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音楽と対話【Last Night オンラインバー vo.17】

オンラインCafeBarDonna vol.17

今日はイレギュラーの回で、リアルのCafeBarDonnaのお客様が集まった。オンラインでのコミュニケーションが不慣れな方が多く、そのレクチャーと、イベントの打ち合わせに終始した。その内容はユニークで、船上から音楽ライブの配信したり、サークル&マガジンメンバー向けに太極拳の体験講座を開くことだ。因みに僕の妻は、太極拳の世界チャンピオンのプロデューサーをしている。オフラインのCafeBarDonnaとオンラインのCafeBarDonnaが融合して、その境界線が消えれば、これほど素敵なことはない。

その後、アーティストのカジサキモトキくんと「これから」について語り合った。彼はミュージシャンであり、グラフィックや洋服のデザイナーとしても活動している。僕と「Art de Vivre」というユニットを組んで、文学と音楽が融け合う作品を共同で制作している。彼の主軸はアンビエントミュージック(環境音楽)にあるのだが、そこをヒントに音楽が空間にもたらす効果についてのアイデアを練っていた。

アンビエントの祖であるブライアン・イーノからウィリアム・バシンスキーにはじまり、フランス人のDJ Camや日本人だとAmetsubなどのトラックメイキングについての話を聴いた。


僕はダイアログ・デザイナーとして「対話のある場」をデザインしている。それがインタビューだったり、ファシリテーションだったり、相談を受けることだったり、形は様々だけれど、その要となるものが「空気」である。相手が心を開く空気をデザインできれば、あるいは、自分の力を最大限に発揮できる状況(空気)をつくることができれば、そこにはより良い「対話」が生まれる。


DJが音楽によってムードを構築するように、空気をデザインする術はなかろうか。山本七平の『空気の研究』よろしく、僕たちは「空気」を研究するために動きはじめた。例えば、オンラインCafeBarDonnaの「場」を音楽で盛り立てることはできないか?

空気の研究 vol.1
【CafeBarDonna DJ Night】

zoom上で行われる「対話」に音楽を添えてムードを構築する。参加者同士の対話を受けて、リアルタイムに選曲をして「場づくり」をする実験的な試みを思いついた。善は急げと、Twitterとマガジン&サークルで参加者を募った。


突然の告知にも、非常にユニークなメンバーが揃った。中でも、うたたネさんとフナナカさんは初対面である。いつもと違うのは背景に音楽が流れていること。全てカジサキモトキくんの制作した楽曲である。話題によって音楽を移していく。

うたたネさんが人工衛星を打ち上げたという話の時は宇宙的な音楽がムードを演出し、熱の込められた話の時はノスタルジックな音楽で空気をやわらげた。集まったメンバーがユニークだったことや、理知的なテーマと難易度の高い問題提起のおかげもあって、話はディープになっていく。少なからず、音楽はその深みへいざなう役割として巧く機能していたように思う。

結果的にスペシャルな空間(時間)になった。僕もカジサキくんも、カジュアルな心積もりでDJイベントの声かけをしたのだが、多様な視点や考え方を得ることができたことは思わぬ収穫だった。あの場所にいた全ての人が、心揺らいだ瞬間が幾度かあったはずだ(個人的な体験やエピソードに基づくことなのでここには書けない)。答えは出ない。ただ「考え続ける」という哲学の領域にまで、対話が発展したことはすばらしかった。

一期一会。あの時と同じメンバーで集まることはきっとこの先もうないだろう。でも、Twitterでもnoteでも、僕たちはつながっている。「あの時間を共有した」という物語が僕たちをつないでいる。

オンラインCafeBarDonnaはこれからも開店する。DJやVJの要素を取り入れて、より深いコミュニケーションを追求しようと思う。僕たちの「空気の研究」ははじまったばかりだ。




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嶋津 / Dialogue designer
「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。