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【無料公開】子どもの生活習慣を整えることよりも大切なこと
※全文無料で読めます。
こんにちは。Ryotaroです。
今回は「生活習慣」についてのお話を書きます。
心理士として色々な方の相談に乗っていると、「子どもの生活習慣が乱れてしまって困っている」という相談が少なくありません。
ご飯を食べる前にお風呂に入るルーティンを作りたいのだが、なかなかお風呂に入れず困っている。
夜は9時までに寝かせたいのだけど、なかなか寝ず、11時くらいになってから寝る習慣がついてしまっている。
とかですね。これらはどちらかというと幼稚園・保育園〜小学校低学年くらいにかけての年齢の子の親御さんが抱く相談事として上がってきます。
また、大学生くらいのお子さんの親御さんからは、
子どもの生活が昼夜逆転していて困っている
という相談を受けたりもします。
これらは全部「生活習慣」に関するお悩みで、こうした悩みを抱えている親御さんは「生活習慣を整えたい」と思っています。
だからこそ、生活習慣が整っていないように見られる状況をなんとかしたいわけです。
で、こうしたお悩みを聞いていると見えてくるのが、
生活習慣を整えて欲しいから、家の中で怒ることが増えてしまっている
という状況です。
こうした相談は、はじめは「どうやったら生活習慣を整えられますか?」というHowの部分の相談から入ることが多いんですが、
親御さんたちは状況や困り感を話しているうちに、「子どもに対して怒ってばかりいる自分が嫌」という自己嫌悪感を吐露してくれたりします。
でまあ、ここでは結論から先に言ってしまうのですが、僕としては「生活習慣は必ずしも整っていなくていい」と思っています。
というより、「生活習慣を整えようと思って、お子様に対して怒ってばかりになってしまう状況はやっぱ嫌だよね」と思っています。
僕は、子育てにおいて大事なことは「子どもの成長を見守ること」だと思っているのですが、「生活習慣を整えること」に注力してしまうと、その子どもの成長に気づくことができなくなってしまうおそれがあります。
子育ては、大変です。「大人の認知」に至っていない子どもたちは、親の言っていること、やって欲しいことを理解することが難しいですし、
「大人の認知」に至っている子たちでも、「経験が未熟」だと良かれと思ってこちらがした助言に反発したりしてきます。
子育てって、こういった「もやもや」ばかりなんですね。
そんな、もやもやがたまる子育てにおいて一服の清涼剤となるのが、「子どもの成長」なんです。
子どもの成長に気づいたとき、これまでしてきたことが報われ、「ああ、自分のしてきたことは間違いではなかったんだな」と親である自分を自分で認めてあげることができます。
それが、「生活習慣を整えること」に躍起(やっき)になってしまうと「子どもの成長」に気づく機会が損なわれ、「あれしなさい」「これしなさい」と言ってばかりになり、そんな自分に気づいて落ち込む、ということになってしまいます。
ただ、親御さんたちがお子様の生活習慣を整えたいという気持ちはわかります。
なぜなら、親御さん自身が朝早くから夕方遅くまで働いていて、子どもたちを朝から保育園に預けて仕事に向かわければいけないとか、
学校の登校時間から逆算して朝ごはんの時間を設定すると、充分な睡眠時間を確保するには、ある程度早めに寝てもらわないといけない、という状況だったりするからです。
こういった状況が生まれてくるのには、現代人の忙しさや、学校の登校時間が早すぎることとかが背景にあります。
つまり、親御さんが「生活習慣を整えなきゃ」と思う背景には社会的、文化的側面からの影響が強くあります。この辺り、現状のインターネット技術があればいくらでも改善可能なことだとは思うので、どうにかならんかな、と思っている次第です。
こういった事情とは別で、「子どもの心身の健全な発達には生活習慣を整えることが必要」とか「昼夜逆転生活は社会との接点がなくなるから不安」といった理由から「生活習慣を整えなきゃ」と思っている方には「ちょっと待って」と言いたいです。
別に生活習慣が整っていなくても、子どもたちは成長します。とは言え、「バランスの取れた食事」とか「充分な睡眠」は大事ですが、その辺を徹底しようとして「イライラが募る」「感情的になって怒る」というアプローチをしてしまう方が子どもたちへの影響は大きいです。
特に「言葉の発達」に関しては文化的な影響(つまり、親等の周辺環境)からくる影響は強いです。
普段から親に強い口調の言葉かけをされている子は、その子自身の口調も強くなります。そうすると、周りの友達に対してもそういうふうに言葉を使うので、だんだんと嫌われてしまったりもします。
また、心への影響を考えると普段から「ダメ」と言われ続けていて、ダメのレッテルを貼られてしまっている子は、「自分はダメな子」というふうに自己認識します。
こういう自己認識だと「自分はダメな子だから、社会的に望ましい行動ができなくて当然」という考え方になってしまい、人や自分を傷つける行為を平然としてしまったり、「頑張ろう」と思う気力(自己を成長させる気力)が出てこなかったりします。
こう考えると、「生活習慣を整えよう」という思いを強く抱きすぎたことで、「子どもを怒る機会が増えてしまっている」という状況になってしまうのは、「子どものためを思って」やっていることなのに結果が逆行してしまっています。
こうなったらもう、全部を放棄して「好きにせい!」とドンと構えてあげられた方がいいです。その方が家族全員の心のゆとりが出て、いい感じになります。
よく、親御さんが「子どもに期待するのをやめた」途端にお子様が自主的に行動するようになったということがあるのですが、「生活習慣を整えるのをやめる」と思った途端に生活習慣が整っていく、ということもあったりもします。
さて、続けて「子どもの生活が昼夜逆転していることへの不安」についても書こうと思ったのですが、それはまた次回にします。
というわけで、次回も無料で読めるようにします。こちらの「しんりしのもやもや」というメンバーシップは、子育てや人間関係に関することを心理士という立場から書いています。
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