民間企業の”予防担当”

消防士から民間企業に転職した人間が、どのような仕事をしているか知りたいという声をいただいたので、その一部をご紹介できればと思います。
私は現在、民間企業で労働災害、環境災害、火災を「予防」する仕事をしています。
消防職員時代も予防業務が長かったのですが、現在も同じような仕事を会社の中で行っています。
消防署では「怪我と弁当は自分持ち」と言われるくらい「怪我するやつが悪いんや!」という風潮が強かったのですが、大企業であれば1件の労働災害や労災隠しが企業の運命を左右するほど重大なテーマとして取り扱われていることに驚きました。

現在の業務の幅はとても広いのですが、消防職員時代ととても似ている業務の一つに労働安全衛生法(安衛法)の遵守や生産設備等が安全規格を満たしているかの審査を行う業務があります。
例えば、2m以上の足場のない場所で高所作業を行う場合、安衛法によりフルハーネスの着用や特別教育の実施などが義務付けられます。
社内で発生する作業が安衛法により規制を受ける業務となるのか、どうすればより安全に作業を行うことができるのかなどを現場と一緒に考えたりします。
また、化学物質の取り扱いであれば、消防署であれば危険物の観点からしか見ることはありませんが、健康被害防止の観点から安衛法、環境災害防止の観点から水質汚濁防止法、土壌汚染対策法等によっても同時規制されていることがあります。
1の化学物質を火災予防、労災予防、環境災害予防の観点からの法令順守の方法の確認や安全な作業手順の構築などを行っています。 

その他、新しい生産設備の設計時に、人の手を入れることができる隙間がないか、人が誤って機会に手を入れた時にサンサーによって停止されるか、そのセンサーを制御するPLCは要求されるレベルを満たしているかなどを審査しています。
これらは法令には詳細な基準はないものの、ISO等の国際規格により指針が定められており、自主的に各社内において審査等を行うことになります。
この業務は消防署における消防設備等の審査業務に似ているところがあり、当時の業務がとても役立っていると感じています。

また、社内における外部業者さんの工事等による労働災害にも目を光らせる必要があり、安全パトロールの実施や監査などを行うこともあります。
逆に安全をマネジメントする仕組みを有した工事業者であれば、入札の際に他社よりも工事金額が高くても契約するように購買部等にアドバイスをするなども行います。
ですので消防設備会社の皆様も、他社との差別化として”安全”を入れてみるのはいかがでしょうか??笑

民間企業においては”安全”はただ法令を満たすものではなく、いかにリスクをコントロールして自分たちのブランドやビジネスを守るのかといった経営戦略の一環として扱われています。

このように、”民間企業の予防担当”として働いており、消防職員時代とは多少目線は変わるものの、人々の生命、身体、財産を守るといったゴールは変わらないと考えて現在お仕事をさせていただいています。

これからも現職の消防職員、消防設備士の皆様からも刺激をいただきながら、仕事の質を上げていきたいと思います!!

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