われる。

そうか、自由に席を選んでいいんだな、
入り口から店内を見回すと、
すぐ手前の席には水が置かれおしぼりが置いてある。
ここは誰かいるからその隣の席は空いている。

けどこれだけ広い店で知らない人と隣同士もと思い、
もう一つ奥の席に目をやる。

キャベツ。

手前の席は水が置いてある。普通。

奥の席にはキャベツがある。異常。

あの野菜は席を確保しているのかな、収穫の途中でコーヒー飲みに来て
ちょっと席を外すときにキャベツを置いて確保しているのかな、、、、、、、

仕方なく、水とキャベツに挟まれる間の席に着席。

マダムがメニューを持ってきて手前の水の席の水を下げる。

「ここ、いいよ」

いや、誰もいないんかい。なんで水とおしぼり。

何も気にしないで注文を聞かれる。

カツカレーで。

ご飯は。

普通で。

普通、大盛りもできるよ。

普通で。

無視。明らかに大盛りを頼んで欲しそうでしたが普通の量を注文。

カウンター奥の厨房にはもう一人女性がいて会話しながら作り始めた。

店内に貼られたポップには地元の新聞に、この喫茶店が掲載された記事が載ってありそこから姉妹でやっていて学生にお腹いっぱい食べてもらいたい想いでやられていることを知る。

良いです。すごく。地元密着のお店を求めていたので。

奥で調理中、
フロアで玉ねぎや油の棚卸しが始まりました。
段ボールから食材調味料がカウンターに並べられていく。
どんどんカウンターが埋もれていきマダムは独り言で
あー腰痛い、せまいー、重いーなど言いながら動いている。

そしてカツカレーが到着。
手作り感たっぷり。


家庭であげたカツを家庭で煮込んだカレーで食べる。
うまい。
セットのサラダはニンニク効いたドレッシングがこれまた美味い。
スープは中華スープか濃いコンソメかわからないがすごくいい。


普通盛りでも相当な量があるけど大盛り無料は嬉しいな、
学生たちの憩いの場所なんだろうな。

食事中、喫茶店の電話が鳴る
無愛想なマダム、多分姉。
厨房の女性は見た目が若いので妹、フロアの女性は姉だと予想。

姉は電話に出て大声で話し出した。

「だから、よんだよ、よん!1-2-3フォーよフォー!」

心地良いボサノバの店内ミュージックを打ち消すフォーの声、
なんの電話の会話なのかわからないが、4を伝えたいらしい。
ひたすらフォーを繰り返し、押し問答の電話中、

帰るお客様がいたので厨房からお見送りするために出てくる妹。

亮太の目の前入り口を開ける。

入り口に手を掛け5分ほどお会計を済ませたお客様と話し続ける。
この前の買い物安売りの話、健康の話、コーヒーの話。BGMはボサノバ。
スーパーの安売り情報の交換、電話でフォー、入り口で安売りセール、店内ボサノバ。

異空間に誘われた亮太はカツカレーを食べるのを一旦諦め、
店内がボサノバだけ聞こえるまで待つことにした。

フォーが終わり、お客も帰り、食事を再開。

落ち着いてカツカレーを食べていると、
マダム姉が隣の席にオムライスと野菜炒めが置く。

しかも明らかに、特盛。

この喫茶店には亮太には見えない何か誰かがいるのかもしれない。
だって、キャベツはまだ置かれたままだし。

姉妹が隣の席に座ってきて、キャベツをどかし着席する。
ソファーには亮太、妹、姉。の3人が横並びに座るまたしても異空間が出来上がる。

姉妹は黙々とオムライス、野菜炒めを食べ出す。
まかないかな。

一言くらいお隣良いですかの言葉が欲しい気もするするが、
このお店は2人姉妹のもの。
どちらかとゆうと亮太がお隣失礼しますと言うべきだ。
失礼しました。お隣でカツカレー食べさせていただいています。
そんな他人のお家に迷い込んだような経験ができる喫茶店ランチ。
ソファー席に横一になり、3人並んで遅い昼ごはんをたべました。

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