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Brilliant Blue * Real
そうか、あれはもう六月のことか。
公開フィードバック番組をはじめたんだ。それに「ブリリアントブルー」と名付けた。金平糖というよりも、氷の結晶みたいで、ぼくたちにはあまりに美しく儚い名前だったけれど。でも、とにかく歩きはじめた。
ゲストの書き手の方々ともお話しながら、「良い文章とは何か?」について考えた。マジメに考えた。それはとても楽しい時間だった。
誰かの文章を真剣に読むことも、番組の中で議論することも、それらのことについて深く深く考えることも。収録が終わると、へとへとだった。運動して汗を流した後に似た爽快感を味わった。
*
「潤さん、大阪に来るってよ」
それはまるで、桐島が部活を辞める噂を聞いた時のように、その報せは訪れた。八月の収録を境に、オンラインで対面して会うことがなくなっていた。それでもぼくたちはテキスト上でやりとりしていたし、それぞれが健やかだった。
三人で会いましょう。今までにも何度も、その希望の形をした約束を交わしてきた。でもそれは、やっぱり希望であって、掴もうとすると指の間からすり抜けていった。希望と約束の違いは、触れることができるかできないか。
潤さんは、あの小説の桐島でも、ベケットの『ゴドーを待ちながら』のゴドーでもなく。仲さんとぼくの待つ大阪に姿を見せてくれるわけで。あのまばゆい希望は、あまりにも簡単に約束へと変わった。光を宿した氷の結晶。それを砕いて散りばめたように、ぼくたちの青が燦然とかがやきだす。
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十月二十九日。
潤さんと仲さんとぼくはリアルの世界で再開する。
Brilliant Blue
10.29(thu)
17:00~18:00
せっかくだから、ぼくのラジオ番組「教養のエチュード」に出演してもらおう。ゲストはブリリアントブルーの二人。その模様はYouTubeでライブ配信しよう。FM79.2のスタジオブースからお届け。
あらためて、「読むこと」について語り合おうと思う。それから三人のこれからについても。
みなさんにご覧になっていただけるとうれしいです。
※録画放送もあります
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