江國香織
僕は江國香織の書く小説が好きだ。江國香織作品はほとんど読んできたが何がそんなに僕を夢中にさせるのか。
多分彼女の書く小説の文体が美しいからだろう。江國香織を紹介するとき、よく瑞々しい文体という風に形容する。何気ない日常を美しく、非日常的に切り取るのがとても上手いと思う(僕なんかがこのように評価するのはおこがましくて恥ずかしいのだか)。彼女の小説にはキラキラ、ふわっと、ひんやりと、など感情を形容する表現が多く出てくる。僕は江國香織の作品を読むたびにそんなあまりに甘美な表現にある種、酔っているのだと思う。
すらすらと読めて、うっとりとした感覚で読了した時心の中は江國香織の世界にどっぷりと浸かっていて、少しの間ぼーっとしてしまう。それでその後少し生活を丁寧に送ってみたりする。
彼女が切り取る日常はとても甘美で、輝かしくて、水分を含んでいる。僕はいつだってそんな瑞々しい感性の中に自分の心を放り投げているのだ。