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認知症新薬の公的医療保険適用で本当に現役世代は死ぬのか?

こんにちは!
ENMANの今井です。
いつも読んでくださる方、ありがとうございます!

昨日、Yahoo!ニュースを見ていたら「社会保険料の急騰で現役世代が死ぬ」という衝撃的な内容の記事に出会いました。
記事では新たに公的医療保険が適用され、患者への投与が可能になる見通しとなった認知症薬の高額療養費制度などをめぐり、現役世代の費用負担が重くなる、という内容が書かれています。
ご興味ある方は以下のURLから元記事ご確認ください。

「ほんとに現役世代が死ぬの?」と疑問を持ったので、認知症新薬の公的医療保険適用をするための財源について簡単に試算してみました。

今回のnoteでは、今後認知症ってどのくらいの人数が発症するのか、どのくらい財源が必要になるのかなど簡単に試算した結果を紹介したいと思います。

全部で3~5分で読んでいただけるボリュームになっています。
では本編どうぞ!


認知症患者はどのくらいいる?

まずは認知症患者の数を考えてみましょう。
一般的には、認知症になる前に「軽度認知障害」という段階があります。
国勢調査などを踏まえると、2025年には、
 ・認知症有病者=700万人
 ・軽度認知障害=600万人
と推計されます。
そのため、軽度認知障害まで含めると、
合計1,300万人≒65歳以上の高齢者の3人に1人
が認知症患者と考えられます。

ここで、今回の認知症新薬は進行を抑える薬だそうなので、
基本的には軽度認知障害の方が対象と考え、以降の試算では2025年600万人を前提にしてみます
また、全員が全員薬を使うということもないでしょうから、600万人のうち、1割くらいの方が新薬を使用されると考えてみます。

なお、ちょっとややこしいのですが、600万人は2025年時点の軽度認知症の方の数であって、2025年に新たに軽度認知症になった方ではありません。
内閣府の推計によると、死亡による患者数減少を無視すると、ざっくり20万人ずつ毎年認知症患者数が増えていくため、軽度認知障害も同程度の数が毎年増加していくものと思います。

新薬の費用

認知症の新薬レカネマブの費用は年390万円と報じられています。
どんな感じで投与する薬なんだろうと調べてみると、以下のような記載を見つけました。

2週間に1回、点滴投与します。点滴にかかる時間は、1時間程度です。認知症と診断された人は、一般的に2~3カ月に1回程度通院しますが、レカネマブを使用する場合は通院頻度が高くなります。

https://nakamaaru.asahi.com/article/14844850

ということは、毎月お金がかかりそうです。
というわけで、12か月で先ほどの390万円を割ると、毎月の費用は32万5千円であることが分かります。」

また、窓口負担割合は年齢・所得によって異なり、
一般・低所得者は70歳以上の場合、2割負担。75歳以上なら1割負担です。
他方で、現役並みの所得者の場合は70歳以上であっても3割負担のままとなります。

そのため、各区分ごとの負担額は以下のようになります。

高額療養費制度

次に高額療養費制度について簡単に整理してみましょう。

高額療養費制度とは、

  • 病院などでの1か月の窓口負担額が自己負担限度額を超えた場合、その超えた金額が公的医療保険制度から支給される

  • 自己負担限度額は、年齢・所得により異なる

  • 差額ベッド代や入院時の飲食代の一部負担、先進医療の技術料などは高額療養制度の対象にならない

というようなものになります。

そして、自己負担限度額は年齢と所得に応じて下表のようになっており、記事の中にあった「年14万4千円が上限」というのは、70歳以上の表内の青色着色部分に該当します。

ちなみに、高齢者世帯の所得分布を見てみると、こんな感じです。

先ほどの高額療養費制度の区分に近似させるため、ざっくり集計すると、それぞれ以下のようになりました。

認知症新薬をめぐる必要財源はどのくらい?

さて、ざっくり試算の前提がそろったので、整理してみます。

・2025年時点で軽度認知障害になっている600万人が対象
(簡易試算のため、一旦全員70歳以上とします)
・認知症新薬の価格は年間390万円、月32万5千円
・高額療養費制度は所得によって異なる
・(簡易試算のため)70歳以上の軽度認知障害の方の所得分布は
  高齢者世帯の所得分布と同じとする

つらつらと書いたことを表にまとめてみると、こんな感じです。

まとめてみると、年収770万円以上の方は高額療養費制度の対象にならなそう…
また、結局、一般層及び住民税非課税の方は年齢によらず実質の年間負担額が変わらないことも分かりました。

これに所得分布を踏まえて掛け算してみると、、、
なんと総額2兆円規模の財源が必要ということに。。。

まとめ

さて、まとめに入りましょう。
高齢者を取り巻く社会課題を解決していこうとしている身として非常に興味を惹かれた記事を題材に簡単な試算をしてみました。

コンサル時代にはこんないい加減な試算していたらいろいろ突っ込まれたと思いますが、趣味で数字遊びをしていると思ってご容赦ください。。。

今回の試算では色んな仮定をおいて計算してみたところ、総額2兆円規模の財源が必要になる、という結果になりました。
ただ、先述のとおり、かなりざっくりした試算なので、本当に60万人も新薬使うの?とかツッコミどころは多いです。
なので、この結果をもって、どうこうというつもりはありません。
また、現役世代が死ぬのかは結局他の財源との兼ね合いになるでしょうし、
死ぬとも死なないとも言いづらいです。

ただ間違いなく言えることは、認知症は今後の超高齢化社会では避けては通れない問題の1つです。
現在認知症のご家族を支えていらっしゃる方にとって、認知症新薬のニュースは朗報だと思います。

一方で、勘定をせずに、感情論で政策を決めてしまうと、「財源確保のために必要な予算が削られる」「増税される」など結果、困るのは我々市民です

ちゃんと自分で考えて、判断できる市民でありたいと改めて思いました。
(自分で作った「死ぬか?」という問いに真っ向から答えずに逃げてすみません苦笑)


さて、今日のnoteはいかがだったでしょうか?

いつもとはちょっと違う切り口でのnoteになっていますが、楽しんでいただけたら幸いです。
また、ニュースを読んでからいろいろ調べて試算したため、正確な情報かは分からないので、あくまで読み物として楽しんでいただけたらと思います。

今回も読んでいただきありがとうございました!
今後も僕自身のこと、事業のこと、気になったニュースにまつわることなど、発信していきたいと思います。

発見があった、分かりやすかったという方は、
是非スキ・フォロー、Twitter(X)のDMなどよろしくお願いいたします!

また、今回のnoteにあるような分析とか政策の話とかするの好きだよ!という方も是非コメントください。
そういった方が多そうであれば、今後も時々分析系の記事を挙げられたらと思います!

では、また次回のnoteで!

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