「みんなで人事」で200名になったベンチャーが目指したかった組織のあり方
Finatextホールディングスの代表の林です。
毎週、その週の出来事や今考えてることなどを社員向けに「週報」として発信しているのですが、今回それを社外にも同時発信してみることにしました。これからウチに入ってくれるメンバー候補の方にも届けられたらと思います。※ちなみに、社員のnoteはこちらの「Finalog!」にまとまっているので、ぜひ読んでみてください。
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私たちは「金融を"サービス"として再発明する」をミッションに金融の次世代インフラになることを目標に、BaaS/Embedded Financeを提供している会社です。
ピラミッド型な組織になるのが一般的な金融業界で、Finatextは創業時から傘下に金融機関を保有する今まで、フラットで柔軟な組織運営を心がけてきました。そんなFinatextのビジョン/ミッションやカルチャーがどのようなものかというのは、CFOの伊藤くんのnoteを参照ください。
Finatextは創業から今まで人事部を作らずにきました。人事と呼ばれる仕事は経営陣と事業リーダーやメンバーみんなでやる「みんなで人事」でやっていました。みんなが制度作りに関わること自体が、すばらしい制度や仕組みがあるより大事だと思ったからです。だからなるべく多くのメンバーを当事者にすることを第一の目標にしてきました。結果として手作り感満載の人事制度になってはいるものの、離職率などの指標をみているとそれなりの成果を上げている気はします。
しかし、新しいメンバーがどんどん入り、もうすぐ200名という規模になってきて、グループ傘下に証券会社と保険会社といった金融機関も加わる中で、この「みんなで人事」に限界が見えてきました。どんどん数も難易度も増えるプロジェクトをリードしながら組織の改善も行うには、人事の仕事はあまりに大きく専門性も高くなってきたからです。ゆえにHRBPやCHRO候補のような経験あるメンバーを迎え入れ、コーディネート力を加えることで引き続きメンバーみんなの関与をうまく引き出すのがあるべき姿なんじゃないかと思っています。言うなれば「みんなで人事2.0」です。
「みんなで人事2.0」がどんなものであるべきかこれから追求するとして、そもそもどんな会社を作りたかったのか?というのを振り返っていこうと思います。創業者だからこそできることだし、するべきことだなと思ったので、整理してみました。すると3つくらいのこだわりがあることに気づきました。
ルールやプロセスを減らし、爆速で動きたかった
僕が新卒を過ごしたグローバル金融機関は、当然ながらたくさんのルールがありました。例えば「アジア圏に出張する時のお昼ご飯の経費は20ポンドまで」みたいなかたちできっちり決まっていました。まだ、僕がアルゴリズムトレードのシステムを開発するときも、新しいツールを導入するのにものすごく時間がかかっていたりしました。大企業だし、しょうがないかぁ〜。って思っていたらNetflixのカルチャーのプレゼンテーションを見つけたのです。
え!Netflixみたいなグローバル大企業でこんな感じで運営することができるの!?と目からウロコでしたし、逆に自分がなんとなく考えていたことが肯定された気分でもありました。Finatextでは、Netflixの考えを完璧に踏襲しているわけではないのですが、僕なりに解釈をして、社内のルールやプロセスを最小限に抑え「Act family's best interest」という考えのものと、いわゆる僕とかリーダーの承認がなくても大半のことが現場の最前線のメンバーでがしがし決めて行ってもらえるようなカルチャーが作られていきました。これをうちの会社では「Jibungoto」というプリンシプルとして表現しています。うちの5つのプリンシプルの中でも一番浸透しているものでもあります。
ワンチームで成果を出すのを当たり前にしたかった
同じ会社なのにA事業部とB事業部が仲が悪くて共有されるべき情報が共有されず足を引っ張り合うというのはよく聞く話だと思います。僕が新卒でいた10万人を超える組織であればある程度仕方ないなと思ったのですが、100人以下の別の会社でもそんな状況を経験しました。そして事業部だけでなく、例えば営業やトレーダーのような収益を作る部門がフロントオフィス、業務やシステムなどを担う部門がバックオフィスと分かれており、バックオフィスは社内でもコストセンターなどと呼ばれて「格下」みたいな雰囲気がありました。
僕はそれが不思議でならなかった。なんで同じ会社にいるのに中で戦ってるんだろうかと。敵は外にしかいなくない?って無邪気に思っていました。直接的にPLを生まない部門に対しての扱いも意味不明でした。営業が売れるのは商品や経理の人がきちんとサポートしてるからできるわけですし。
そういう背景もあり、僕は「部門を作らない!どの人が何を担当しているというのを決めない!基本的にみんなで担当している!」という哲学でカルチャーを作っていきました。これは「Beyond」というカタチでプリンシプルに表現されています。例えば「STREAM」という手数料0円の株取引アプリがWBSで取り上げられたときは口座申込が跳ね上がり、人手が全然足りなかったのですが、証券のメンバーが「手伝える人〜」って声をかけるだけでまったく違う会社やチームから一瞬にして30人くらい集まって、泥臭い事務作業をみんなで手伝うみたいなことが起きました。
※ちなみに取材された時にマスクの位置を間違えたせいでさらに拡散して、1ヶ月分の口座申込が2時間くらいできました。
肩書きにとらわれずにフェアな議論がしたかった
ロンドンの投資銀行にいたときは、役職が一番上の人(MD)というのはなかなか近づきづらい雰囲気がありました。新卒が気軽に話しかけるような感じではまったくありませんでした。ミーティングしていても、その場ではみんな一番役職の高い人の意見に迎合して、裏で別のことを言っているみたいなことは日常茶飯事でありました。
それって、肩書きがあるからいけないんじゃないか?上司部下があるからいけないんじゃないか?と思うに至りました。結果、Finatextでは上司と部下という概念を一切なくし、「肩書きは基本的に自由」という方針でいこうと決めました。さすがに「代表取締役」など、外交上、規制上記載が必要なものは除きますが、基本的に名刺の肩書きは好きにつけていいという方針にしています。うちの会社のメンバーに会ったことがある人はお気づきかもしれませんが、社員のタイトルがばらっばらです。僕も社長なんて呼ばれないですし、社員が200名に迫る今でも社長室はありません。上司や部下という言葉を使う人はいませんし、20代の若手エンジニアが時には70歳を超えれる経験者と和気藹々、喧々諤々と仕事をするのが日常だったりします。
おかげさまで、若いメンバーも社長である僕に堂々と反対意見を述べることが奨励される感じになっています。一方でドメインリーダーと呼ばれる最終意思決定者はおり、物事を進める上では必ずしも完全にフラットというわけではありません。
「みんなで人事2.0」で実現したいこと
これまでの「みんなで人事」をざっと振り返ってみましたが、これからの「みんなで人事2.0」で実現したいことも、やはり変わらず物事を爆速で進めていき、上下関係なくフェアに議論しながらワンチームで成果を出す組織でありつづけることだと思いました。組織が大きくなるとルールやプロセスが増えてしまうだろうし、どうしても経営陣とメンバーの距離は遠くなるので意見しづらくなるし、チームやドメイン同士の利害関係の衝突などが発生するのかもしれません。それに対して「成長のためには仕方ないよね」というような、AのためにBを諦める「OR」の発想で臨むのではなく、AもBも実現していく「AND」の発想で、Finatextらしく工夫して「みんなで」取り組んでいけたらと思います。
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