見出し画像

情動・認知に関する疼痛評価


痛みの多面性

痛みは「感覚」だけではなく、「情動」や「認知」としての側面も含んだ多面性を有している。

今回は、情動・認知的側面から捉えた代表的な疼痛評価を紹介する。


「情動」に関する疼痛評価 【HADS】

HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)
・不安(Anxiety)と抑うつ(Depression)の各7項目で、全14項目
・奇数番号は不安尺度、偶数番号は抑うつ尺度
・0〜3点の4段階

0〜7点   :nagative(なし)
8〜10点 :doubtful(疑い)
11〜21点:definite(確定)

評価用紙のダウンロードはこちらから👇

短期のイベント前後で大きく変化するものではないため、数ヶ月程度の間隔をあけて評価するのが望ましいかもしれない。


「認知」に関する疼痛評価 【PCS】

PCS(Pain Catastrophizing Scale)
・”破局的思考”を評価
・全13項目あり、各項目を3つの下位尺度で分けることができる
・0〜4点の5段階

反芻   (問1.8.9.10.11):痛みに関連した考えに過剰に注意を向ける
無力感(問2.3.4.5.12):痛みに対して自分は何もできないと感じている
拡大視(問6.7.13)     :痛みそのものの強さを過大評価する

総得点の75%値である30点以上がカットオフ値である。

Sullivan MJ:The Pain Catastrophizing Scale.User Manual, 2009.

PCSの30点以上を重度PCS群、29点以下を軽度PCS群に割り付けた。

三木貴弘 他:疼痛の破局的思考が腰部疾患に与える影響 術後の短期成績での比較・検討.
日本運動器疼痛学会誌 11:225-232, 2019.

評価用紙のダウンロードはこちらから👇

急性期には反芻が高まり、慢性化するほど無力感が高まる傾向にある。


鬱などの情動障害
は、下行性疼痛抑制系が働きにくくなり慢性痛に繋がる。
そのような情動障害をもつ方には一度評価してみてもいいと思う。


参考文献

八田宏之 他:Hospital Anxiety and Depression Scale日本語版の信頼性と妥当性の検討 ー女性を対象とした成績ー 心身医学 38 :309-315, 1998

松岡紘史 他:痛みの認知面の評価 Pain Catastrophizing Scale 日本語版の作成と信頼性および妥当性の検討. 心身医学 47:95-102, 2007


関連note👇

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?