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2023年5、6月に読んだ本

今月&先月読んだ本の、まとめ!

① 泡坂妻夫「乱れからくり」

玩具会社の関係者が次々に不慮の死を遂げる連続殺人事件を描くミステリ。

からくりに対する雑学が散りばめられた蘊蓄系のミステリであり、かつそれがトリックやオチに深く結びついた完成度の高い作品になっています。

② ウィリアム・L・デアンドリア「ホッグ連続殺人事件」

一見すると被害者同士に繋がりがない、ミッシング・リンクものの有名作。

犯人からの手紙に書かれた署名"HOG"の意味について、関係者がこじつけじみた推理をするパートが面白いところ。それだけに、ラストでその意味が明かされるシーンが印象的。

③ F・T・バルビニ&F・ヴァルソ「ノヴァ・ヘラス」

イスラエルSF傑作選に続く、竹書房の非英語圏SFの傑作選。今回はギリシャのSF。

もとになったアンソロジーの関係でディストピア風味の作品が多いのだけれど、作家によって味付けは様々。収録作では「T2」「いにしえの疾病」がお気に入り。

私は常識に揺さぶりをかけるのがSFの魅力だと思っていて、この2作はとても好きなタイプの作品でした。

④ ローラン・ビネ「HHhH」

ナチス親衛隊大将ハイドリヒの暗殺事件を描く歴史小説、であると同時に歴史小説を書くことについての小説。

歴史の記述と並行して、現在の書き手の生活や資料調査の様子、そして「自分で見たわけでもない事件を、見たように書いても良いのか?」といった作家の苦悩が語られます。

⑤ シルヴィア・モレノ=ガルシア「メキシカン・ゴシック」

かつて英国資本による銀の採掘で栄えたものの、閉山後は寂れてしまったメキシコの町を舞台にしたゴシック・ホラー。

パーティを楽しみ学問を志す芯の強い女性主人公が、鉱山主の陰鬱な館で起こる怪奇に立ち向かいます。

⑥ 中島らも「ガダラの豚」

アフリカ呪術が専門の民俗学教授、超能力者のネタを暴く元マジシャン、と一癖も二癖もあるキャラクター達が織りなすエンターテイメント巨編。

これは超能力なのか?トリックか?呪いなのか?ただの思い込みなのか... 読者を惑わす巧妙な筆致で描かれる、呪術を巡る物語。


以上、今月&先月の読書でした!

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