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「選ぶ」という行為

今、『知性の交換』というプロジェクトで賛同してくださった方と本と手紙の交換をしています。

毎日、日本各地からポストへ本が届きます。封を開け、本を手に取り、手紙を読む。肌触りとぬくもりのある体験がそこで生まれます。これは当初想像していたよりも遥かにドラマティックで、加えてセラピーの効果がありました。心が洗われ、生命力を与えてくれます。

夜中に届いた本と手紙を音声で紹介します。ラジオパーソナリティがリスナーからいただいたお便りを読んでいるような感覚です。そこには「一対一」のコミュニケーションがある。文章でも綴るし、声でも届けたい。

今週に入ってから、「あなた」との交換のための本を選び、手紙を書いています。これが何とも愛おしい作業で。手紙をくれた「あなた」のことを想いながら、本棚に並ぶ本の背表紙に指を添えます。手に取り、開き、めくって、閉じて、また元の位置へ戻す。それを繰り返した後、ようやく決めるわけです。

「選ぶ」という行為をこれほど愛おしいと感じたことはありません。

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SNSでやりとりした「あなた」が、確かに存在する。「あなた」はいないのに、そこに「あなた」の面影がある。それは手にも、心にも、実感として伝わってくる。

きっと同じように、「わたし」のことを想って、「あなた」は本を選び、文章を綴ってくれたのでしょう。人生で数々巡り合ってきた本の中からその一つを選んで。それはAmazonから届く本よりも、本屋さんで買うどの本よりも、想いの密度が高いものです。その濃縮されたギフトが並ぶ本棚はなんと愛おしいものでしょう。

この「コロナウィルス」が及ぼした混乱と危機を、美しい光景で形にできればと思っております。

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この『知性の交換』が、「わたし」と「あなた」、あるいはそこから派生する何かの新しい物語に繋がりますよう。願いを込めて、「あなた」へ手紙を綴りました。届いたらぜひ教えてください。

その一冊の本にも、手にした人の物語がある。
だから、一つとして同じ本はないんだ。そう思えたら、愛おしいよね。




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嶋津 / Dialogue designer
「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。