ドアマン梅村遼太郎の日常

全く売れてない芸人が何かやっていないと不安になるから書いているもの。

ドアマン梅村遼太郎の日常

全く売れてない芸人が何かやっていないと不安になるから書いているもの。

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本屋のない街はバカばっか

 久しぶりに地元へ帰ると、本屋の品ぞろえが悪い。本屋とは名ばかりの文房具屋さんになっている。教養本とは名ばかりの自己啓発本が並び、エッセイとは名ばかりのアイドルの写真集が並べられている。それを手に取ろうとすると、ちゃんと梱包されていた。してやられた。  最近、20代にやるべき何個かのこと的な本が散見される。30代、40代とそういう本も増えてきた。もういい大人なのだから自分の人生ぐらい自分で決めてくれよ。やるべきことは自分で決めるし、それは人それぞれだ。本を読む人もいれば、ネッ

    •  寝る

       なんでこんなに寝てしまうのだろう。やらなければいけないことがあればあるほど、眠たくて仕方ない。私の趣味は寝る事か。  春になりました。相成りました。夜中に窓を開けるといい匂いがする。これ二回目だっけ。今年の桜はなんとなく咲いて、なんとなく散っていった気がする。ちょうど満開終りぐらいに中目黒に行く機会があり、人が多くいた。みんな、内カメラで写真を撮っている。顔を決めて。その光景を写真に撮った。なぜか滑稽で、写真を撮り終えた後は見向きもせず、橋を渡って行った。  夜中にバイク

      • 天才顔するのはもうやめた餅屋

         ステッカー制作をしている。正確に言うと、私もひなたもギャル作家も絵の才能がないため、人に頼んでデザインをしてもらっている。  北千住にあるトイレが和式の喫茶店に集合した。着いてまず一本。作家とデザイナーは飯を食べている。いっぱい食べるな、すごいなって思った。私はコーヒーを頼んだ。個人経営の喫茶店には似合わない素晴らしい接客だった。ホスピタリティに溢れている。見習わないといけない。トイレが和式なこと以外は完璧な喫茶店であった。  本題に入る。頭に思い浮かぶものを何個か提出す

        • 梅村短編2

           野良に放たれた今、やることと言えば書くことしかないため、3月は毎日書くと決めた。お付き合いしていただけたら幸いです。 1「にらめっこ」  目のないダルマとにらめっこをした。なかなか手ごわい。 「お前はおれのことをどうやって見ている」  私が尋ねると、 「私は私の心で見ている」と髭が動いた。 「じゃあおれの心をどうやって見ている」  私が尋ねると、 「私は私の眼で見ている」 「目がないのだから心は見えないだろう。バカなこと言うんじゃない」 「じゃああなたは私の心をどうやっ

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        本屋のない街はバカばっか

          奇人と普通人

           私の決意を話したいと思う。  もう逃げられなくなったので、もう芸事をしていくしかない。この文章もまた芸のうち。人様に笑われる職業。親に紹介したくない彼氏の職業ぶっちぎりのナンバーワン。私たちは笑われたい。なるほどな的伏線回収ワンピースコントはしない。ワンピースの最終回の方が先か、私たちが売れるのが先か。パチスロワンピースが先か、パチスロドアマンが先か。  ここ一年はずっと相方に怒っていた気がする。本当に体力が必要で、ああまた怒ってしまったと少し落ち込んでしまう。自分も人間

          Zzz世代

           多様性を謳いながら、Z世代と言って若者を排除しようとする大人。  「もう世代が違うからなあ。」と金輪際、言わないことを今ここで私は宣言しようと思う。まず第一に、鬱陶しい。うるさい、もうやめてください。Z世代と聞いてもあまりピンとこなかったため、調べてみた。デジタルネイティブ、SNSネイティブとも呼ばれ、タイムパフォーマンス重視の効率主義、強い仲間志向、仕事よりプライベート重視、多様性を重んじるなどの価値観を持った現在の中高生から私たち20代半ばの世代の呼称らしい。一言、う

          好きな後輩

          私は後輩に好かれるなどというものはない。逆に嫌われている可能性がある。めんどくさい人間なことは自分でも分かっている。    ある大学時代の友人から「おれはお前の後輩じゃなくてよかった」と言われたことがある。聞くと、いろいろ礼儀とか所作とかめんどくさそうと言われた。そんなことない。一度も言ったことない。それは嘘。二回くらいある。しかしよっぽどのことがない限り言わない。例えば、飲みの席でのグラスの水滴。あの下が水滴まみれな人を見ると飲む気が失せる。おしぼりでチョンチョンすればいい

          なかよし

           地元に帰った。漫才衣装を持って、前乗りして、実家のご飯も食べて、おばあちゃんと話す。  次の日朝9時集合、相棒とスタイリスト(小藤くん)三人で一時間の道中、ちょっと相棒と喧嘩、挨拶云々しっかりしてねと私が言うと、「わかっとるわ!」と怒鳴られる。怖い。  10時入り、私とスタイリスト(小藤くん)は運営の方々、スタッフさんたちに挨拶をする。楽屋に戻ると、相棒鎮座。挨拶行ってきたよ、と伝えると、「なんで言ってくれんの?」と睨まれる。怖い。  11時ステージスタート、出囃子Age

