週末だけの、対話のBarを
週末だけひらかれる、対話のBar。
リアルな「対話の場」があれば、と思っていました。オンライン上でポップアップ的に立ち上げるBarをはじめて二年。数々の対話を重ね、物語を編んできました。この気軽さと、歓びを、オフラインでも。
店の名前は『Art(アール)』。
昔から大切にしていることば「Art de Vivre」より。「暮らしの芸術」や「生活の技法」などと訳されるフランス語。ライフスタイルの中に芸術が溶け込んでいる状態、あるいは、その生きる姿勢。
「Art」には、「技術」という意味が含まれています。生活の営みを“技術”と捉えるならば、磨くことも、研ぐことも、豊かにすることもできる。生き方は芸術となり、人間は作品となる。
好きなモノに囲まれ、おいしい料理をつくり、好きな人と対話する。
芸術家と職人
芸術家と職人の違い、わかりますか?
このことについて、思索に耽った時期がありました。「Artiste(芸術家)」と「Artisan(職人)」、どちらも“Art”が含まれます。つまりは、並外れた技術の持ち主。境界線は、つくるモノの違いにあります。
芸術家は、己の発意によって作品を生み出す人。
職人は、他者から依頼を受け、商品をつくる人。
つまり、作品なのか、商品なのか(あくまでも、わたしの解釈ですが)。
利益を度外視して、技術を尽くして仕上げる人のことを、しばしば“職人気質”と呼びます。ただ「モノをつくる」だけでなく、“Art”は精神性にも深く結びついている。
この数年、仕事を通して「わたしは職人である」と述べる魅力的な人々と出会ってきました。熟練の技術で、モノをつくる人。妥協せず、納得ゆくまで精度を高める人たちです。
その様子を見ながら、彼ら(彼女ら)の生き方は芸術であると感じました。衝動に対してピュアでいて、己を納得させるために、日々鍛錬を積む。その在り方が美しい。
わたしがつくりたい「対話の場」。
作品と商品のあいだで、芸術家と職人のあいだで、揺れ動く空間。
KOTOYA CAFEさんのお店をお借りして、週末だけひらきます。
それは、ポップアップ的な軽やかさと楽しさで。わたしと妻がお客さまをお迎えする。気の合う人だけにしか扉はひらかれない秘密の花園。お酒と、コーヒーと、ちょっとした料理でおもてなしいたします。
対話で、暮らしを、芸術に。
豊かな空間と時間を共に過ごせると幸いです。
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