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ロイヤールブレッド(^^♪

”ロイヤルブレット”

その名に恥じぬ味わい
気品を携えた至高の一品である。

スーパーでは少し高めの値札をぶら下げ、
「貴様にこの私を手にするだけの経済力はあるのか?」といつも悪態をついてくる。

田舎で名を馳せていても、
ひとたび大都会に出れば
自分の上位互換が群雄割拠している
現実にぶつかり挫折するんだろうな。

僕は決まってそう思うことにしている。
そしてヤツが肩を落として帰郷するのを
心待ちにする。

そう、【値下げシール】である。

都会の喧騒に三半規管の自由を奪われ、
社会の荒波に吞まれ向こう岸に渡り切れず、
そうして貼られたレッテル。
ボロ雑巾のように路地裏で
横たわりながら決意する。「帰ろう」と。



しかし僕は、
勢いよく飛び出し見事なとんぼ返りを
決めて見せようとも
そんなロイヤルブレッドを誇りに思う。
振り出しに戻ったとしても、
内に秘めた経験値がまるで別物だ。
この経験を糧に彼はきっと
僕たちが想像もしないような成長を
遂げてくれるだろう。


もうお分かりだと思うが、
僕は値下げシールの貼られていない
ロイヤルブレッドにはまるで興味がない。
別に金銭的なアレとかではない。
紆余曲折を経たからこそ、
味に深みが増すというものだ。


そうして今日も僕は、傷を負ったロイヤルブレッドの帰りを待つ。



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