ロング・グッドバイ
映画「ロング・グッドバイ」
1973年のアメリカ映画です。
原作はレイモンド・チャンドラー。
探偵小説の大家ですね。
主人公の探偵フィリップ・マーロウは、ハンフリー・ボガート、ロバート・ミッチャム......など数多くの役者が演じてきました。
日本でいうところの金田一耕助ですかね。
さて、今回はエリオット・グールドがフィリップ・マーロウを演じてます。
2001年の映画「オーシャンズ11」ではジョージ・クルーニーたち泥棒集団に資金援助する資産家を楽しげに演じてましたね。
ロバート・アルトマン監督の常連俳優ですね。
そうです。この映画「ロング・グッドバイ」の監督はロバート・アルトマンです。
ストーリーですが、
主人公の探偵フィリップ・マーロウの友人が謎の死をとげるんですね。
その死の謎をときあかしていくというのが大まかなストーリーですが、映画全編とおしてただよう空気感がたまらなくいいんですね。
1970年代というと、ビートルズが解散し、アメリカ大統領が史上初めて辞任し、ベトナム戦争が終結し、新しい強いアメリカを発信していった時代ですね。
劇中で、探偵フィリップ・マーロウの隣の家で、ロングスカートにサイケデリックな服装の女の子たちが毎晩踊ってるんですね。
これも時代ですね。当時のヒッピー文化ですね。
フィリップ・マーロウはいつもタバコくわえてるんです。禁煙活動が盛んな今では考えられないね。
1970年代という時代背景、空気感を実によく映し出してます。
1970年代は、映画界ではアメリカン・ニューシネマの時代ですね。
アメリカン・ニューシネマいうのは、ベトナム戦争があり、これまでの夢と希望のハリウッド映画に反して社会の矛盾、今のアメリカ社会、家庭の姿を描きはじめた映像作家たちの波をそう呼ぶんですね。
このアメリカン・ニューシネマ時代の傑作ロードムービー「スケアクロウ」や、
ベトナム戦争を描いた「ディア・ハンター」
これらを撮影したのがヴィルモス・スィグモンドです。
そしてこの映画「ロング・グッドバイ」のカメラマンもヴィルモス・スィグモンドなんですね。監督ロバート・アルトマンとは何度もコンビを組んでます。
ロバート・アルトマン、大好きな監督です。
職人監督という名前が一番当てはまる監督ですね。複数の登場人物がでてくるアンサンブルドラマを確立し、コメディ、サスペンスと、様々なジャンルの作品を残しました。ハリウッドに背を向け、ハリウッドの役者にもっとも尊敬された監督ですね。
そしてこの作品「ロング・グッドバイ」の音楽をジョン・ウィリアムズが担当してます。スピルバーグ作品にはかかせない作曲家ですね。
撮影当時は今と違ってデジダルではなく、フィルムでの撮影が主流ですよね。フィルムの質感が70年代という時代の空気感をきりとってますよね。
また、ロバート・アルトマン監督は遊び心も忘れてません。ラストのシーンは1949年の映画「第三の男」のオマージュですね。映画「第三の男」はウィーンを舞台にした洒脱な犯罪映画ですが、アルトマン監督は参考にしたんですね。
この映画「ロング・グッドバイ」は真夜中にひとり静かにひたる映画ですよ。