          ロボット

           お久しぶりです。梅村です。  たくさんの出来事が起きるたびに、これは書けるなと考えたりしながらも、パソコンを開く事もせず、毎日を送ってきました。だらしない人間です。  「書かないの?」と言われてしまうと、何かに理由をつけて、今は小休憩ですと言って回って、逃げておりました。しかしこの文章群を忘れられてしまわないように、真っ暗な場所で書いております。  この文章を書く理由も逃げるためである。なにか日常で上手くいかない時、書き物への欲求が湧く。これを書いている最中はなにも考え

          味噌臭い男の話

           盆を過ぎて、だんだんと夜は心地よい風が吹く。バイクで夜道を走っていると海まで行ってしまいそうになる。海はそんなに好きではない。  私はバイクの免許のみであるが、一切の運転免許を持っていない男の話をする。  そいつは高校時代、人気者であった。モテてはいない。サッカー部のスタメンで男子に好かれるような、波風を立てない、誰とでも仲良くなれる才能の持ち主である。方や帰宅部で、二年間毎日一人で深夜ラジオを聴きながら帰っていた私がいる。これもまたモテてはいない。印象を聞くと、「怖い」、

          ゴールデン

           彼が死んで一か月が経った。  残していった皿は使えなかった。  寂しいと思っていたが、案外平気な気もして、真夜中に散歩してみたりするが、あなたがいないとやっぱり苦しくなって、タクシーで帰った。 「お客さん、まだまだ人生長いんだから、大丈夫。あんまり気落ちしないで。」  タクシー運転手の言葉には気持ちが入っていない。そりゃそうだ。彼に会ったことないんだもの。割増で3100円、診断料を払った。  独りで帰り、すぐベッドに横たわった。夢を見た。彼とキスしている夢を。嬉しそう

          独りで映画を観る

           忙しい忙しいと言い訳をしてさぼっていたことを深くお詫びいたします。忙しいとは気持ちの持ちようであり、忙しくなかったのかもしれない。    祖父が長い旅に出た。それは長い長い旅で、私が会うには少し時間がかかる。祖父にあげようと思っていたパナマハットはあげられず仕舞いで、こんなにも暑い六月には最適だと思っていたのにな、という感想が一つ。暑いので私が被ろう。  祖父が置いていったケータイの振込用紙を見ると、50000の文字があった。後に調べると間違いではなく、一人の方に頻繁に連絡

          濡れた鍵

           冬なのに窓を開ける癖がある。緑のブラインドを少し上げて、濡れた鍵を触って、2センチだけ開ける。  初雪で騒いでいる電車が揺れていた。外は真っ白で、甘かった。隣にいる光明はデートなのにワイヤレスイヤホンをしていた。私はワイヤレスが好きではなかったから、有線の付録のイヤホンをした。それぞれ違う曲を聴くのも嫌だが、片っぽずつ分け合う高校生はもっと嫌だ。ステレオとかモノラルとかそういう類ではなく、音楽の趣味は絶対に違うのになぜ分け合うのだろう。音楽は独りのためにある。  目的の駅に

          三文字

           私は先程、死んだだろう。  今日はなぜか気持のよい日だったのでひたすらに散歩をした。何時間か覚えてないが、とにかく歩き続けた。煙草の吸えない小さな喫茶店で、年季の入ったガールズトークをBGMに甘い飲み物を飲んだ。喉にへばりつくような感覚だった。ストローでぐるぐると氷を混ぜて薄くしていたら、左から普通車が突っ込んできた。軽自動車じゃなくて、バイクじゃなくて、よくある普通車だった。自動車教習所にあるような。あ、薄くしたやつ飲みたかったなと呟いて、私は先程、死んだだろう。  僕

          カタカナ

           きっと泣いていた。  人間観察をしていた。ただひたすらに。電車のなかで脚を組む男性に嫌悪感を抱いた。脚を組みたいならば、頑張って稼いでタクシーに乗ればいいのに。しかしそういう人間はタクシーに乗れたとしても降りる際に「ありがとう」の一言も言わない。お金を出しているから当たり前という考え方はもう古い。フォービナイズなどと言われているが、そのようなことを言う人はアメリカ人と喋ったことがない。  楽なバイトを探していたら、人間刺しを作る仕事を見つけた。食用の人間をさばいて、ほぼ

          お餅100個

           新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。  この文章を読んでいる方々はよっぽどやることがなかったのでしょうか。大丈夫です。私も誰からも誘われず、面白くない正月番組をつけながら、だれが読むか分からない文章を書いています。ろくでもない正月です。タンスくさい祖父母の家で不味いおせちを食べながら、餅に飽きたら読んでもらうと正月太りしません。  私の帰省は慌ただしかった。師よりも私の方がダッシュしただろう。祖父が救急車で運ばれた。焦って手ぶらで帰ってきて