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僕が音楽マネージャーになるまで – ⑥人生は、前にしか進まない。

北京からモンゴルのウランバートル行きの列車がある。
この旅の絶対行きたいスポットの一つだったモンゴル。
その移動チケットを買い求めて駅へ来た。

でも、相変わらず、言葉は通じない。
英語も日本語もダメだけど、漢字ならいけるだろう!と、漢字でモンゴルと書こうとしたのだが、人間、余裕がないと頭も働かず、漢字でモンゴルをどう書いたら良いか、全然わからない。

一旦、冷静になろうと思い、スーパーで緑茶を買って飲んだら、ビックリ。
緑茶のはずが、めちゃくちゃ甘い(苦笑)。

踏んだり蹴ったりが続き、どこに行くにも言葉が通じないし、下手したらもうこのまま北京から一生出れないかも。。。と、コミュニケーションが通じないことにだいぶ弱気になっていた。

とはいえ、人生は前にしか進まないから、奮い立って、また歩き出した。
途方に暮れながらも、何とかしようとあてもなく街を彷徨っていたら「〜〜旅行社」みたいな看板があり、藁をもすがる思いでその店を訪ねてみた。

店内には、僕と同い年くらいの女の子がいた。
この子が、救世主だった。
彼女はとても丁寧に対応してくれて、ゆっくり英語を話してくれたり、文字でコミュニケーションをしてくれ、地図を出して、「ここ(モンゴル)へ行きたいのか?」と尋ねてくれて、念願のモンゴル行きのチケット手配をサポートしてくれた。

家族経営みたいな小さい旅行会社で、とても親切で「宿はあるのか?」と、最高のゲストハウスを紹介してくれたり、余りに見た感じ僕に悲壮感が漂っていたのか、「飯は食ったのか?」と、家族団欒の夕食に混ぜてくれて、ご飯まで世話をしてくれた。
本当に泣きそうになるくらいおいしく、唯一知っていた中国語、「シェイシェイ」を何度も繰り返して、自分なりに精一杯感謝を伝えた。

モンゴル行きまでの数日は、万里の長城ウォーキングに参加してその過酷さ(長距離の階段の上り下りのハードウォーキング)に汗だくでフラフラになったり、天安門で写真を撮りたくて西洋人の方に撮影をお願いしようとしたら、写真を撮るから金よこせの営業と思われたのか断られ(その後、ちゃんと理解して撮ってくれた笑)たり、紹介してくれた素敵すぎるゲストハウスのスタッフも凄く親切で、とても快適な時間を過ごした。

一旦冷静になれる余裕もあったこの時、僕は旅のプランの変更を考えていた。
旅を始めていろんな国の人に出会うけど、余りにも僕の英語力がなすぎて、会話にならない。
旅の間に上達するとも言うけれど、それを待っていたら、旅が終わってしまう。
だったら、ある程度話せる様になってから、旅をした方がいいと思い始めていた。
そして、実際、夢にまで見たモンゴルの草原での時間を経て、やはり日本に帰国することにした。

わざと驚かそうと思って、両親にも言わず急に札幌へ帰ったのだけれど、海外放浪しているはずの息子が、いきなり目の前に現れた時の母親の目が点になった表情は忘れられない。
心臓に悪かっただろうと、今思うと、悪い冗談だったと反省している(苦笑)。

しかも、帰国して、落ち着くかと思ったら、今度は留学をすると言う。
自分が親だったら呆れ果てるところを、またもや理解してくれて、奔放を許してくれて本当に感謝しかない。

そして、すぐにまた出稼ぎに出た。
今度は、TOYOTAではなく、HONDAの工場へ。

TOYOTA時代の倍の期間を働き、留学資金を貯めて、オーストラリアのパースという街に留学した。

最初、ワーキングホリデービザで行ったのだけれど、英語の勉強が楽しくて、結果、学生ビザに切り替えて1年3ヶ月。
徹底して日本語を排除して(日本人に日本語で話しかけられても英語で返すくらい、嫌われるタイプの奴と化した笑)、必死で英語を学んだ。

目的にモチベーションを持てないことは続かないけれど、その逆は強い。
あんなに勉強嫌いだった自分が、やりたい理由を見つけられた時は、こんなにも楽しんでやれるのかとビックリするくらい夢中で勉強した。

パースでは未だに交流のある2人の韓国人の親友も出来たり、自分の人生の中でも、非常に大切な時間を過ごした。

帰国し、さすがにそろそろちゃんとせねばと考え始めていたのだけれど、もうちょっとだけ勉強したいことを見つけてしまい、東京に出てきてアルバイトをしながら宣伝会議主催の「コピーライター養成講座」に一時期通った。

振り返って思うと、ずっと、やりたいことを模索していたんだと思う。
この講座も、そのひとつだった。
自分の中に、自分の人生で納得出来る柱となる様な、意味や生きがいをしぶとく探していた。

講座受講後、結果的に、英語も使えるし、いろんな国に行けるだろうという理由で、ある旅行会社の面接を受けることにした。

この面接が、またもや僕の人生を大きく動かすことになるとは、全く想像もせずに。

https://twitter.com/Ryota_Shishido ラストラム→TOKYO FANTASY→RED 主に音楽関係のマネージャー 新しい才能との出会いを求めています。 音源やプロフィールはツイッターのDMかinfo@red.jp.netまでお気軽にお送りください!