薔薇の名前
映画「薔薇の名前」
1986年のフランス・イタリア・西ドイツの映画です。
1300年代イタリアの山奥にある修道院が舞台です。
そこにショーン・コネリー演じる修道士と弟子のふたりが訪ねてくるんですね。
物語はこの弟子の回想という形で語られていくんですね。冒頭「今も忘れられない事件がある」とういう、今は年老いた弟子のナレーションで始まります。
舞台となる修道院で、若い修道士が図書館から落下して死亡するんです。しかし図書館には窓がない。このミステリーにショーン・コネリーが挑んでいくんですね。
脚本がいいですね。最初から最後まで観客をぐいぐい引っぱっていきます。
現代と違って、科学捜査が発達していない中世が舞台ですが、知恵をつかってショーン・コネリーがひとつずつ謎を解いていきます。
リアルなストーリー展開に引き込まれますよ。
なにも物がない時代のほうが、映画として面白みがでるんですね。
中世の修道院を描く光と影が素晴らしいです。修道院の息づかい、匂い、質感が伝わってきます。カメラ、照明がこの物語を引っぱっていますね。
監督はフランス出身のジャン=ジャック・アノーです。
1992年の映画「愛人/ラマン」も好きな映画です。
異文化がまじったときの化学反応を描くのがうまい監督ですよね。
そしてこの映画、もうひとつのミステリーが題名です。
「薔薇の名前」って、言葉としておかしいでしょ。「薔薇」には「薔薇」という名前があるのに、その薔薇の名前というのは、なんなのか。最後の最後にこの意味がわかります。
見事です。
題名から楽しませてくれるこの映画は極上のミステリー映画ですよ。