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僕が音楽マネージャーになるまで – ⑦人生を変えた質問

旅行会社の面接で問われた質問。
その問いに、僕は全く答えることが出来なかった。
答えることが出来なかったけれど、頑張って身に付けた英語力が評価されたおかげか、採用となった。
採用となり研修期間、いろいろなことを先輩方から教わりながらも、面接でのその問いが頭を離れることはなかった。

それは、

「社会というフィールドで、人生をかけて、何を実現したいのか?」

という質問だった。

自分にとっての、その答えは何なんだろう?
思い返せば、タワレコを辞めてあちらこちらとフラフラしながら、ずっと探し続けていたのは、この答えではなかったのか?
あれから5年、まだ答えは見つかっていなかった自分へ、明確に言語化されたその質問は、ずっと僕を支配した。

頭から煙が出るんじゃないかというくらい、悩み過ぎて吐きそうになるくらい、考え続けた。
悩んで悩んで悩みまくっていた僕は、自分にとってその答えが何なのか、シンプルに考えてみることにした。

自分の気持ちに正直に、自分の心の声にまっすぐに。

物心ついた時から、一番時間を過ごしていた存在。
それは、自分にとって「音楽」だった。

人生初ライブのミスチルを見て以来、友達に「このバンドいいよ!」や「この曲聴いてみなよ!」とCDやカセットを渡して、「よかったよ!」と言ってもらえたら、飛び上がりたくなるくらい嬉しかった。
自分が好きな音楽を紹介したら、その音楽やバンドを好きな仲間が増える。
なんだかそのバンドに貢献出来た気もするし、単純に自分の好きな音楽がその友人の大切な存在になってくれたら素直に嬉しい。

ふと、その気持ちを思い出した時、頭の中にずっと存在していた霧が一斉に晴れるかのように、自分の中に答えが見えてきた。

「社会というフィールドで、人生をかけて、何を実現したいのか?」

中学生の時と同じ気持ちで、音楽を誰かに繋ぐこと。

好きな音楽で、誰かのためになれること。

まだ世の中に出ていない才能と出会い、それを世に届ける。


「人と音楽を繋ぐこと」


社会というフィールドで、人生をかけて、人と音楽を繋ぐこと。
これだった。
全てがクリアになり、確信しかなかった。
明確な答えだった。

今思うと、本当に迷惑な新入社員だと思うけれど、研修期間中だった旅行会社はすぐに退職させてもらい、翌日からCDショップを歩き回り、片っ端から試聴し、良いと思ったバンドや歌手が所属していたレコード会社や事務所宛に履歴書を送りまくった。

しかも、全て、社長宛に履歴書を送った。

少しの期間しかいなかったけれど、旅行会社での僕の仕事のひとつが郵便物の仕分けだった。
郵便物の封を開けて、先輩方の仕事時間のロスを少しでも解消すべく、開封済みの見やすい状態にして机に置いておくという業務をしていた。ただその時、社長宛の郵送物だけは絶対に開けず、そのまま社長に届けるというルールがあった。求人募集していない会社に「人と音楽を繋ぎたい」という熱意だけの履歴書を人事部宛に送ってもなかなか通らないだろうという考えもあり、全て社長宛に履歴書を送り続けた。

送っては、返事を待ち、日雇いの解体や引っ越しのアルバイトで食いつなぎ、履歴書を送り続けた。

たぶん、30社くらいは送ったと思う。

一向に返事が来ず、気持ちが折れそうになっていたある日、面接をしたいという電話がかかってきた。

ラストラムという名前の会社だった。

https://twitter.com/Ryota_Shishido ラストラム→TOKYO FANTASY→RED 主に音楽関係のマネージャー 新しい才能との出会いを求めています。 音源やプロフィールはツイッターのDMかinfo@red.jp.netまでお気軽にお送りください!