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物語に満ちる東京
朝方まで原稿を書いて、仮眠をしてからそのまま新幹線に乗った。
東京出張。『ダイアログ・ジャーニー』のインタビューと仕事。新幹線の中でも原稿を書く。胃の中でハムサンドがわっしょい。乗り物の中で書き物をすると酔ってしまう。精神のゆらぎを安寧させることに集中しながら、書き上げる。
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神保町で編集者の杉山茂勲さんへインタビュー。杉山さんはシリーズ累計250万部を誇る書籍『変な家』の担当編集者。さらには、『私が見た未来』や『イルミナティカード』の復刻も手掛けた敏腕。編集者の仕事に就いてからの現在に至る紆余曲折をお伺いした。本が売れると、たちまち本屋では同じような内容の、同じようなデザインの本が平積みされる。どの出版社も何匹目かのドジョウを掴みにかかるのだが、杉山さんはひとえに自分の好奇心を満たすために本づくりに勤しむ。もちろん世の中の反応も想定しながら進めてゆくのだが、自身の内面に湧き起る感動に嘘をつかない。どこまでもピュアでいる。結果的に、それがオリジナリティを育む。きわめて興味深い内容となった。
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東洋医学の研究者であり、心理カウンセラーの鈴木まりさんとYouTubeを撮影する。彼女の博識っぷりと、知的好奇心をくすぐるユーモアのセンスが大好きだ。わたしは彼女の生き様はもちろんのこと、ことばの選び方が好きで「爽やかな罵倒」と評した。ウィットはあるが、ウェットではない。彼女の毒はからっと乾いて、清々しいのだ。そういう人はあまりいない。
神保町から原宿へ移り、ハラカドでアートディレクターの千原徹也さんと仕事の打ち合わせ。「センス」について雑談しながら、アクロバティックに考察し、理解を深めてゆく。センスとは勇気である。そして、教養(雑学・知識)なのだ。“届け方”にセンスは現れる。いくら主題について詳しくて、それをロジカルに表現しても、受け取り手はなかなかおもしろがってはくれない。主題の周辺にあるもの、さらには全く関係のない情報と結びつけながら、物語を組み立てデリバリーする。それがおもしろさにつながる。要は、主題の外側の世界との結びつき、言い換えれば無駄な情報と絡ませながら届けることが重要なのだ。非常に興味深い話へ展開していった。
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打ち合わせ中に、千原さんが注文したおにぎりが届く。握り飯をほおばりながら、センスについて語り合う。それからホワイトリリーとキウイフルーツの香り豊かなボタニカルソーダを飲む。それらの体験を振り返りながら、ファンタジックな気分が蘇る。今後も、千原さんとの「センス」と「物語」の対話は続く。
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浅草のホテルへチェックインした頃には23時を迎えていた。
荷物を置いて街へ繰り出し、赤提灯に誘われるように閉店間際の居酒屋に入った。妻とビールで乾杯する。ことばと時間に追われながら、嵐のように過ぎ去った一日だった。妻と二人の時間は、わたしの癒しだ。
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