サポートをいただいたみなさまへ、感謝と報告*
この度は、第三回教養のエチュード賞にサポートをいただきまして、ありがとうございました。
計169作品が届き、受け取った手紙を一通一通読むように選考いたしました。これまで二度続けて開催してきたこと、そして、盛り立ててくださったみなさまのおかげで、力のある作品がたくさん届きました。それは「渾身の」と形容しても過言ではないように思います。
「教養のエチュード賞」を開催することは、ぼくのエチュードでもあります。新しい「好き」を見つける目的ではじめたコンテストですが、これは「読むこと」を磨く鍛錬であることに気付きました。「書く」ではなく、「読む」にフォーカスを当てた瞬間、書き手との対話的なコミュニケーションが生まれます。
それは一般的な文章のコンテストとは少しニュアンスが違うように思います。普通は作品の良し悪しのみを選考基準にしますが、ぼくは作品の質に関わらず、すべての書き手と対話しようと心掛けます。あくまでもそれは、自分にできる範囲ではありますが、持てる力のすべては注ぎます。何より、それがぼくの「エチュード」であるからです。
それを一つひとつ形にすることで、不思議な物語が生まれます。それは「ストーリー」ではなく、ぼくがよく使う「ナラティブ」という小さな物語のことです。書き手とぼくの間に生まれる見えない絆のようなもの。もちろん、すべての書き手との間にナラティブが生まれるわけではありません。でも、何回かに一度、それは紡がれる。
「だからどうした?」と思うかもしれません。「そんなものに何の意味があるんだ?」という人もきっとたくさんいるでしょう。もしかすると、何の意味もないのかもしれません。それでもぼくは、それらの紡がれたナラティブを拾い集めて、人生を編んでゆきたい。ただただエンターテイメントを消費する立場ではなく、たとえ小さくとも共同作業で物語を紡いで、編んで、形にしてゆく。
そこで行われたやりとりが、新しく何かを書くきっかけになったり、眠る前に浮かぶ笑顔になったり、もっと言うと、今日を生きる力になればと思っております。そのささやかな力が、その先の誰かへと波及してゆく。そんなイメージです。
それは、一回目の時に発見したことと、二回目の時に新しく発見したこと、そして三回目の只中での発見と再発見によって、自分の思い描く世界の輪郭が次第にくっきりと浮かび上がってきたように感じます。これらの豊かな体験をさせていただいたことを、こころより感謝いたします。
そして、暦の上で「最上の吉日」と言われた三月三十一日に選考結果を発表しました。
「教養のエチュード賞」と「プリマドンナ賞」、どちらもすばらしい作品です。賞を贈ることができて、とてもうれしく思います。そして、このコンテストがなければ出会うことのなかったであろう他の167作品もまた、ぼくの宝物です。
ひとえに、サポートによって教養のエチュード賞を盛り立ててくださったみなさんのおかげです。その後ろ盾がなければ、このような盛り上がりも、これらの渾身の作品が届くこともありませんでした。本当に、本当に、ありがとうございます。すばらしい体験をさせていただいたことをこころより感謝いたします。
※作品ごとの感想「1000文字の手紙」は、引き続き書いて送らせていただきます。