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犬と暮らす
犬と暮らしている。
18歳のビション・フリーゼ、15歳のトイ・プードル、そして最近、生後5ヵ月の新しい仔犬が来た。小さなトイ・プードル。名前は「クチュ」。ウェールズ語で「こころを込めて、抱きしめる」という意味。ただ、これは意訳。「CWTCH」はハグを現わすだけではない。そう、日本語には収まりきらないあたたかいことば。
犬と暮らしていて思うことが、彼らはただ一緒に過ごしているだけでなく「自分が愛されているかどうか」をよく確認する。それに応えてあげることはもちろん、確認してくる前にこちらからしっかり伝えることが大事。彼らはそうやって関係性を深めてゆく。犬は大切なことを教えてくれる。
別に血はつながっていなくとも、わたしたちは後天的に“良き家族”をつくることができる。関係性の築き方、それはどこまでいっても一対一の共同作業。わたしは、彼らと共に生活をして「愛すること」を学んできた。
「君は、わたしにとってかけがえのない存在なんだよ」とぎゅっと抱きしめる。肌に触れ、顔を埋め、声をかける。そこに“こころ”が在るか否か、彼らはそれをよく知っている。体温なのか、声の揺らぎなのか、包み込む質感なのか。大切に想い、抱きしめること。それが「クチュ」。
ここまで、犬の話をしてきたけれど、お気づきの通り、犬に限られた話ではない。わたしたちは、確認されるよりも前に「愛していること」を伝えることができる。「かけがえのない存在なんだよ」とぎゅっと抱きしめる。当然、それは比喩でもある。クチュのある生活。わたしが大事にしていること。
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