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ウエスタン
映画「ウエスタン」
1968年のイタリア・アメリカの映画です。
監督はウエスタン映画の巨匠セルジオ・レオーネです。
レオーネ最後の西部劇です。アメリカ開拓時代が舞台です。
オープニングのシーンにふるえました。
さびれた駅で誰かを待っている3人の男がいます。3人ともいい顔をしていますね。いかにも西部を生きる男の顔です。
このシーンいっさいセリフはありません。
風の音、まわる風車の音、自然の音だけで音楽をつくってるんです。この自然の音楽だけでひとつのシーンをつくってるんですね。
やがて3人が待つ駅にひとりの男が降り立ちます。一瞬の撃ち合いがあり、3人の男は地面に倒れます。
こんなオープニング見たことありません。
この映画、画面の構図が見事です。
緻密に計算されてます。ひとつひとつのカットが絵画です。芸術品ですね。
話しは、夫を殺された妻が復讐のために西部の大地に挑む物語です。
そこに鉄道会社の利権争い、お金がからんでくるんですね。
悪役を演じてるのがアメリカの名優ヘンリー・フォンダです。ここにこの映画のおもしろさがありますね。
映画「怒りの葡萄」「荒野の決闘」と、アメリカの良心を演じてきた役者ですね。
この映画「ウエスタン」では、ヘンリー・フォンダが子供を撃つシーンがあるんです。アメリカではテレビ放送のさい、今でもこのシーンはカットされるそうです。
また、原案に若手時代のベルナルド・ベルトルッチが参加してます。ラストエンペラーの監督ですね。
音楽はエンニオ・モリコーネ、イタリアの大作曲家です。
まさに一流が揃った作品です。
原題は「Once Upon a Time in the West」といいます。「昔、昔、西部では…」という意味ですね。
タランティーノの2019年の映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」はここからつけられてます。
クリント・イーストウッドはレオーネの1964年の西部劇「荒野の用心棒」で世にでました。
レオーネ亡きあと1992年にイーストウッドが監督した西部劇「許されざる者」では、最後のクレジットに「この作品をセルジオ・レオーネに捧ぐ」とでます。
セルジオ・レオーネは後世に息づいていますね。